※ネタバレをしないように書いています。
至高の騙し合い
情報
作者:迫捻雄
試し読み:嘘喰い 14
ざっくりあらすじ
死にかけていたマルコのために、ゴールを目前にして足を止めた獏。そのことを知った天真は、自身の勝ちを確信する。しかし、そんな彼を妨害したのは予想外の人物だった。ラビリンス、ついに決着。
感想などなど
第十三巻では天真の色聴を見ぬき、扉の開閉が被ったという偶然を利用して、彼を罠に嵌めた。一発殴り返すというやり返しもでき、靴を舐めさせるという屈辱を味らわせた。もうこれ以上ないというくらいに完璧な勝利である。
しかし、そんな獏のゴール目前に待っていたのは、死にかけたマルコだった。
このまま扉をくぐれば勝ちという場面。獏はマルコを助けるために動いた。それにより扉を移動することはできず、順番は次へと回っていった。
つまり天真の勝ちである。
このまさかの展開。このゲームはまだ終わらない。
迷宮には、まだ化け物がいるのだ。
第十四巻はそんなラビリンスの決着が前半、0円ギャンブルで殺人の罪を被せられた梶が、それを何とかしようと画策する後半、というような構成になっている。
ラビリンスでの頭脳戦は、もう終わったと言っていいだろう。ここから先で待っているのは、迷宮内で彷徨う化物・箕輪が、敵も味方もルールも関係なく暴れまわっているのを止める戦いだ。
この迷宮において、ルールで縛られた秩序を守るのが、賭郎の仕事だ。そのため、立会人・門倉雄大が立ち上がった。彼が賭郎の立会人としてのプライドの高さと誇りも、戦いと同時並行で描かれてきたラビリンス。箕輪という強者を相手取っても、圧倒的な暴力を振るわなければいけない。
そんな箕輪と門倉の対決は、目を見張るものがある。
化物退治は、そんな暴力で幕を閉じたのだ。
さて、場面は梶たちへと移る。梶はギャンブル勝負に関しては素人である。だが、ここぞという時に仕掛ける罠は、急にIQが上がったようになる。そのギャップが大きな強みであるように思われる。
そんな彼は、今、0円ギャンブルで殺人の罪を被せられ追いかけられている身。
それを獏に頼らず、何とかしようとしているようだ。
「これにケリをつけて 獏さんの隣に立てる人間になります」
これが彼を突き動かす理由だろう。獏さんの隣に立つには、これまでのように獏さんが何とかしてくれるという考え方ではダメだ。頼りっぱなしではダメだ。弱いまま、暴力に振り回されるようではダメだ、と。
そこで彼が立てた作戦はこうだ。
自分の事件の真犯人、そいつから殺人の証拠を引き出して警察に引き渡す。それこそが自分が犯人ではないという何よりの証拠であろう。
そして犯人はもう分かっている。
大手金融会社ハナマルナローンの社長・羽山紀明。
問題はどうやって証拠を出させるか。「証拠出して」とお願いしたところで、出してくれるはずもない。そこでハッタリとイカサマを使うのだ。賭郎を介してのギャンブルを提案、もしも負ければその際には『証拠』を出すように……と。
そして始まるおぞましい犯罪者とのギャンブル対決……といっても梶が100%勝つように仕込まれているのだが。果たしてそう簡単にいくのだろうか?