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七星のスバル7 感想

【前:第六巻】【第一巻】【次:な し】
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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

決着を付けに行く。

情報

作者:田尾典丈

イラスト:ぶーた

ざっくりあらすじ

七つの星を取り戻し、旭を救い出すためグノーシスの本拠地である ”狭間” に突入する。立ちはだかるのは心奏の怪物・ナハシュとグノーシスの頭・セト。死闘の末、スバルが選択する未来とは……

感想などなど

第六巻(七星のスバル6)では、二刀流のカインとの死闘を経て、さらなる力を手に入れた面々。これまで六人だけと思われていたスバルのメンバーに、実はエリシアが入っていたことが判明しました。つまり、七星のスバルの名前の由来は単純に、メンバーが七人だったことからとったということですね。

七星剣もチーム名がスバルであることも理由の一つでしょうが、一番はやはり七人のセンスの力を込めたからというのが、一番大きな理由でしょう。

つまりやっとスバルとして、伝説のチームが復活したということです。何故今までそのことを忘れていたかと言えば、エリシアに記憶を消されていたから。何故彼らの記憶を消していたのかは、未来から来ている自分が後腐れなく去るため。

改めてエリシアもスバルの一員として、旭陽を取り返すために ”狭間” へと向かいます。

 

時は一刻を争います。今すぐにでも行きたいところではありますが、ここはグッとこらえ、闘いに備えた作戦立案と準備に勤しみます。

セトの能力も分からぬまま同じように向かって、返り討ちされることは目に見えています。6巻ではセトの能力に関して書かれていませんし、考える暇もなかったように思います。

作戦立案する上では、彼の能力を知らなければいけないと言うことで推測していきます。

結論から言ってしまえば、セトの能力の ”一つ” は「時間を巻き戻し攻撃する」ことでした。ネタバレ? と思われるかも知れませんが、たいしたことはありません。まさか、ラスボスの能力がたった「時間を数十秒巻き戻して過去に攻撃する」だけとは思わないですよね? まぁ、これから ”狭間” に乗り込もうとしている主人公がそんなこと考えもしませんが。

セトが「時間を巻き戻して過去に攻撃した」ことは、攻撃を受けた彼だからこそ分かったということだそう。確かに、最強の火力を誇る彼の一撃を、自分やフィールドのどこにも傷一つ付けぬまま消し去ることができる能力はそれくらいしかないのかもしれません。

チート級の能力です。なんせあらゆる攻撃が相手には通らず、一方自分はたこ殴りにされるということですから。オフラインのゲームだったらクレームものです。勝ち目がないじゃないか、と。

しかし、陽翔には何か策がある様子。

話には全くもって関係ありませんが、時間操作系の敵と聞いて、SPECを思い浮かべるのは自分だけでしょうか。

 

セトの話しかしていませんが、問題はまずセトにたどり着けるのでしょうか?

別にセトから出向いてくる必要もないのです。部下で片付くならば、それでいいでしょう。当然、セトの側近であるナハシュがスバルの前に立ち塞がります。

彼の能力は心奏。スバルで言うところのエリシアと同じタイプです。

簡単に言ってしまえば幻覚を見せるといった類いの能力です。「何だ、精神系かよ」とお思いの方いるかも知れませんが、NARUTOでも幻覚使いは大抵強かったはずです。今回も例外にもれず、相手を翻弄してくる強敵です。

特に厄介なのが、ダメージを与える幻覚。「幻覚じゃないやん」と思いますが、自身の攻撃は当たらないので、幻覚ということだそうです。心に痛みを与えるということだそうですが、今書いている自分でもここら辺の理解は怪しいので、詳しくは本編を読んで確認して下さい。とにかく厄介で気色の悪い能力とだけ覚えておいてもらえればいいかと。

 

皆さんはクライブを覚えていますでしょうか。恋愛沙汰の際にはあまり関わってくることもなく、使っているセンスも ”変幻” と言ってしまえば、地味すぎて説明に困る能力。しかも、覚醒していないというおまけ付き。そんな彼も自分が能力を覚醒させていないことは気にしていたので、覚醒させるべく別の最強ギルドに喧嘩を売りに行ってから一切登場してくれません。 ”狭間” に乗り込むときすら姿を見せないという徹底ぶり。

さて、ここまで引っ張るのですから、彼の登場シーンには期待せずにはいられません。能力もどのように覚醒を遂げているのかも楽しみの一つです。

 

セトの目的は自分の臨む未来――彼曰く世界のためだそうですが、結果として争いに満ちた世界で多くの人が苦しんでいることは、未来から来たエリシアが語ってくれます。

旭陽はシステムとしてただ生かされてるだけの存在になることも、放ってはおけない事態です。

旭陽を助け、世界を助ける。そのための闘いが幕を開けます。

VR世界で繰り広げられる人間ドラマを乗り越え、張り巡らされた伏線も回収し、物語は終幕へと向かって行きます。長きにわたった戦いの結末と選択する未来をどうぞ確認して下さい。

後腐れなく綺麗に終わった、いい作品でした。

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