工大生のメモ帳

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ピンポンラバー2 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

極限の卓球魂

情報

作者:谷山走太

イラスト:みっつばー

ざっくりあらすじ

 卓越学園ランキング一位の男・獅子堂煉が海外遠征から帰国。その知らせを受け、翔が体育館へ向かうと、全生徒の中から彼の練習パートナーを選抜する選考会が行われていた。

時を同じくして中国卓球界の新星「夢幻の天女」こと、リュウ・メイリンが来日。急遽卓越学園への編入を決めていた。

感想などなど

さて、第一巻(ピンポンラバー 感想)では過去に約束を交わした少女が、白鳳院瑠璃だと判明。彼女の方は、過去に戦って(遊んで?)約束を交わした相手だと気づいたようですが、小学生低学年の頃に交わした約束を互いに覚え続けていたというのは中々に熱い展開で、自分は好きです。

こうしていつか約束を果たすべく、修行の道へと進んでいく一行。今回はどんな戦いを見せてくれるのでしょうか。

 

卓越学園。卓球の強さが全てであり、何を決めるのも卓球が基準であるこの学園で、ランキング一位というのはどのような意味を持つのでしょうか。

まず自分の練習場を持てます。白鳳院瑠璃は一年でありながら学園三位(御〇美琴かな?)である彼女も例外なく、大きな練習場を持っています。そして大抵のことに対して融通が利く模様。

三位ですらそうなのですから、一位ともなると一体……。

その凄さは冒頭から見せつけてくれます。学園一位の男の名は獅子堂煉。世界をまたにかけ、あらゆる大会でも上位常連の男。この学園最強よりも上位がいるという世界……夢が広がります。

それはさておき。

彼が学園に帰ってきて最初にやったことは、自身の練習パートナー捜しでした。なるほど、卓球の練習は一人ではできませんからね。それに学園一位と共に練習できる共なれば、多くの人が集まることでしょう。事実、彼が人を集めた体育館には学園のほぼ全員が集結しています(瑠璃の姉は来ていないご様子。流石と言うべきか)。

どうやって決めるのかと言えば、軽く打ってみるだけで判断するようです。しばし眺めて見るもサーブすら返せていなかったり、よしんばサーブを返せても打ち抜かれて終了。手を抜いているのは明らかなのに、誰一人として手も足もでない。……。

主人公である翔も彼のパートナーとして立候補。彼に勝つ気で挑むわけですが、サーブを打ち返し、強打を返されあえなく撃沈。ふーむ、まぁ、主人公補正はそこまで強くないようです。ちなみに瑠璃もあえなく敗北。

こうして長い時間を経て、彼は自信のパートナーを探していきます。そして、選ばれたのは……。

鹿島沙月

でした。

……鹿島沙月? 誰?

という方ももしかするといるかも知れません。なんせ彼の活躍の舞台は、あまりなかったですから。「卓球のルールを知らないまま卓越学園に入った男」「温泉卓球で卓球を学んだ男」と言えば思い出せるのではないでしょうか。

ちなみに彼の順位は125位。さらに言うと翔の順位は37位。もっと言ってしまえば高等部の全生徒合わせて180人ほど。

つまり、学年一位の男は、自身のパートナーとして、卓球のルールを覚え中の、順位125位の下から数えた方が早い男を選抜したのです。

面白くないのは、自分の方が強いはずと意気込んでいる上位陣でしょう。特にプライドの高い瑠璃の心境は想像に難くありません。

強くなりたい! その思いで練習に打ち込んできた彼女の前には、天才と呼ばれる人々が立ち塞がるのです。努力では越えられない上の見えない壁が目の前にあります。

さて、彼女は今回どのような成長を遂げてくれるのでしょうか。きっと期待を越えてくれると思います。

 

そんな時。中国から「夢幻の天女」ことリュウ・メイリンが卓越学園にやって来ます。彼女の目的は瑠璃の姉を中国に連れて行くこと。まぁ、ざっくりいうと練習相手もといライバルが欲しいと言ったところでしょうか。

しかし、姉は断ります。理由は「こっちにいる方が楽しいから」。

ノリと気分で生きる女は言うことが違います。翔に止められなければ中国に行っていただろう瑠璃とはやはり似ていない……と言うべきでしょうか。

諦めきれないメイリンは卓越学園に編入することを決意(卓球に強ければ何でもしていい学園ならでは)。

そんな勢いで生きているメイリン。実力は卓球大国随一の腕前は卓越学園三位を完封、二位と勝ったり負けたりという実力(一位どんだけ強いねん……)。

そんな彼女は瑠璃に一言「こんなものよね……」

……もう瑠璃を虐めないで……。

 

大分瑠璃のメンタルが削られていくストーリー展開。ここに書いた以外にも第一位により「昔の方が強かった」発言に始まり、「弱くなった」発言。実際彼女は第一位しかりメイリンしかり手も足も出ず、ボロボロにやられていきます。

彼女は腐っても第三位。しかし、第二位第一位との間には強大な壁が存在します。

彼女のこれまでの努力は無駄だったのか?

どんなに言葉を紡ごうと、勝敗という事実がその言葉を裏付けてしまいます。

今回はそんな彼女の物語でした。熱い熱いラストバトル――立ち直るための『みんな』の戦いは一気読み必死。いいスポ根でした。

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