工大生のメモ帳

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【漫画】ハナヤマタ5 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

よさこい

情報

作者:浜弓場双

出版:芳文社

ざっくりあらすじ

生徒会長の常盤真智が、よさこい部に入部した。最初はどこか掴みどころのない厳しい印象を受けていたが、実際仲良くなってみると、とても乙女チックな趣味を持っていたりと、段々と距離が縮まっていく。そんな中、常盤沙里先生が辞めてしまうというような噂が流れて……。

感想などなど

常盤真智が新入部員として加わった。メタ的な読みをしてしまうと、メインを張るキャラである彼女が『よさこい部』に加わるのは必然ではあった。しかし、そこに至る過程というのは想像できていなかった。ブログ主のような人は多かったのではないだろうか?

第一話では、ぎこちなさが拭い切れない真智と、既存メンバー(ただし多美は除く)との溝が描かれていく。その溝を埋めようとする多美のやり方は、無理やりにっこり笑顔を作らせたりと、傍から見ると可愛らしいかもしれないが、上手くいっているような気はしない。

まぁ、結果として部員が五人となったことで、活動の幅が広がったことはありがたい。そこで夏祭りに向けての演目も本格的に考え出していく運びとなった。そこで踊る曲の演目を話し合うに際して、一人一人踊りたい曲の案を出していくことに。

ハナはカッコいい、ヒーローのような曲を提案。

なるはシックでロマンチックな曲をご所望。

多美は女子力が高い曲という何とも言い難い案を出した。

ヤヤはロックンロールな彼女らしい曲を考えているようだ。

そして新入部員の真智は、照れながらアイドルのような可愛らしい曲が良い……と小声で低慰安する。照れ隠しで「文句ある!」と強めに言い放つのも、どこか可愛らしく見えてしまう。

そう、彼女はこれまでは分からない裏の可愛らしい顔があったのだった。その魅力が前面に押し出されつつ、生徒会長になった敏腕さも描かれつつの話が続いていく。は? 可愛くて有能って最強かよ。

こうしてみると、『よさこい部』というのはかなり個性的な面々が揃っている。悪く言えば凸凹で、良く言えば弱点を補った関係性だと言える。それをまとめ上げる役割は、これまで不器用なヤヤだったが、真智が加わることでより結束が強まっていくような感がある。

これまで以上に『よさこい部』の将来に期待が持てそう、

そう思っていた。

 

後半になって、どこか不穏な空気が漂う。しかもその発生源は、この『よさこい部』を立ち上げて無駄に元気なハナだというのだから驚きだ。その原因はどうにも、今は離れて暮らしている母親に関連するようだ。

しかし彼女は多くを語らない。嘘は下手なようであるが、ここまで下手だと言及する側としてもやり辛い。それにこれまで破天荒な彼女を見てきたのだ、どこか「大丈夫でしょ」という安心感すらあるように感じられた。

しかし、それでもどうにかしたいと動いたのは、関谷なるただ一人。ハナのことをはっきりと大切な人と言い切って、涙を流した大切な人を抱きしめて、「大好きだから」と笑顔で告げて、そんな彼女に隠し事ができるほどハナのメンタルは強くなかった。

そして語られる彼女の悩みは――。

 

彼女の悩みは『よさこい部』を空中分解させるには十分すぎる爆弾であった。事実、どこかもう終わったような空気が、部を支配しつつあった。

しかし、そんな空気をぶち壊して部としての形を何とか取り繕ったのは、ヤヤでもなく真智でもなく多美でもなく、関谷なるであった。乙女チックでやりたいこともなかった彼女も、これまでの経験を経て成長したのだと分かる。

彼女のやりたいことが、ようやくできたのだ。そしてそれを続けるための強さも手に入れた。あと足りないものは何もない。夏祭りの大舞台、どこか一つ席が空いてしまった部ではあったが、踊りきるだけの覚悟があった。

一度きりの夏祭り、やりたいことをやりきった素晴らしい夏だったと思う。いいエピソードだった。

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