工大生のメモ帳

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【漫画】チェンソーマン8 感想

【前:第七巻】【第一巻】【次:第九巻
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※ネタバレをしないように書いています。

悪魔を宿して悪魔を狩る

情報

作者:藤本タツキ

試し読み:チェンソーマン 8

ざっくりあらすじ

クァンシと特異課の間でデンジを巡る攻防が続く中、サンタクロースが動き出す。そして禁忌の契約が結ばれ、悪魔でさえも恐怖する絶望の世界への扉が開かれた。

感想などなど

デンジの所属する特異課と、各国から集結した殺し屋達との戦いは死屍累々の過程を辿っている。どうすれば終わるのか、もうみんな死ななければ終わらないのでは? という嫌な想像が脳裏をよぎった。

クァンシと岸辺の「マキマを殺す」という会話内容も気になるし、動き出しそうで動かないサンタクロースの目的も、余命があと幾ばくしかない師匠の目的も気になる。戦いは確かに進んでいるのに、どうにも彼・彼女達の目的が釈然としない。岸辺がマキマを殺そうと画策していたように、何か裏があるのではと勘ぐってしまう。

国から命じられたから、デンジを殺すような素直な人間にはどうしても見えないのだ。

そんなブログ主の予想は的中する。それはそれは、ちょうめちゃくちゃな展開が待っていることを約束しよう。なにせ舞台は現代日本から地獄へと移るのだから。

 

第七巻にて、天使の悪魔が早川アキに地獄の話をしている。

悪魔が例え死んで灰になったとしても、地獄で蘇るということ。そして地獄で死んだ悪魔が、人達のいる世界に蘇る。つまり地獄と世界を巡る輪廻転生をしているのだ。当たり前ではあるが、地獄は人が行こうと思っていけるものではない。悪魔だって、好き好んで行く場所ではないだろう。

しかし、地獄に行くことを目的に据えている輩――しかも人間がいた。

地獄に行くためには、『地獄の悪魔』と契約する必要がある。契約の代償は軽くない。その契約を達成させるまでの遠回り過ぎる過程は、最低限の台詞やコマ割りによって気付かされる。「もしかして」「いや、まさか」という驚きの積み重ねからの地獄へ舞台が移っていく過程は素晴らしいの一言に尽きる。

そして辿り付いてしまった地獄が、これまたグロく奇怪な世界であった。そして地獄では、一度も死んだことがないという人が根源的に恐怖する対象の名前がつけられた悪魔が登場する。今回デンジ達の前に現れた悪魔の名は『闇の悪魔』。道連れのような形で地獄に来てしまったサメの魔人や暴力の魔人、天使の悪魔があっさりとそいつ殺されてく。『未来の悪魔』と契約している早川アキも例外ではない。みんな死ぬ。

さて、そもそもそんな地獄に来た者の目的は何なのだろうか?

地獄に金銀財宝の類いはない。いるとすれば一度も死んだことがない強すぎる悪魔達だけ。凡人であればそこに価値を見出すことは難しい。しかし、強さを追い求める者、どうしても殺したい相手がいる者にとって、それら強すぎる悪魔との契約を求めるというおはある意味必然かもしれない。

この第八巻における展開は、ここまで黒幕の奴の思惑通りに動いている。ただ唯一の想定外をあげるとすればデンジの存在であろう。

 

そもそも多くの悪魔が、今はデンジの心臓と化しているチェンソーの悪魔を恐れたり、敬ったりしている理由は何なのだろう。天使の悪魔が語ってくれた地獄で最期に聞いたエンジンを吹かす音というものも気になる。

そんな様々な疑問の核心に迫る内容が語られつつ、マキマの持つ力に関しても説明がなされていく。最小限の台詞で分からせてくる展開がとても上手い漫画だと、改めて思わされた。

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