工大生のメモ帳

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リアデイルの大地にて5 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

自由に歩き回れるということ

情報

作者:Ceez

イラスト:てんまそ

試し読み:リアデイルの大地にて 5

ざっくりあらすじ

かつてのプレイヤー仲間シャイニングセイバーから連絡が入り、王都に何やら危機が迫っているとしったケーナは、転移で向かう。なんと強力な魔物の軍勢が、王都に攻め入ろうとしているのだった。

感想などなど

この世界において、レベル最大となって、あらゆるスキルを所持したスキルマスターであるケーナに敵はいない。魔物の軍勢? 高難易度ダンジョン? そんなもの知ったことではない。

だが、ゲームの醍醐味といえば戦闘であろう。戦闘を優位に進めるためにスキルを獲得し、レベルを上げる。金を貯めて、アイテムや装備を買い揃える。様々なトラップに引っかかって得た経験も、きっと戦闘においては生かされる機会が来る。

この第五巻は、そんなケーナによる暴力がそこかしこで振るわれていく。

王都に攻め入ろうとする魔物の軍勢が現れ、混乱していた王都の人々。シャイニングセイバーの率いる騎士団や、かつての騎士団長が率いている傭兵団も、民を守るために怖じ気づいてはいけないと脳で分かっていても、敵の数や強さを前にしては多勢に無勢。押し入られる未来というものを予期していたことだろう。

このままでは勝てない……そう判断したからこそ、シャイニングセイバーがケーナに要請を出したことは言うまでも無い。

そんな危機的な状況も、ケーナの登場でひっくり返り、慌てて来ていたケーナの娘・息子達も、安心したようにホッと息をついている。ドッカン、ドッカンと大魔法が放たれる森を眺める様子は、一大事の終わりを感じさせる”お約束感”すらある。

魔物を使役していた総大将のような奴、ちょっとは強いらしい。ケーナを小娘呼ばわりしつつ、大量の魔物をけしかけたら、それらが一気に消滅する光景は感動すらある。ケーナの怒りに触れた者がどうなってしまうかは想像にお任せしよう。

きっと正解である。

 

その頃、表紙になっている大亀が一つの街を潰そうとしていた。動かずにただ存在しているだけで、とある街では観光地として有益に活用されていたにも関わらず、突如として動き出し、街に向かって真っ直ぐ向かって行こうとしていたのだ。

攻撃をしても止まる様子はない。これを止める方法はあるのか?

その大亀が実は、スキルマスターが建立し、攻略できた者にスキルを進呈する役割を持った試練の塔であることを知っているのは、かなり限られた人間だけ。試練を攻略すれば動きを止められるかもしれないと想像できる者は、いないと同義である。

それを知っている冒険者であるケオルケ、エクシズ、ついでに同行していた元プレイヤー隠れ鬼は、大亀に乗り込み試練に挑戦する。

その試練の内容というのが、ただひたすらにクイズに挑戦するというもの。このクイズがまたゲームのことを知り尽くしていないと解けないようなものばかり。ゲームではなくなってリアルになってしまった今、この塔を攻略できる者もほぼいないのではないだろうか。

この三人には何とかしてクイズを解き、街を救って欲しいところだ。

 

頭脳戦は任せる(そもそも大亀騒動のことを知らない)ケーナは、自分についてきた妖精のことで頭を悩ませていた。怪しげな何者かに、この妖精に名前を付けるように指示を受け、クーという捻りのないがシンプルで良い名前を付けたケーナ。お陰で周囲に見えるようになったクーの正体を探るべく、クーの数少ない証言を元に “夜の神殿” と呼ばれる場所を探すことにした。

ケーナは無駄に権力と影響力があるので、国王に謁見しつつ、息子のスカルゴに ”夜の神殿” が夜神を祭っている――つまりは夜神神殿だと知ったケーナ。何やら思い当たる節があるらしく、精霊ということにされているキーに情報を探らせる。

すると……この夜神神殿は、その昔にケーナと、スキルマスターの一人であるオプスと共に作ったダンジョンであることが判明。オプスがそこにいる可能性に賭けつつ、200年もの間、誰も最下層に到達できなかった意地悪なダンジョンへと足を踏み入れた。

まぁ、ケーナにとっては難しくないダンジョンなんですけどね。

というわけで、戦闘が盛りだくさんの第五巻。大満足の内容でした。

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