工大生のメモ帳

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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。⑪ 感想

【前:第十巻】【第一巻】【次:第十二巻】
作品リスト

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

バレンタイン

情報

作者:渡 航

イラスト:ぽんかん⑧

ざっくりあらすじ

一色いろはの依頼を受け、バレンタインデーのイベントを手伝うことになった奉仕部。イベントには三浦や海老名、川﨑などのメンバーも加わり大規模になっていく。

感想などなど

バレンタインデーに対して抱く感情というものは、男女によって大きく異なってくるのではないだろうか。例え製菓会社の陰謀により作り上げられたイベントと言えど、世間を彩るバレンタイン色は無視したくともできないもので、女性は意中の相手に渡すチョコをいろいろと模索し、男性はチョコを貰えるのではないかという期待を胸に一日を過ごすこととなる。

社会人にとってはそれほど一喜一憂するほどのイベントではないものの、高校生にとっては学生生活を左右しかねない一大イベントだったように感じる。貰える、貰えないに関わらず、下駄箱や机の中を確認するときのドキドキは皆共通だ。

さて、八幡達のいる高校も例外ではなく、バレンタインデーの波というものはやって来た。昼休みに「チョコをちょこっと食べたくね?」という小粋なギャグを呟く戸部や、チョコを作ることの難しさや、手作りチョコの重さを語る女子高生を見ることができる。

知り合いに「他人の手作りが絶対に食べられない」という友人がいて、チョコを貰うときは笑顔なのだが、家に帰ろうものならゴミ箱にダンクしていた。結果として作ってくれたチョコを食べていない最低な奴なのかもしれないが、それを隠し通した彼はある意味優しかったように思う。

そんな彼とは方向性がまるで違うが、葉山隼人は絶対にチョコを貰わないというように周りに宣言したらしい。第十巻にて、「何も選択しない」と語った彼らしい選択である。こうすれば誰かと恋仲になったという噂すら立ちようがない。火のないところには煙がたたないというならば、その火すら出ないようにすれば良い。

そんなバレンタインデーを目前に控え、奉仕部にはたくさんの女子が依頼を持ち込んできた。

まず一人目の三浦優美子は、『葉山隼人にチョコを渡したい』という旨の依頼を出す。実際は相手の名前を出していないのだが、彼女が葉山以外の男にチョコを渡す光景を想像できないので、もはや答えを言わないことが答えのようになっている。

次に二人目の海老名さんは、三浦にひっついて来た形ではあるが、『イベントで作る義理チョコで良いものがないか紹介して欲しい』という内容。そのチョコの渡り手が戸部っちであることを少しだけ願っておこう。

三人目の川﨑沙希は、『妹でも作れるようなチョコ菓子を教えて欲しい』という内容。八幡をはーちゃんと呼び、姉をさーちゃんと呼ぶ女の子でも作れるようなお菓子があるならば、由比ヶ浜でも作れ……うむ、作れるかなぁ……。

そこに一色いろはの『葉山先輩はどんなチョコが好きなんですかね-?』と言いながら、目線は八幡に向いていそうな依頼も心の隅っこに置いておきつつ、奉仕部一行は同時に提示された依頼の数に頭を抱えていた。

「困難は分割せよ」とデカルトは言っていたが、統合できる困難は一気に解決するに限る……という訳で、チョコ菓子をみんなで手作りするイベントを、生徒会主導で開催することに決めた。

なるほど、葉山には味見と称してチョコを食べさせることができ、義理チョコも子供でも作れるようなチョコも雪ノ下が同時に作り方を紹介してくれれば良い。味見なので葉山が好きな味というものもたくさん食べさせれば分かるだろう。効率的である。

 

海浜総合高校との地獄のようなクリスマスイベントの準備を経験したことにより、大量の経験値を得て大きなレベルアップを遂げた一色いろは。イベントの開催準備も、大きな問題が発生することもなく順調にこなしていた。

ということでイベントを手伝うことを最終的に依頼された奉仕部は、とくだんすることもなく三人で仲良くしていた。これまで居心地の悪い空気が漂うこともあったが、「本物が欲しい」という八幡の言葉を聞いて思うことがあったのだろう。

しかし、それを良しとしない人がいた。天使のような鉄仮面を被った姉こと陽乃さんである。

第十一巻でのポイントを言うなれば、『雪ノ下雪乃に関する答え合わせ』だろう。これまで陽乃さんの後を追うような進路を歩んできた雪乃の行動を思い返して欲しい。あまり意識されないようにされてきたが、雪乃と陽乃の関係性を一言で表現すると依存である。

だからこそ「姉とお前(=雪乃)は似ていない」という八幡の発言に雪乃は驚き、もっというなれば高校に総武高校を選んだのも姉の背中を追っての行動だったのかもしれない。そんな雪乃の依存先が、今現在は八幡に変わっていたことが、この第十一巻で露骨に描かれていく。

八幡に助けられ好意を抱くことになる由比ヶ浜、八幡に依存する雪ノ下雪乃……この関係性を知った陽乃は、「偽物」だと一刀両断し、今の彼・彼女達の関係性を壊そうとする。

結局、三人とも捻くれていたのだろうか。この奉仕部の関係性が目指す形とは何なのか。終わりはあと少しのようで、かなり長い。

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