工大生のメモ帳

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バカが全裸でやってくる Ver2.0 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

小説家になれるだろうか。

情報

作者:入間人間

試し読み:バカが全裸でやってくる Ver.2.0

ざっくりあらすじ

『バカが全裸でやってくる』でデビューした男は、可愛い女の子が少ないという編集の言葉に従って次回作執筆に挑む。一方、甲斐抄子や同タイミングで受賞した伊次原幸子らと切磋琢磨(?)しながら小説を書いていく。

感想などなど

全裸バカに才能があると言われた小説バカが、そこから天才バカに教えをこいたり、全裸になったりと紆余曲折を経て小説家になった第一巻。いわゆる群像劇構成で、商業作家になった者から、小説家になりたいがなれなかった者、もがいて小説家になった者に至るまで、それぞれの視点から見た小説の見え方が描かれていたように思う。

……とはいえ本作の本番は「あとがき」と言って良い。そこで本作の構造の全てが詳らかにされる。全てはフィクションとして描かれた『バカが全裸でやってくる』の枠を強引にこじ開けて拡張したような構成となっている。

となると、第二巻の作者は誰なのか? と思いながら読み進めることになると思うし、そのヒントは至る所にあるし、もしも「あとがきを最初に読む」という方がいるならば、この本に限ってはそれはやめておいた方が良い。

第一巻の感想にて、小説を書くということの苦しさに言及したかもしれない。しかし、第二巻を書くのはきっと楽しかったのだろうな、と見え方が変わってくる。なんとも不思議な作品だ。

とにかく第二巻の主人公は『バカが全裸でやってくる』でデビューした男だ。つまり第一巻の「あとがき」を書いた男なのだろう。ややこしいな……とにかくそういう構図で合っているはずだ。

そんな彼が師匠と崇める甲斐抄子との関係性はそのまま、彼女が熱を出せば甲斐甲斐しく世話をするし、夏祭りに連行されればついていく。受賞していないのに作家になった奇妙な生い立ちの主人公とは違い、きっちり受賞して作家となった伊次原幸子とはライバル関係のようなものになったりとラブコメらしく雰囲気はありつつ、そういう展開にはならない。

これがラノベかと言われれば、まぁ、ラノベなのだろう。

ラノベでしか許されない気がする。

 

主人公は『バカが全裸でやってくる』でデビューした処女作が書店に並ぶのはいいのだけれど、一作目を読んだ人なら分かると思うが、続編が出せるような作品ではなかった。それは面白かったとか、面白くなかったとかそういう話ではなく、作品の構造やオチとして出せるような作りではないという話だ。

しかし、二作目では『バカが全裸でやってくる』でデビューした男が、続編を書くように編集に言われ、可愛い女の子を登場させて売れるライトノベルを目指す話になっている。

「これは本当に自分が書きたかった作品なのか?」

自分らしさをこそぎ落としているような、いや、何か外側から肉付けして自分らしさを目立たなくさせているような作業が続く。そんな中、立派に受賞して華々しい作家デビューを果たした伊次原幸子にライバルとして見られ、一年間の売り上げ勝負をすることになったりして、自分を追い込んでいく。

売れるためと、自分らしさを天秤にかける作業が、第二巻では永遠に繰り返される。あの全裸バカが「自分は小説家になりたかった」と明かすシーンはあっさりと描かれ、大学にも行かなくなって、就活はせずに作家になる道を選び……彼が小説家になるまでの紆余曲折の過程が第二巻だった。

そうして迎える「あとがき」を読んで読者は思う。「君は自分が書きたかった作品」が立派に書けているよ、と。盛大な小説家のお遊びのような作品だった。

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