※ネタバレをしないように書いています。
キリオドラッグ、開店です!
情報
作者:ケンノジ
イラスト:松うに
試し読み:チート薬師のスローライフ〜異世界に作ろうドラッグストア〜 4 (ブレイブ文庫)
ざっくりあらすじ
風呂を覗くことができる薬を所望する魔王様や、傭兵団の演舞大会で活躍したい者に、筋力を増強する薬を提供したりと、今日も人々の悩みを解消するために奮闘するキリオドラッグの日常。
感想などなど
異世界だとしても、人とは違う種族だとしても、考えることはさほど変わらないらしい。魔王エジルが「余は、女風呂を覗いてみたいです」とキリオにはっきりと告げ、それをロマンだと語った。「女風呂が丸見えになる薬を、先生にひとつ創薬していただきたいです」という彼の台詞を、もしもノエラが聞いたとしたら……ただでさえ低い好感度が、さらに下がってしまうだろう。
「見えねぇから、ロマンなんだろ?」と一部界隈にしか通用しないような文言で、エジルの依頼を断ったキリオ。その一言に大いに納得と衝撃を与えられたエジルが、よりキリオを師匠として仰ぐことになるのは、ここだけの話である。
さて、女風呂が丸見えになるという意味不明な薬はできないが、透明になる薬は作れるとスキル【創薬】で判明(やっぱり単純で分かりやすいチートだよなぁ……俺も異世界に行くことになったらこんなスキルを貰おう)。エジルに材料だけ集めさせて、試しに作って見ることに。
他の作品ならば好き勝手に悪用する様をありありと想像できるが、この作品にはそういった展開はない。せいぜい下心丸出しのエジルを嗜め、嗅覚が異様に発達したノエラについて回られる程度である。
第四巻にして異世界物では定番のダンジョンに潜ることとなったキリオ。経緯としては、店に来た冒険者が、ダンジョンに潜るけれども恐いから、獣を退けることができる忌避薬を売って欲しいという話だったはずが、いつしかキリオも一緒に行くことになっていた。
良く分からないが気にしてはいけない。この世界の住民は、勢いと、相手の話を詳しく聞かないという精神で出来ている。
魔物との戦いを気にした方が、千人に一人くらいはいるかもしれないが、それはキリオの作った薬のチート性能を信頼していない証だ。彼の薬の効果により、最深部まで行っても魔物は出てこない。ゲームならばラスボスとして、魔物が君臨していてもおかしくないのだが。
難なくという訳ではないが、最深部のお宝もゲットしたキリオ達一行。宝の名前は『水神の真珠』。RPGで扉の鍵を開けるキーになったり、何か特別なイベントを起こすアイテムになりそうなものだが、この真珠はリビングのインテリアとして立派に活躍してくれている。
つくづく、このダンジョン探索は何だったのだろうか。ゲームならばイベントの取りこぼしを疑うところであった。
さて、そんなキリオドラッグに新たな仲間がやって来た。キリオとのファーストコンタクトは卵の姿であって、エジルが語るにそれはグリフォンであるらしい。
……グリフォン……強そう。
この作品においても、グリフォンの何か漠然とした強そうというイメージは顕在らしく、空も飛べるし四足歩行で早いし、爪も鋭く力も強いという、とりあえず強そうな要素を詰め込んだ生物であった。
そんなグリフォンを育てたいというノエラの話に乗っかり、キリオや、周囲の人達の支えもあって立派に成長していくグリフォン。かつて開発した薬でコミュニケーションも図りつつ、新たな仲間の誕生を祝おうではないか。
それにしても、エルフの子は……どこ? となってしまったのはブログ主だけではないと信じている。