工大生のメモ帳

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【ドラマ】再会~Silent Truth~ 感想

※ネタバレをしないように書いています。

みんな誰かのために

情報

原作:横関大 『再会』

脚本: 橋部敦子

監督:深川栄洋、山本大輔

主演:竹内涼真、井上真央、瀬戸康史、渡辺大知

全9話

ざっくりあらすじ

スーパーの店長が撃たれた。それに使われたのは23年前の現金輸送車強盗事件で殉職した巡査長の拳銃だと判明した。しかし、その拳銃は紛失していたはずで……。

感想などなど

全て見終わった後、何とも言えない不思議な感情になった。

謎は全て解決したし、犯人はしっかりと罪を償うこととなった。それでも、どうにも腑に落ちない。何だろうかと考えた時、おそらく「最終話のその後」を想像したときに、そこに幸せなストーリーを想像することが、少なくとも自分にはできなかったのだと思う。

このドラマで描かれる一連の事件は、生き残り達にも相当なトラウマを植え付けた。ある者は一生の後悔を背負い、ある者は誰にも言いたくなかった過去を話した。ある者は、ある者のために一生を捧げる決意をした。事件が解決して救われた者もいたが、事件によって失われた時間は戻ってこない。

これから先、残された者達には幸せな未来が待っていてくれればと切に思う。しかし心の片隅で、幸せだった頃はもう戻ってこないという諦めも芽生える。そんな視聴者の感情を汲み取ったのだろう、救いのあるようなシーンや演出が散りばめられていた。

本ドラマ『再会~Silent Truth~』は現在起きたスーパー店長銃殺事件と、23年前の現金輸送車強盗事件、それぞれの謎を追い求めていくことになる。何故23年前の事件が関係してくるかといえば、スーパー店長銃殺事件で使われた拳銃が、23年前のその事件で使われたが紛失していた拳銃と一致したからである。

つまり、23年前の事件は解決しているように見えて、全く解決していなかった。

この闇はあまりに深く、登場人物達の時間を奪ってぐちゃぐちゃにし、幸せになる権利を奪った。事実、とある人物には「幸せになる権利なんてないと思ってた」と言わせている。そんな彼を庇うために、とある人物は一生口をつぐむ覚悟を決めさせている。

みんな誰かを守りたいがために罪を犯し、幸せになる権利を放棄した。この物語のみんなが幸せになるには、「自分には幸せになる権利がない」という思い込みを捨てさせるしかない。

果たして、それができたのだろうか?

その辺り、感想を語りながら自分の気持ちを整理し、言語化しながら書いていきたい。

 

さて、最初にも書いた通り、現在のスーパー店長銃殺事件と23年前の現金輸送車強盗事件の2つが密接に関わってくる。その理由は、店長銃殺事件に使われた拳銃が、殉職した巡査長の所持していた拳銃だったからだ。

その殉職した巡査長の死体の第一発見者だった4人の小学生が、今回の事件にも密接に関わってくる。視聴者はそんな4人のうちの1人、今は刑事となった飛奈淳一の視点で事件を追っていく。

さらりと流してしまったが、23年前の現金輸送車強盗事件は準作業が強盗犯を射殺し、自身も撃たれ、その2人の死体を小学生4人が見つけたことで幕を閉じた。警察の中に強盗犯の仲間がいた疑惑や、巡査長の拳銃が行方不明になったことに伴う別の仲間がいるのではという疑惑はあったが、それらは全て強盗犯が死んだことでただの疑惑となった。

しかし、事件は終わってなかったのだ。

殉職した巡査長の拳銃……つまりは強盗犯を撃った拳銃が、23年という歳月を経て、今度はスーパー店長を撃った。この事件を追っていく飛奈淳一は、どうしても23年前に一緒に巡査長の死体を発見した同級生を疑うことになる。

なにせスーパー店長は、4人の同級生の1人・佐久間直人の兄だった。しかも死亡推定時刻の前に、4人の同級生の1人・清原圭介と会っており、その理由は4人の同級生の1人にして清原の元妻・岩本万季子が脅迫されていたからだという。

これを偶然と片付けることはできるだろうか?

もう一度書こう。

23年前の事件で紛失した拳銃で、23年前の巡査長の死体の第一発見者の1人の兄が殺され、その直前に第一発見者の2人と会っていた。これで23年前の事件が関係ないとする方が無理がある。

その事件を調査する刑事・飛奈淳一の心境も穏やかではない。

なにせ23年前の拳銃が紛失した理由を彼は知っているのだから。

 

このドラマの一番の魅力は、その謎だと思う。飛奈淳一の視点で描くからこそ、彼が知っている事実や感情が事件の真相に近づけていくようで遠ざけていく。4人のかつての同級生達が隠したかった事実を暴かなければ、事件を解決することはできなかった。

最初に【「最終話のその後」を想像したときに、そこに幸せなストーリーを想像することが、少なくとも自分にはできなかった】と書いたが、ここまで書いてみて改めて思う。

彼らが幸せになるには、このような遠回りが必要だったのだ。これまで幸せに思えた日常は、どこかずっと影があった。その影にやっと光が当たった。彼らのこれから先の生活は、きっと大変なこともたくさんあるはずだ。

しかし、幸せを掴んで欲しい。そう思えるドラマだった。