※ネタバレをしないように書いています。
至高の騙し合い
情報
作者:迫捻雄
試し読み:嘘喰い 11
ざっくりあらすじ
立会人・門倉の提案により始まった、警視庁地下にある迷宮を舞台とした新たなゲーム「ラビリンス」。貘、マルコ、天真、箕輪の四人の内、最初に迷宮を解き明かすのは誰か? 命を賭けた戦いが始まる!
感想などなど
さっそく新たなゲーム「ラビリンス」の話に……と行きたいところではあるが、まずは嘘喰いの指示に従って動いている伽羅、アイデアル所属のカラカル、掃除人の夜行の山陰による三つ巴の戦闘から始まっていく。
殺人事件の犯人にされてしまった梶と、アイデアルから逃げ惑うカールにとって、生きた心地のしない現場である。互いに拮抗した暴力を持ち、一瞬でも気を抜けば死ぬという苛烈な戦い。
頭脳バトルばかり注目されがちだが、こういった暴力のぶつかり合いも、本シリーズにとっての魅力だと思う。その三つ巴に割り込んでくる密葬課という組織、まさかの結末の不気味さは必見である。
一方その頃、嘘喰い達は勝負を始める前の平和を享受していた。いささか暴力的で血の気の多い平和ではあるが、賭郎が見張り、殺し合いをしないようにしていたのだから間違いではないはずだ。
そんな中、梶からのメールで『Lファイル』という名前のファイルがあるということを知った貘。それを天真から引き出させ、これから始まるゲームでは十一億と『Lファイル』を賭けさせるようにした。
ここまでは貘の思惑通り。まぁ、それは、カラカルやら他の人達も想定していた動きかもしれないが。
そうして始まるゲームは『ラビリンス』。
貘と雪井出が争ったゲーム『ラビリンス』では、対戦相手が6×6マスの紙に書いた迷宮を解くという内容であった。しかし今回は、立会人・門倉が制作した迷路を、警視庁の地下に作られた6×6マスに配置された部屋を移動することで解いていく。
ただそれだけでは面白くない。細々としたルールがある。
移動するのは決められた順番で交互。部屋の壁に設置された扉を一つ選んで進んでいく。その際、正しい扉を選択した場合は、Mと呼ばれるポイントが1加算され、扉の先の部屋へと移動する。間違った扉に手をかければ、その扉は開かず、ミスをしたこととなり、異動するのは次の人の番となる。
それを繰り返すと、いつかは誰かと遭遇することになる。その際には、これまで正解した扉をくぐったことで貯めていたポイントから、消費するポイントを互いに提示する。その提示したポイントが少ない方は、多い方に一方的にボコボコにされる。
例えば。
獏と箕輪が、迷宮内で遭遇したとする。そこで獏が1ポイント、箕輪が2ポイント提示すると、箕輪は一方的に獏を殴ることができるようになる訳だ。つまりは獏は死ぬ。
ここで提示するポイントの駆け引きが発生し、そもそもポイントをためるために正解の扉を選び続ける必要があるのだ。
この第十一巻では、そんなゲームのルール説明が行われ、その間にも何かを仕組んでいそうな行動をする。これまでのこともあり、全ての言動が怪しく見えてしまう。
この記事を書いている時点で、ブログ主はゲーム『ラビリンス』を読み終えて、二週目に突入している。だが、新たな発見があり、「この時から作戦を考えてたんだな」とか、「この行動の意味はそういうことだったんだな」と色々な情報が繋がっていく。
ここまで読んでいるという人も、是非とも色々と読み返して見て欲しい。とても重要な情報が詰まった第十一巻であった。