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ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する2 感想

【前:第一巻】【第一巻】【次:第三巻】

※ネタバレをしないように書いています。

これまでのループを無駄にはしない

情報

作者:雨川透子

イラスト:八美☆わん

試し読み:ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する 2

ざっくりあらすじ

別のループで自分を殺した皇太子アルノルトの元に嫁ぎ、その弟テオドールとの確執も解消し、自由気ままな花嫁生活が順調(?)に進んでいた。そんな中、強くなるために男として騎士団の訓練に紛れ込もうとするリーシェであったが――。

感想などなど

なんやかんやあって、皇太子アルノルトの嫁となったリーシェ。あっさりと書いているが皇太子の妻、つまりは皇太子妃となった訳であって、もう目標である自由気ままな花嫁生活は確約されたも同然……と言いたい人生だった。

婚約相手の弟に拉致監禁されるという人生を、自由気ままな花嫁生活と呼べる人がいるならば、是非ともお会いしたい。その包囲網を単身でくぐり抜け、何事もなかったかのようにする強者は、花嫁という役柄に押しとどめておくのはあまりに損失が大きい。

とはいえ彼女は勝手に国をよりよくするために行動し、勝手に強くなるための特訓を積んでいくのだから恐ろしい。第一巻での騒動の反省を生かし、ひとまず強くなるための特訓を開始したリーシェが、その特訓方法に選んだのは、別ループでは敵国だった騎士団に男として潜り込んで扱かれるというものだった。

その協力をお願いされたテオドールはドン引きである。とはいえ兄の驚いた表情を見たい彼は、なんやかんやで快諾し、騎士団としての特訓が受けられるように地位などを準備。兄(とリーシェ)に負けたが、こいつはこいつで有能である。

そうしてフリッツという名前で特訓を開始したリーシェ。テオドールではないが、この事実がアルノルトにバレてどんな表情をするのか、楽しみにしている読者はブログ主だけではないだろう。

この第二巻ではそんな特訓を本筋にして展開する……といいたいところだが、実際の物語はかなり複雑に展開していく。別のループで薬師である時に救った雪国コヨルの第一王子カイルや、同じループで薬師としての先生であったミシェルといった面々との再会により、物語は混沌へと向かっていく。

 

雪国コヨル。

宝石が産出され、金鉱も有しており、そこそこの国力があるように一見すると思う。しかしながら冬は雪により閉ざされ食料の確保や流通に難航し、薪の消費も著しい。もしもアルノルトが治める(ことになる)ガルクハイン国との戦争になれば大敗することだろう。

つまりは二国間の立場は対等に見せかけているがその実際は違うということ。

今回、第一王子コヨルがガルクハイン国を訪れたのは、友好を示すということもあるが、それ以上に戦争をしないための根回しという側面が強いように思える。ただ先ほども書いたように対等な関係を築くにしても、国力差があり過ぎるというのは考えものだ。

良く考えて欲しい。ガルクハイン国からコヨル国に色々と支援したり友好的にしたとしても、コヨル国からの見返りを求めようにもそんなものはない。このままでは国力差ばかりが広がっていくこととなる。

これを打開できるカードがコヨルにあるのか。戦争になることは是が非でも回避したいリーシェの奮闘が始まる。

 

この第二巻は色々とリーシェのしたいことたくさん描かれ、自由気ままに好き勝手に行動し、場所や状況や目的というものが激しく入れ替わっていく。そのため時間を空けて読むと「あれ、ここにいるのは何でだっけ?」と記憶障害になった気分が味わえる。最終的にはコヨル国とガルクハイン国との戦争を回避するという大きな柱が立ち上がってくるので、ひとまずそこまで一気読みすることをおすすめしたい。

色々といったが最後には綺麗なシーンで幕引きとなる。読み応えのある第二巻であった。

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