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【漫画】嘘喰い12 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

至高の騙し合い

情報

作者:迫捻雄

試し読み:嘘喰い 12

ざっくりあらすじ

立会人・門倉の提案により始まった、警視庁地下にある迷宮を舞台とした新たなゲーム「ラビリンス」。ゲームが順調に進んでいく中、プレイヤー同士が出会い、誰がいつ死んでもおかしくない暴力のぶつかり合いが行われていく。

感想などなど

ゲーム「ラビリンス」については、第十一巻の感想で書いたが、改めて簡単にまとめておく。

舞台は6×6の計36部屋が正方形に配置された地下迷宮。そこを扉を開けて移動していくことでゴールを目指していく。扉を開ける度にポイントが加算され、迷宮内で誰かと遭遇した際には、ポイント数を互いに宣言し、宣言したポイントが高い方が、相手を一方的になぶり殺す権利を得る。

そうして、一番にゴールにたどり着いた者が勝者となり、Lファイルと11億を手に入れるに至る。

箕輪と貘が出会い、宣言したポイントが貘の方が小さければ、きっと箕輪は彼をボロ雑巾にしてしまうだろう。一方、天真とマルコが出会った場合、天真が同様の結末を辿るであろう。

出会い方によっては、死人が出てもおかしくないゲーム。そんなゲームで、いきなり同じ部屋からスタートすることとなった貘と天真。最初に動くこととなった貘は、箕輪の声真似をして彼を騙そうとするが、そのことを ”なぜか” 察した天真は、騙されている振りをすることで逆に騙そうとしてくる。

ゲームは既に始まっている。

 

頭脳ではどうしようもない暴力が、この世界にはある。そんな自分の弱点を補うために、貘は ”廃ビルの悪魔” ことマルコを仲間に引き入れている。ゲームのルールでも「相手よりも多いポイントを提示する」ことができれば、暴力を振るわれる危険を排除することができるのだ。

そこが、このゲームの面白い点であろう。読者は箕輪と貘、天真とマルコの遭遇を期待し、それは叶えられる。

最初、プレイヤー同士の遭遇は貘と箕輪であった。

「まず10秒で お前の手足を壊す」「曲げてはあらない方向にひねる曲げる」「俺はお前が想像していた以上の行為をその肉体に刻む」「ここは確実に勝ちキッチリ30秒使ってお前を殺す 楽しみにしてろ」

というように箕輪は彼を脅した。彼はそれらをこなせるだけの実力がある。その迫力たるや、是非とも漫画で見て欲しい。そんな狂気に対する貘の表情もまた、必見である。立会人・門倉が怪物と評するだけはある騙し合いが、そこでは行われていた。

 

その後、マルコ対箕輪という対面も出てくる。これは純粋な暴力同士のぶつかり合いであり、大迫力のコマ割りと演出で、二人の戦いが描かれていく。知恵では何の助けもできないマルコは、貘のためにも負けるわけにはいかない。

だが、この箕輪が恐ろしく強い。

その男の身体は、筋肉の成長を抑制させる蛋白質・ミオスタチンの量が異常に少なかった。それにより肥大化されていくはずの筋肉が、彼の場合は高密度に圧縮され、それが圧倒的な力を実現していた。

マルコとはまた違った強さ、そしてその異常さの表現が上手い。マルコには勝てないんじゃ無いか? という絶望感。こいつを相手取って、騙し合いをした貘の精神力は化物だったと改めて実感する。

そんな戦いが行われている中、天真はずっと同じ部屋を行ったり来たりして、稼いだポイントはたったの4である。彼には勝つ気がないのだろうか? しかし、彼には迷宮が解けたらしい。部屋を動かず、彼は何をしていたというのだろうか。

迷宮の外では、立会人・門倉の因縁の相手である警視庁の人間・南方が邪魔をしようとしていた。門倉は立会人として、その妨害を防ぐことができるのだろうか。

門倉にとっても、読者にとっても予想外の展開が続くゲーム「ラビリンス」。この勝負を制するのは、誰なのかはまだ分からない。

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