工大生のメモ帳

読書感想その他もろもろ

俺を好きなのはお前だけかよ④ 感想

【前:第三巻】【第一巻】【次:第五巻】

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

隣の芝生は青く見える

情報

作者:駱駝

イラスト:ブリキ

ざっくりあらすじ

いつも憎まれ口を叩くパンジーだが、呪いだと告げるほどの天敵が現れた。

感想などなど

一方的で過度な好意は迷惑であろう。一線を越えればストーカーとしてニュースに名が載ることになりますし、そこまで行かずとも嫌われることになります。悲しきかな、好意を必ず受け取って貰えるというのは幻想なのでした。

本作においてはパンジーがジョーロに対して、過剰とも思えるような好意を見せつけています。それに対して答えようとしないジョーロ、もうこの時点で必ず好意を受け取って貰えるということは幻想だと分かります。

サンもパンジーに対して好意を抱いていますが応えて貰えず、元より第一巻からしてややこしい恋愛模様による拗れが描かれていました。第二巻も第三巻も、誰かが誰かに(大抵ジョーロに対してですが)好意を抱いたことによる騒動を描いていました。

第四巻も例外ではありません。

これまでジョーロ達のいる高校内でのドロドロ恋愛劇だったものが、他校を巻き込んでまでの騒動へと発展してしまいます。

 

第四巻はジョーロ達のいる高校内で、パンジーとサンの恋路を応援してあげたいという心優しき女子高生・蒲田公英が現れてアタフタする前半部と、ひょうんなことで仲良くなった他校の図書委員・葉月保雄との一騒動の後半部で描かれている。

それぞれ感想らしき何かを書いていこう。

まずは前半部。この前半戦の魅力を伝えるためには、超カワイー女子高生にして、これまで九十七回告白されたと自称し、少女漫画で恋愛を学んだ野球部のマネージャーである蒲田公英、通称タンポポについて説明しなければ……あれ、もうほぼ説明してしまった……。

彼女はサンに万全な状態で大会に参加して欲しいと考え、パンジーとサンに付き合って貰おうと考えたようです。「守るべき女がいれば男は強くなる」ということ考えであるらしく……どうやら彼女は少女漫画で男というものを学んだのでしょう。

そんな彼女のちょっとエッチなブロマイドに釣られ……いや、サンのモチベーションのために奮闘します。まぁ、指示をするタンポポの脳内がかなりポワポワしているせいで、「突然抱きつけ!」とか「告白しろ!」とか意味不明すぎるのですが……まぁ、いいでしょう。無理矢理押しつけられた好意など、受け取る人間なんてそうそういませんからね。

さて、問題の後半では他校の図書委員・葉月保雄、通称ホースとのエピソードになりました。まずは彼がジョーロのいる高校にやって来た理由を説明しましょう。

そのきっかけというものは恐ろしいまでに突発的でした。なんと「図書室の閉鎖」が決定したのです。どうやら、あまりにも人が来なさすぎるために予算削減の煽りを受けてしまったようでした。

しかし、教師達と話し合い『指定された期間のやって来た人員をこれまでの十倍に増やす』ことができたら、図書館の閉鎖を取り消しても良いと言われたのです。とはいいつつも、その提示された条件というものが思いの他厳しい。これまで全く図書室を利用してくれなかった人々を呼び込まなければいけないのですから。

そのための助っ人として呼ばれたのが、ホースだった訳です。

彼の手腕は見事と言わざるを得ませんでした。なるほど、助っ人として呼ばれるだけのことはあります。アイデアの豊富さ、それを実現するだけの行動力、協力してくれる人を集めるだけの集客力もある。顔もイケメンときた。彼はモテモテなのでした。

しかし、彼には重大すぎる欠点がありました。個人的に本シリーズにおいて一番厄介な存在と言えるかもしれません。あのパンジーですら、彼のことを呪いと呼ぶほどのヤバい奴なのです。

さて、勘違いして欲しくないのは、『彼は何も悪いことをしていない』ということです。嘘もついていませんし、他人を騙すような策略を立てることはありません。凄く失礼な言い方をすると、もはや存在自体が厄介とでもいいましょうか。

この説明の意味を本作を読んだ方は実感することでしょう。そして、あなたの知り合いの中にも、おそらくは一人くらい似たような人がいるのではないでしょうか。

最後にこの言葉を贈りましょう。

『鈍感は罪である』と。

【前:第三巻】【第一巻】【次:第五巻】