工大生のメモ帳

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ノーゲーム・ノーライフ2 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

世界を掴む戦いを

情報

作者 / イラスト:榎宮祐

ざっくりあらすじ

世界最強のゲーマー『  』(空白)は異世界の神によって、異世界に送られた。その世界で人類種に世界を掴ませ、神に挑むべく戦いを始める。まずは手始めに天翼種に戦いを挑むが――。

感想などなど

これほど安心感がありながら、嫌悪感を抱くことのない主人公がいたでしょうか?

はっきりいって『  』のスペックはチートだと言えます。六カ国語を操り、数日で新しい言語を覚え、膨大な知識を蓄え異世界に適応する様は人知を越えた何かがあります。もはや狂気すら感じます。

――ゲームに勝つため。

――ゲームを楽しむため。

二重三重にも張り巡らされた罠と、ミスが一切ないゲーム展開は、ハラハラすることはあれど妙な安心感を覚えます。また変に完璧過ぎず、人間味を失わぬまま、欲望に正直なところは個人的に好印象です。

そんな自分の欲求に正直な彼が今回挑む国は、獣耳っ子の国。いわゆる獣人種が治める国。第六感を兼ね備え、これまで前国王が八度! 八度もゲームに挑み敗北を続けた国に、『  』は挑みます。

 

獣耳を今すぐにでもモフモフしたい空……しかし、第六感(そういえば科学的に存在が証明されましたね)という漠然とした能力を相手に戦えないと言い、調べようとするも書籍がない。ゲームに運要素を生まず確実な勝利のために、必要なものは情報。

……しかし、調べようにも本がない……どうやら前王が天翼種にゲームで挑み、敗北したため、奪われたらしい。前王の行動に頭を抱える空。最弱の人類種が他の種族に勝つために必要不可欠な情報を、あっさりと渡した前王の行動は、阿呆の極みと言わざるを得ないだろう。

ちなみに天翼種とは、かつての大戦において、神によって神を殺すために創られた存在であり、根っからの戦闘民族。彼らは元々首を集めることを楽しみとしていたが、負傷を負わせることが厳禁となった今は、知識の源泉を集めることに躍起となっている民族。蓄えた膨大な知識を武器とするゲームに、人類種はなすすべもなく敗北していく……見た目は麗しき天使――頭上には光輪が浮かび廻り、淡く輝く羽を腰から生やし、長く美しい髪を持った少女。そんな天使になら、殺されてもいいかもしれない。

そんな天使……いや、天翼種に対して情報を取り返すゲームに挑むこととなった『  』、勝負の仕方は何と「しりとり」! といってもただの「しりとり」ではない。『具現化しりとり』である。

彼らが行う「しりとり」は比較的シンプル。「水」と言えば「水」が室内に現れ、机が置かれた室内で「机」と言えば「机」が消える、 ”ある物” を言えば ”ある物” は消え、 ”ない物” を言えば ”ない物” が現れる……実に単純で分かりやすい。その他、細かなルールとしては『既出の言葉を言ったら負け』『三十秒答えなかったら負け』『継続不能状態になったら負け』……さらっと流しましたが、超重要ルールなので。

 

「しりとり」でどうやって勝つんねん。

とお思いの方、多いことだろう。『  』はいきなり「水爆」と言い放ち、室内に水爆を登場させている。もし敵が無能だったら、ここでゲームセット、人類種の勝ちだった。何せ『継続不能になったら負け』なのだ。どちらかが死ねば、どちらかが勝ちである。

この例えで勝ち方が何となく分かった人もいるかもしれない。しかし、ちょっと考えた程度の作戦を『  』が使うわけがない、とだけ答えておこう。捲るめく展開と、二重三重にも張り巡らされた罠に、是非とも引っかかって貰いたい。

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