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七星のスバル6 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

終幕は近い。知らねばならない。過去や未来を。

情報

作者:田尾典丈

イラスト:ぶーた

ざっくりあらすじ

 旭陽が連れて行かれ、全力の攻撃も全てあっさりと弾かれ、呆然とするスバル一行。どうすれば勝てるのか? 奴らはどこに行ったのか? 何も分からない彼らにエリシアは静かに語り始める。

感想などなど

五巻(七星のスバル5)では失踪した希を<リユニオン>の世界で発見し、彼女の思いにようやく気がついた貴法が、彼女の心に抱えた闇を取り払いました。前回の感想で散々彼の鈍感ぶりをなじりましたが、気がついて一歩踏み出すことができ、めでたしめでたし……というわけにもいかず、”グノーシス” の親玉が登場し、覚醒した旭陽を連れ去られてしまうという失態を犯してしまいました。

伝説と謳われたスバル、しかも貴法と陽翔が覚醒した状態で、なすすべもなく壊滅していく様は中々に絶望的でした。

で、ここからどうすんの? というところで五巻は終了。六巻に突入していきます。

 

今までの感想でも情報をまとめつつ、考察とも言えない考察をまとめてきました。それらを簡単にまとめてみましょう。

まず、敵であるグノーシスの目的は「覚醒した旭陽を使って未来を選択し、自分たちに都合の良いようにする」ことです。これはエリシアが語ってくれていましたし、五巻でわざわざ敵が説明してくれました。

次に、<リユニオン>については「能力を開発し、現実でも使えるようにするための場所」ということで間違いないでしょう。覚醒が最終的に能力の開発の限界点であり、そうなってようやく現実でも使えるようになるということのようです。

最後に、エリシアについて。彼女は上記のことについてはもうずっと前から知っているような口ぶりでした。また旭陽が記憶を取り戻していく鍵となっている赤い石についてもやけに詳しいようです。

そしてグノーシスのリーダー・セトに対しての異常なまでの殺意。これらが意味することは伏線が張り巡らされているようですが、明らかにされていませんでしたが、六巻ではそれらに関する情報が説明されていきます。

そこには悲しく切ない物語があるのでした。

 

といっても、彼女の口から長々と説明しているような時間はありません。旭陽が連れ去られたのですし、早く手を打たなければ世界は彼らの手に落ちてしまいます。

しかし、彼らになすすべなくやられたということも忘れてはいけません。

急ぎつつ、最善の手を打たなければ取り返しもつかないことになります。

ここで旭陽が記憶を取り戻した赤い石が、記憶だけでなく彼女の能力を一部封印しているということがエリシアの口から語られます。なるほど。つまりエリシアが旭陽の能力を封印し、ついでに記憶まで奪っていたことが分かるのですが、それはとりあえず置いておきましょう。

グノーシスもその情報は手に入れているはず。残された赤い石を是が非でも手に入れようとしてくるはずです。

ここでスバルの当面の目標が決まりました。

「最後の赤い石を先に奪ってしまえば良い」

と。早速向かうわけですが、当然そう簡単にはいきません。最後の赤い石がある場所は海底ダンジョンの奥、しかもモンスターを吸収することで、能力を奪い急成長を遂げるボスとのご対面。ついでにグノーシスの幹部を添えてご登場です。

 

ここでちょっと「七星のスバル」というタイトルについて考えてみましょう。「急すぎだろ」という突っ込みがあるかもしれませんが、読んだ人なら分かって貰えるはず。

スバルとはプレアデス星雲の和名であり、プレアデスはギリシャ神話で登場する七姉妹の名前だそうです。

「あぁ、だから七星なのか」

自分もそう思っていました。まぁ、「なんでギリシャ神話やねん、まどろっこしすぎやろ」、とか心の中で突っ込みを入れていましたし、七星剣の登場の際には「ようやくタイトル回収かぁ」と安堵したものです。このまま最後の最後まで突っ込まれることもなく、「ただかっこいいからタイトルはこうしました」と言われても別に何とも思いません。

しかし、このタイトルの意味を上手い具合に回収してくれました。

どう回収したのか、本編で回収して下さい。

 

これまでドロドロとした男女関係を交えて描かれていました本作。それらの関係性がようやく一つずつ回収されていき、終わりが近づいてきたなと思います。

まぁ、次で完結なんですけどね。

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