工大生のメモ帳

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リアデイルの大地にて7 感想

【前:第六巻】【第一巻】【次:第八巻
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※ネタバレをしないように書いています。

自由に歩き回れるということ

情報

作者:Ceez

イラスト:てんまそ

試し読み:リアデイルの大地にて 7

ざっくりあらすじ

辺境の村で、それぞれの従者を引き連れて優雅な一時を過ごすケーナとオプス。二人はお世話になっている村の人達に、遠くの景色を見せてあげようと、片方の瞳で見た風景を、もう片方の瞳で投影することができるアイテム【対の瞳】をパワーアップさせるべく、各地に点在する守護者の塔をまわることに……。

感想などなど

読み終えた後、感想記事を書くまでには一日から二日程度の期間が空くことが多い。本作も例外ではなく、七巻を読んでから二日ほど経ってから、キーボードを叩き始めた。そして、一番に思ったこと。

「……この七巻、何をしてたっけ?」

全く持って記憶から消えていた。お陰様で二週目を読むことになってしまった。名称や細かな点を確認するために読み返すことはあるが、改めて一から読み返すことになることは久しくない。

そうなってしまった理由を、自分なりに考えてみた。

第七巻では【対の瞳】とやらをパワーアップさせるために、これまで巡ってきた守護者の塔に、改めて脚を運ぶ内容となっている。つまり ”新しい場所を訪れない” 。これまでの復習のような形である。

「あぁ、ここで王子を追っかけまわしてたな」とか「ここに来る前に盗賊団を滅ぼしてたな」とか「喰われてたな」とか適当な回想が思い浮かぶが、それ以上に新しい情報はほぼ出てこない。つまりは変化がないのである。

さらに第七巻ではオプス側の話も少しばかり語られていく。彼女が何かをトンデモナイことを考えて、怪しいことをしていることは伺えるのだが、その目的が明かされないまま第七巻は終わりとなる。このモヤモヤ感、記事を書いている時点では第八巻がまだ出ていないということも相まって、どうにも煮え切らない状態で記事の執筆にあたっている。

戦闘シーンもあまりなく、第六巻のように衝撃の情報が展開されるということもなく、かなり箸休め的な内容と言えるだろう。代わりにといっては何だが、オプスとケーナの夫婦漫才のようなものが楽しめる。

 

この第七巻を一言で説明すると、「どこかにあるプロジェクターを探す話」だと言える。【対の瞳】というカメラで撮った映像を大勢の人で共有するために、どうにかして大画面が欲しいケーナが、あちこちを歩き回ると言えば分かりやすいだろうか。

そのプロジェクターのある場所の手掛かりとして、オプスが誰かにアイテムを預けたという話が語られ、そのアイテムは守護者の塔にあるだろうということになり、これが守護者の塔を巡る理由である。

これまで行った場所に行くだけならば、瞬間移動がある。移動時間が短縮され、度々の移動手段として使われていた商人や騎士団達はお役御免となってしまった。だが出番がなくなった訳ではないのは幸いか。

どうやら王都では、武術大会が開催されるようだ。スキルマスターが出張ってしまえば、誰も勝てる人がいなくなってしまうため、ケーナは参加する気はないらしい……がオプスは参加するようだ。

弱い者いじめか? はたまた別の目的が……?

どうやらオプスには、優勝するとは別の目的があるらしい。

 

オプスという人間は、これまで性格の悪さと意地の悪さ、陰湿さばかりが取り沙汰されてきた。それは事実なのだろうことは、読めば分かる。しかしながら、ケーナのためにゲームを開発したこと、ケーナにシステムをインストールしたことからも、ケーナを助けたいという気持ちだけは本物で、それだけは裏切らないと信じてもいいのではないだろうか。

元の世界では手に入らなかった自由を、どうかケーナには謳歌して欲しい。

その部分だけは読者とオプスの間で共有できているように感じる。第八巻が待ち遠しい第七巻であった。

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