※ネタバレをしないように書いています。
みんな誰かのために
情報
脚本:黒岩勉
主演:鈴木亮平、戸田恵梨香、永瀬廉、蒔田彩珠
全10話
ざっくりあらすじ
老舗洋菓子店「ハヤセ洋菓子店」を営むパティシエ・早瀬陸は、二年半前に突如失踪した妻・早瀬夏海の白骨死体が発見された事件の容疑者として指名手配されてしまう。自身の容疑を晴らすために、幸後一香の誘いに乗って警視庁捜査一課の刑事・儀堂歩にリブートすることに決めた。
感想などなど
自分はハッピーエンドの物語が好きだ。
どんなに辛い地獄のような道中だったとしても、それらの苦しみの全てが報われる結末であれば、むしろ、そうでなければ見たことを後悔してしまう。彼/彼女らの結末はこれでいいのか、と。
本作『リブート』では裏社会の汚い部分に突き落とされた善人・早瀬陸が、目の前で繰り広げられる金と命のやり取りを、家族を守りたいという一心でこなしていく。信用した側から裏切られて良い人は死んでいくという実体験から、誰も信用できないということを骨身に染みて理解させられる……そんな環境において、第一話から心が折れてトイレで吐いている姿が描かれる。
このドラマを通して、たくさんの人が死んだ。たくさんの人の人生がぐちゃぐちゃになった。
しかしドラマを全て見終えた今、死んでいった者達の最期を思い浮かべてみると、誰一人として最後まで諦めた者はいなかった。自分の最愛の人を生かすため命を差し出して、笑顔で死んだ者。拳銃を持った者達に囲まれた逃げられない状況で、拳銃を奪って憎き男を○そうとした者もいた。自分の顔を捨てて別人として生きる道を選んだ者もいる。
それらの足掻きを醜いと思うような人に、このドラマは向かないと思う。所詮、主人公である早瀬陸はしがないパティシエに過ぎない男は、第一話からずっと足掻き続けているのだから。
そんなドラマ『リブート』について語っていきたい。
本ブログではネタバレをしないようにしているのだが、本ドラマにおけるネタバレの定義は難しいように思う。怒濤の展開が詰め込まれた特別編ということでちょっと長めの第一話、ダイアンの津田が○されるのはネタバレに入るだろうか……まぁ、これくらいはいいか。
とりあえず、あらすじをなぞってみようと思う。
老舗洋菓子店「ハヤセ洋菓子店」を営むパティシエ・早瀬陸の平和な日々は、警視庁捜査一課の刑事・儀堂歩がやって来て、二年半前に突如失踪した妻・早瀬夏海の白骨死体が見つかったことを報告に来たことをきっかけに終わりを迎える。
裏社会と思われる人々が静かに動き出し、早瀬夏海が持っていたとされる何かを探し始め、警察の調査が進んでいくことで最有力容疑者として名前が挙がったのが早瀬陸だったことから、何やら決定的な証拠が出たらしく逮捕される運びとなった。
ここまで来て、まだまだ一話は終わらない。初見時、第一話の時間が長めということを知らずに見たため、「そろそろ時間的には終わりか……面白かったな」と思ったらまだまだ終わってなかったくらいには詰め込まれている。
逮捕されるとなった早瀬陸は「話せば分かってくれる」と甘い考えであったが、刑事・儀堂歩からの連絡によって自分が嵌められていたこと、警察には裏切り者がいることなどを聞かされ、彼の指示で家から逃げ出して逃走することとなる。
そんな彼は儀堂と合流しようとするが、その落ち合い場所で儀堂の死体を発見してしまう。ここまでどこか楽観視していた視聴者も、ここで事態の深刻さを実感させられる。敵は平気で○してくるぞ、と。
儀堂の自宅まで行き、彼が残したという情報を探していたところに現れたのが公認会計士・幸後一香だ。彼女曰く、早瀬陸が生き残るには顔を変えて別人として生きる――リブートをするしかないのだという。彼を逃がしてくれた刑事・儀堂歩に成り代わって、元の家族として戻るために無実を証明するため、真犯人を捜すために生きていくことを決めたのだ。
しかし、いざ儀堂となった彼は知ってしまった。
儀堂歩は合六がトップにいる巨大裏組織に潜入しながら情報を集めつつ、警察の情報を合六に流す二重スパイであったということを。さらに失踪した彼の妻・早瀬夏海は、儀堂と結託して組織の金である十億を盗み出した疑いが向けられていたことを。
ここまで文章に書き殴ったが、まだまだ第一話は続いていく。
早瀬陸が儀堂歩として生きながらやらなければいけないことは、早瀬夏海を殺した真犯人を見つけ出すこと。それはおそらく、組織の金・十億を盗み出した犯人……警察官としての表の顔を持ちつつ、裏組織で警察の情報を横流ししながら、裏社会の闇に足を踏み入れていく。
この犯人を暴くミステリの展開もさることながら、金と裏切りに満ちた世界で生きていく犯罪映画的な要素もありながら、手に汗握る展開が全てのエピソードに用意されている。
このドラマでは、様々な家族の形が登場する。
合六がトップにいる巨大裏組織は、表にはゴーシックスコーポレーション代表という立派な顔を向けながら、裏では資金洗浄を始めとした犯罪を組織的に行い莫大な利益を上げている。
その組織における汚い部分を担っている冬橋という男は、家族のいない子供達を集めたシェルターを運営し、ある種の家族を形成していた。第一話にて死んでしまった儀堂には、別居して久しい妻がいて、離婚も秒読みと外からは見えたかもしれないが、それでも二人には愛があり、間違いなく二人は家族だった。陸にリブートすることを勧めた幸後一香にも、病気で苦しんでいる最愛の妹がいた。
最初にも書いたが、誰一人として何かを見捨てて諦めた者はいなかった。例え確定した死が待っていようとも、家族を守るために足掻く者達が何人もいた。その全てが美しく、そして報われるべきだと願いつつ見届けることとなる。
その願いがどうなったかは是非とも自分の目で確かめてほしい。救いの物語だった。