※ネタバレをしないように書いています。
入れ替わってる!!
情報
監督、脚本:新海誠
声優:神木隆之介、上白石萌音
ざっくりあらすじ
1000年ぶりの彗星の来訪を1カ月後に控えた日本。田舎に住む女子校生・三葉は都会に住む男子高校生と入れ替わっている夢を見て、都会に住む男子高校生・瀧は田舎に住む女子校生と入れ替わっている夢を見た。徐々にお互いの中身が入れ替わっていることに気付いたが――。
感想などなど
2016年当時、オリジナル作品でありながら興行収入250億円という大ヒットを売り上げた本作。ブログ主も当時映画館に観に行ったが、ロングラン故の流行タイミングからはかなり遅れて見たにも関わらず、席はかなり埋まっていた。
映画館の大画面で見た映像美、RADWIMPSの挿入歌などの演出が最高だったことをよく覚えている。映画を見ている最中は、伏線だのアレコレだの複雑なことは気にもとめずただ押し寄せる感動に抗うことができぬまま押し流されたような感じだった。
約10年が経ってから、全ての物語を理解した上で見た感想は、「ここまで売れるにしては難しい構成だな」という冷めたものだった。やはり映画館という大スクリーンで見た初見の感動は越えられないのだな、と感じた。
だからこそ現在、『君の名は。』のネタバレを一切踏んでいないという天然記念物の方は、そのまま初見の心持ちで『君の名は。』を見てほしい。
一応ネタバレをしないようにするために多くを語らないが、単純に田舎の女子校生と、都会の男子高校生の中身が入れ替わっているだけではないというのが、本作における重要な要素となっている。この要素がストーリーにおけるドンデン返しのギミックとして機能し、尚且つ多くの人命を助ける鍵にもなる。
よく叙述トリックに代表されるようなドンデン返し的展開を押し出している作品があるが、この『君の名は。』はそういう売り出し方はされていない(ただ当時の記憶が曖昧なだけかもしれないが……)。それ以上に映像や音楽を用いた演出、新海誠作品にしては珍しい全てが報われるエンディングが、世間に評価された結果、250億円という大ヒットに繋がったのではと思う。
色々と書きたいことは書いてしまった……とはいえ一応、青春恋愛模様にも言及しておきたい。
本作は入れ替わりという性質上、男女――つまりは三葉と瀧は顔を合わせることなく恋愛感情を育んでいく。入れ替わっているのだから、鏡を見れば相手の顔は分かるし、ある意味 "顔を合わせる" 以上に相手を理解していると言えなくもない。
この入れ替わりをきっかけにして、お互いの恋愛感情に繋がっていく描き方が上手いと思った。普通に生きていれば出会うことのない二人が心を通わせるきっかけとして、入れ替わりは突如として発生した舞台装置に過ぎないかもしれない。それでも運命的なものを感じさせるだけの説得力があった。
男女の入れ替わりによる差異、例えば瀧の一人称が急に「わたし」になったり、三葉の男女の距離感が急激に近くなったり――といったような男女入れ替わりにありがちなシーンはギャグ風に描かれているが、それぞれがお互いの深いところを知っていき「会いたい」と思うまでの流れは、ここだけで一本の作品として成立するくらいには出来上がっている。
ここからさらに一展開加わるからこそ映画として成立したし、「ここまで売れるにしては難しい構成だな」という感想を抱いてしまったのだろうと思う。
とはいえ、それらを分かりやすくするためにシンプルにしている工夫はあったように思う。例えば、物語の根幹である入れ替わりの原因は、作中において全く語られていない。ここは批判ポイントにもなるかもしれないが、ブログ主の感想としては、そういった複雑な話は排除して正解だったと思う。
三葉と瀧の物語として純粋に見ることができたし、複雑な構成も一見するとシンプルに見えた。この辺りがエンタメ映画として良い映画だったと思う。
一切ネタバレを踏んでいない方は、このまま何も調べずに映画を見るようにして欲しい。見て損はしない映画だった。