工大生のメモ帳

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【漫画】メイドさんは食べるだけ(2) 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

メイドさんの食事風景

情報

作者:前屋進

試し読み:メイドさんは食べるだけ (2)

ざっくりあらすじ

英国でお屋敷のメイドとして働いていたスズメは、倒壊したお屋敷が直るまでの約一年間を日本で過ごすことになる。そんな彼女の日本でのおいしい日常。

感想などなど

「惣菜」

惣菜屋さんというものに縁のない人生を送ってきた。

惣菜といえばスーパーでパックで小分けにされた惣菜しか脳裏に浮かんでこない。あの冷め切って、夕方には半額の赤いシールが貼り付けられているアレだ。買って家に持ち帰り、すっかり冷え切ったそれを箸でつついて食べる。味というよりは手軽さに金を出している感覚だ。

一方スズメの住むアパートの近所には、どうやら惣菜屋さんがあるらしい。「手づくり惣菜 らいおん」と書かれた看板を掲げ、ケーキ屋さんのようなウィンドウの中には惣菜が並んでいる。そこから好きな惣菜を選び詰めて貰う。

開店時間と同時にやってくるスズメは、その外見も相まって店員さんに覚えられている。ここでは店員さんから見たスズメの様子が描かれている。漫画越しでも分かる所作の美しさと丁寧さは、スズメの魅力だと思う。

 

「レトルトカレー」

軍用の携帯食、宇宙食という開発の流れを経て、今は定番非常食としての地位を確固たるものにしているレトルトカレー。手軽に作れて美味い、非常食にしておくのはもったいないくらいだ。という訳で、非常食として貰ったはずのレトルトカレーに舌鼓をうつことにしたスズメ。

「カレーが食べたいのにカレーがないのは非常事態ですよね⁉」という納得の理屈(?)で、非常食に手を出したメイドさんであった。美味しく食べてくれたから良し。レトルトカレーを「叡智が詰まっている」と評したスズメの感性が、個人的には好きだったりする。

 

「そら豆」

メイドがそら豆を塩茹でして食べるだけの話である。オチもなければ物語としての起伏もない。本当にただそら豆を食べるだけなのに絵になるのは不思議なものだ。

さやに入ったそら豆を取り出して、残されたふわふわのさやの中を見て「大事に入っていたんだな」と言葉をこぼし、塩ゆでされたそら豆をかいで「春の香り」と感想を言う。

何事にもそうやって楽しそうにしてしまうスズメ。これはファンも増えますわ。

 

「漬物」

実家のよく食卓に自家製の漬物が並んでいた。

毎日かき回さないと腐ってしまう糠を、面倒だと言いながら丁寧に世話をしていた。しかしいつの間にか腐ってダメになっていた。引っ越しのアレコレとか、仕事のアレコレとか、腐ってしまった要因は上げていけばきりがない。むしろ長く持ったものだと大人になって思う。

しかし漬物が並ばなくなった食卓は少し寂しい。

スズメはおばあさんの家に、いらなくなった皿の類いを引き取りにやって来た。自炊することもなく、誰かを家に招くわけでもないスズメには、それほど必要なものではない。

しかしオシャレな皿があるというだけで、漬物だって惣菜だってより美味しく食べられるのではないだろうか。そんなことを学んだスズメであった。

 

「ボーロ」

ボーロを公園で遊んでいた幼女と食べるだけの話。

メイドと幼女、メイドと猫のコンビは、そろそろ難病に効くようになると思う。

 

「スポーツ飲料」

室内にいても気をつけなければいけない熱中症。

もう見るからに暑そうなメイド服を着込んだスズメなら、もっっと気をつけなければならない……のだが、街中で意識が飛びそうになってしまう。そこを助けてくれたのが、第一巻でスズメにアイスを紹介してくれた男の子だ。

急いでスポーツ飲料を買ってきて、脇や頭や首を冷やすように的確な指示を出し、もしもの時のために連絡先を渡す彼の行動力に敬礼。このブログが投稿されるのは、おそらく夏真っ盛り。皆さんも熱中症には気をつけて、元気にこのブログを回遊して欲しい。

 

「ビスケット」

「スポーツ飲料」回のラストにチラリと登場し、夏服のメイド服を届けに来たと語る金髪メイド・リコッタ。まさかメイドが増えようとは、とりあえず拝んでおこう。そして少し生地が薄くなり、ちょっとばかり涼しげな装いとなったスズメは良いものだった。こちらもとりあえず拝んでおこう。

スズメが買ったというビスケットというものを、綺麗な所作で食べるリコッタさん好き。とりあえずこちらも拝んでおく。三回くらい拝んでおけば、良い感じに健康になれそう。眼福回だった。

 

「あんぱん」

あんぱんといえばアンパンマン……だと個人的に思うのだが、スズメ的には探偵が見張りをする定番食らしい。今時の刑事ドラマでは、逆に定番過ぎてなかなか見ないように思うが、スズメは一体何を見て育ったのだろうか。

今回はそんなスズメが探偵のように見張りをする回である。

事件に気付いたのは、日課として行っていたアパート前の掃除の時――一階の廊下にいつも置かれている段ボールの切れ端が、捨てても捨てても置かれていたのだ。その犯人を突き止め、ゴミを捨てないように問い詰めようという訳だ。

そして迎えるほっこりするラスト。みんな良い人で良かった。平和な世界だ……良いね……。

 

「レモネード」

「レモネード……酒か!」と思ったブログ主は病気だ。本作でメイド成分を摂取していなかったら危なかったと思われる。

今回のレモネードは、はちみつレモンを水に溶かしただけのシンプルなものだ。ブログ主としては炭酸水などを入れるものかと思ったし、実際、イギリスでは炭酸で割ったものをレモネードと呼ぶらしい。単純にスズメが炭酸水を買い忘れただけのようだ。

ちなみに自分の冷蔵庫には炭酸水が常備されている。いつでもスズメにレモネードを提供する準備はできているという訳だ。

 

「フライドチキン」

コマツさんとスズメさんが、二人で深夜徘徊し、コンビニでフライドチキンを買って食べる話。あの油と味の濃さは犯罪的だと思うが、スズメの感想も似たような感じだった。「罪深いお味」と……いちいち言葉遣いが綺麗すぎやしませんかね。好き。

 

「おふとん」

おふとんを食べる訳ではないから安心して欲しい。おふとんで昼寝しているメイドさんを眺める回である。犯罪ではないから安心して欲しい。

「いい……」と思っていたら二巻を読み終わっていた。皆さんもそんな体験をしてみてはいかがだろうか。

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