※ネタバレをしないように書いています。
メイドさんの食事風景
情報
作者:前屋進
試し読み:メイドさんは食べるだけ (1)
ざっくりあらすじ
英国でお屋敷のメイドとして働いていたスズメは、倒壊したお屋敷が直るまでの約一年間を日本で過ごすことになる。そんな彼女の日本でのおいしい日常。
感想などなど
おいしそうに食事するメイドさんでしか接種できない栄養素がある。それらを接種したい場合、本漫画がおすすめだ。
この作品はタイトルに嘘偽りなく、メイド・橘スズメがただ食事をするだけの内容である。勤めていた屋敷が倒壊し、日本で1年間を過ごすことになったという設定でありながら、屋敷が倒壊した理由は語られず、ストーリーはありそうでない。本当に食べるだけである。
日本で出会う数々のおいしい料理を、ニコニコ笑顔で頬張り、面白いくらいにコロコロ変わる表情を楽しむ。メイド服って良いよね……としんみりしつつ、やはり人生で一度くらいはメイド喫茶に行ってみたいと心に固く誓った。
それぞれ料理名を冠したタイトルがつけられており、それぞれその料理を食べる様子が描かれる。ちょっとした雑学も交えられ、ただ可愛いだけじゃないというのもポイントである。
まぁ、可愛さが9割9分9厘を占めていることは否定できないが。
「たい焼き」
橘スズメが日本に来て最初に食べたのが、たい焼きである。
「鯛は大事な日に食べる」とガイドブックに書かれていたから、という理由でたい焼きを食べようと店に足を運んだようだ。その鯛は海で泳ぐ鯛のことではなかろうか、という突っ込みは野暮である。
いつだったかたい焼きパフェとかなかったっけ……と思いつつ、橘スズメと一緒に「たい焼きは頭から食べるか、尻尾から食べるか」の難問に挑みつつ、自分は腹から食べるという結論を出した今日この頃だ。
ちなみにたい焼きには大きく分けて二種類があるらしい。作中では養殖物と天然物というように例示されている。簡単に説明すると、一気に焼くか、一匹ずつ丁寧に焼くかということだ。意識したことがなかったが、その知識を頭に入れてたい焼きを見ると、見方が変わって面白いかもしれない。
「たこ焼き」
たこ焼きパーティなるものをしたことがある。友人がタコ焼き機を買ったということで、腹をすかせた男たちが集まった。しかし上手く焼けるものがおらず、悪戦苦闘しつつのパーティとなった。たこ焼きよりも酒が進んだことだけを覚えている。
ちなみに橘スズメは未成年だ。日本で酒は飲めない。
そんなまだまだ幼さの残るメイド少女は、初めての日本に来てからまだ二日目。日本で一年間のメイド修行を余儀なくされたことを知ったのはつい先日で、最初は落ち込んだような描写もあったがすっかり復活。いい笑顔で、英国でお世話になったメイド長と日本で久々に再会した。
そして彼女に「たこ焼き」をごちそうになることに。
カリッ、トロッのたこ焼きを良い笑顔で食べ、素直に日本での生活に対する不安を吐露する橘スズメ。だが彼女は元気にやっていけるだろう。この現状を楽しめるだけの余裕があるのだから。
たこ焼きが食べたくなるエピソードだった。
「お団子」
花より団子という諺は、風流より飯という食欲に命を捧げた者の生き様である。
ちなみに橘スズメは風流と飯をどちらを選ぶかと問われれば……美しい桜並木をバックにして、ニコニコ笑顔でパクパク団子を食べるシーンを見れば良く分かるだろう。ちなみにブログ主は橘スズメに団子を奢ってあげたい。
「コンビニおにぎり」
まさかのコンビニ飯回である。メイドというからには料理もできると思うのだが、ガスの契約をしていなかったことでコンビニで買ったおにぎりを朝食に一日の活力とすることにしたようだ。
コンビニおにぎりを久しく食べていないが、記憶にある限り、定番は梅とか昆布なのだろうか。期間限定の味だったりもあったように思う。他にはいろいろと突っ込まれた爆弾おにぎりとか場所によってはあったような? 記憶違いかもしれない。
ちなみにこの回のオチが好きだ。猫とメイドのセットは、そろそろ万病に効くと思う。
「バームクーヘン」
バームクーヘンを一枚ずつはがして食べていた卑しい子供だった。なぜそんな食べ方をしていたのか……甚だ疑問である。
橘スズメは、幸せを重ねていくという素敵な意味の込められたお菓子・バームクーヘンを、隣の部屋に住んでいる小松さんにおすそ分けに伺った。太眉な社畜・小松さんは、彼女がバームクーヘンを食べたことがないという話を聞き、おすそ分けされたバームクーヘンを一個、彼女にあげることに。
おすそ分けされた品を、おすそ分けしに来てくれたメイドに返却するという特殊な状況が作られた。これが許されるのも、メイド×可愛いによって生み出される空気によるものか。
「アイスクリーム」
アイスを売っている自販機を見つけて、諸手を挙げて「やったー!」と喜ぶメイドさんが好きです。
ちなみにその自販機を教えてあげたのは、近所に住む高校生である。その高校生がスズメに対して恋心を抱くことになるのだが、その話は今後展開されていくのだろう……と勝手に想像している。
「甜茶」
甜茶とは、バラ科の葉を使ったお茶である。花粉症などのアレルギー体質の改善が期待されているらしい。そんなお茶を、花粉症で苦しんでいる小松さんに差し上げようと準備を始めるスズメ。
紅茶を入れるように、甜茶を入れ始める。その所作がかっこいい。六畳一間の畳に座り、お茶をすする姿が美しい。メイドをメイドとしているのは、そういった細かい所作なのではないか。
これはメイド喫茶ではお目にかかれないのでは……と少しメイド喫茶に及び腰になったブログ主であった。
「メロンパン」
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「信玄餅」
信玄餅とは、山形名物のお菓子である。ちなみにブログ主は食べたことがない。山形の土地に足を踏み入れたこともない。
小さな直方体の餅にきな粉をまぶし、その上から黒蜜をかけた「もう絶対に美味いじゃん」というお菓子である。その食べ方は多岐に渡り、付属のシートにぶちまけて包み込み、手で揉む食べ方や、ケースに入ったままの状態できな粉と黒蜜を混ぜ合わせるなどなど。
どれが正しいということはない。「好きなように食べたらいいんだよ」という叔母様の言葉が真実だろう。