※ネタバレをしないように書いています。
※これまでのネタバレを含みます。
デートして世界を救え
情報
作者:橘公司
イラスト:つなこ
ざっくりあらすじ
高校に転校してきた十香は、クラスメイトの折紙と毎日のように喧嘩をしていた。そのたびに二人を止めに入る五河士道は、下校中、第二の精霊に出会う。
感想などなど
士道は『傷が瞬時に回復する能力』と、『キスすることで精霊としての力を封印する能力』を持っていることが判明。理由に関しては明かされていませんが、まぁ、いつか明かされることでしょう。気長に待ちます。
十香が転校してきて、これからは精霊としてではなく、人として生きていくことになるのでしょう。自分の意思と関係なく世界を壊すようなことはなくなって、「美しい」と語った世界を見ていくのでしょう。
世界を救いつつ、少女も救う。誰もが幸せになるハッピーエンド、そうそう、こういうのを求めていたんですよ。
さて、今後も世界を救う度にハーレム要因が増えていくことになるだろうことは想像に難くありません。十香に折紙、琴里に先生(?)と既に四人ものハーレム要因がいるという事実を受け止めつつ、表紙に写っている中学生くらいの少女を眺めつつ、二十二巻で完結するという情報をWikipediaから仕入れながら、「便利な設定だな」とメタ的な思考を巡らせていました。
ハーレム要因を増やすべく、女性に耐性をつけるための特訓の日々が始まります。家に帰ると美少女クラスメイトがいたり、朝起きたら美少女と一夜を共にしていたりしますが、それも全て世界を救うためだから羨ましいとか思ってはいけない。我々オタクが同じような状況に置かれようものなら、社会的に死ぬこと間違いなしなのでリアルでやろうとしてもいけないことを肝に銘じておこう。
そんな特訓の成果をぶつけ、デートしてキスしてアレコレする精霊は四糸乃という名の少女。左手には眼帯をした兎のパペット人形を取り付けており、初対面の相手には腹話術で会話を行う。どうやら大人しめな女の子のようです。デザイン好き。
しかし彼女も精霊であり、世界にやって来る際には爆発を起こして街を破壊してしまいます。SATの飽和攻撃にも――反撃はしないものの――見る限り一切ダメージを受けていないように見えます。
そんな彼女を救うため、士道はデートに誘うわけだ。文章的にはアレだが、ストーリー展開的にはかなり格好いい。嘘ではない。「女子中学生をデートに誘うなんて犯罪か?」という疑問が浮かぶ人もいるかもしれないが、世界を救うためなので許してあげて欲しい。
四糸乃という精霊をデートに誘う上で重要になってくるのは、『左手に付けているパペット』の存在である。大人しめな本体に比べ、かなり口悪く喋る腹話術での人格とのギャップに驚いた読者が一人ぐらいいると思う。
基本的に現れる人格がそっち側なのだから、デートに誘って話していても、どうにも四糸乃と話しているという気がしません。話を読み進めていくと、四糸乃には二つの人格が介在していることが分かります。そして、パペットの人格ではなく、四糸乃本体の人格に心を開かせてキスをしなければいけないようです。
……何故、彼女は二つの人格を生み出したのか。その優しき理由を知った士道は、彼女を絶対に救わなければいけないと覚悟する。覚悟を決めた男は強かった。