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【漫画】ザ・ファブル The second contact(1) 感想

【前:な し】【第一巻】【次:第二巻】
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※ネタバレをしないように書いています。

元プロやからな――

情報

作者:南勝久

試し読み:ザ・ファブル The second contact (1)

ざっくりあらすじ

世直しの旅に出るつもりが、ウイルスの蔓延により帰ってくることになってしまった佐藤兄妹。ミサキとの新婚生活を満喫しつつ、レンタルおっさんとしての仕事をこなしている最中、真黒組に不穏な影が忍び寄る――。

感想などなど

海老原組長が山岡にとどめを刺し、アザミとユーカリ、佐藤兄妹もファブルを抜けた。闇商人マツさんは山岡という名前を取り戻して日常へと戻り、ほかの面々も明日のことを考えられる日常へと戻っていった。

裏社会を知ってしまったミサキは、アキラにプロポーズされて結婚。幸せな結末を迎え、アキラは世直しの旅へと向かう。いい結末であった。

そして始まった第二部。これから日本全国津々浦々、世直しの旅が始まっていく――と思っていた。しかし世間がぶち当たったのはウイルスの蔓延だった。他府県をウロウロしてたらテロ扱いされる情勢であったことを、ここに書き記しておこう。数々のイベントが中止され、悔し涙を流した者も数多くいることを知っておいて欲しい。

そんな状況を鑑みて、帰宅することにしたアキラ。そうして始まるのは幸せな新婚生活――互いに「ミーちゃん」「あっくん」と愛称で呼び合い、テレワークで一日家にいるミサキとのイチャイチャ生活。

これが延々に続くとなると胸焼けしそうだが、できることなら何も起こらない幸せな生活が続いてほしい。ただその将来設計の甘さはすぐに綻びとなって現れる。

 

そもそもお金には困らないアキラだが、戻ってきてからはレンタルおっさんという仕事をしていた。一時間千円で、愚痴聞きでもボディーガードでもしてくれるという何でも屋みたいな仕事だ。

税金回りがどうなるのか気になるところだが(描写を見る限り千円札をそのまま貰っている)、顧客から直接の「ありがとう」をもらえるというのは、仕事を進める上でのモチベーション向上に役立っている。

そんな中、元カレに付きまとわれているという女性からボディガードの依頼を受ける。「ひ弱そう」「もっと強い人が良い」という超絶贅沢なことを宣う女の横に付き、適当な相槌を打ちながら周囲を警戒するアキラ。

その警戒網に何かが引っかかる。

一方その頃、アキラの弟分を自称するクロが、何者かの襲撃を受ける。二人組を相手に、鉄パイプでタコ殴りにされ何もできずにこのまま死ぬことを覚悟した時、姉貴分であるヨウコが現れた。

アキラほどではないにしろ、ヨウコの強さは折り紙付きだ。ちょっと格闘技をかじった程度の相手に負ける理由がない。しかも弱い女を演じつつ、戦っている素振りをみせずにボコボコにする技術。仕事を辞めたとはいえ、技はそう簡単には衰えないということなのだろう。

こうして不穏な空気を漂わせ、裏社会の闇が確実に迫ってきている予感が嫌な想像を駆り立ててくる。

 

裏ではクロを襲わせた黒幕である紅白組(読みはクジラ)が計画を推し進めていた。その目的は――組同士の抗争――どんな理由であれ、戦って組を潰したいのだ。そのためならば部下であろうとボコすし殺す。

海老原組長はそんな相手と戦って、組を守らなければいけない。

しかももうファブルには頼れない。なにせファブルは実質解散のような状態なのだ。それに佐藤兄妹は頼りたくない。彼らの幸せな日常を壊したくないというのは、読者と一致している。

しかし――あぁ、こいつら兄貴なら全員かかってきてもぶっ飛ばせるのになぁ……という妄想の歯止めが利かないのも事実。先が気になる導入であった。

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