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【漫画】嘘喰い18 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

至高の騙し合い

情報

作者:迫捻雄

試し読み:嘘喰い 18

ざっくりあらすじ

次々に明かされていく犯罪。出演者達は自分の犯罪のカードが開かれないように、金と知略を駆使して動き出す。賭郎も巻き込んでの大波乱となったゲームの行方は。

感想などなど

テレビで放映されながらLファイルに名前が載っているゲスト達が、自分が犯した罪の暴露を賭けて戦うマキャベリズムゲーム。詳しい説明については十七巻の後半で長々と書いているので参照して欲しい。

改めて超簡単に説明すると、プレイヤーそれぞれが自分の持っているカードから適当な枚数を場に出して、一番多く出していたプレイヤーの枚数から、二番目に多く出していたプレイヤーの枚数を引いた数分、右側に移動した場所にあるカードがオープンされることで、そのカードに記された犯罪が暴露されていくというものだ。

ただでさえルールが理解しにくい。漫画だと絵で説明されているのだが、こう文章で書かれると、書いている自分も合っているのか疑わしい気持ちになる。いつかはまとめて記事を書きたいものだ。

それはさておき、このゲームはルールのみならず展開も難しい。

盤外戦術として、ゲストの一人によって集英テレビ局(今この番組を放映している局)の筆頭株主である集英新聞の株が買われた。その額はなんと五百億。それにより筆頭株主となったゲストは、このテレビの放映を辞めさせるように圧力をかけようとした訳だ。

一読者としてはそんな筆頭株主となって放送を辞めさせるという手は、思考の外から来た奇策のように見えたが、貘からしてみれば予想通りだったらしい。それすらも読み切って封じてきたというのだから恐ろしい。流石はプロというべきか。

それに比べて、マキャベリズムゲームに強制的に参加させられている面々は素人ばかり。そこそこの修羅場をくぐってきた梶君の敵ではないか……と思っていたら意外にも喰えない奴がいた。

 

何度も言うようだが、このゲームは難しい。

その理由の一端に、これまでのゲームは一対一が常だったのに対し、複数人によるものということが大きいと思われる。さらに全員がゲームに関しては素人であり(……と思われていたのだが)、テレビ局の株主になろうとするという盤外戦術も勃発することで、ゲームの場面が二転三転する。

そんなゲームの主導権を握ったのは梶だ。彼がルールを読者含め、ゲスト達に共有する役目を担った。いわば裏のゲームマスターであり、ゲームを回すことでゲストの誰が殺人犯なのかを見定めようとしたのだろう。

そのゲームが動き、殺人犯が素人とは思えないような戦術で勝ちをもぎ取ろうとするのは突然だった。テレビ局の株主になるというのは、ルールで縛られていないため可能ということなのだろうが、結局のところグレーゾーンだろう。このゲームにおいて、絶対に自分の罪を暴露されたくない殺人犯は、あくまでルール内で勝ちをもぎ取るために、一回目のカード使用のターンから罠を張っていたことが明かされる。

ゲストの一人の台詞が、読者の心情を良く表している。

「クソッ 何でこんなことに気付かなかったんだ。いや……こんなことをしても意味があるなんて思わないじゃないか。こんな展開になるなんて予想してなきゃ」

殺人犯が張った罠は、ルール上にはっきりと明記されており、たしかに「なんで気付かなかったんだ」と溜息が出るくらいだ。しかしあっさりと流された内容であったためだろうか、思考には全く浮かんでこなかった。

こういう風にして詐欺にあったりするのだろうか……いや、本当に悔しい。騙されてからでは遅いのだが。

しかし、そこまでは梶も読んでいた。すっかり成長して、読者目線をあっさりと越えてしまった。それを越えんとする殺人犯の策略には舌を巻く。ルールで記載されている情報から書かれていない部分の情報を推測し、実験し、勝利を確信し、ほくそ笑む姿は憎らしいが素晴らしい頭脳だ。

それすらも越えていく梶。貘も納得の勝利であり、読者としても大満足の展開である。

 

その裏では立会人同士の戦いが起きていた。

片方は放映されているマキャベリズムゲームの立会人である弐拾八號立会人・弥鱈悠助。もう片方は八號立会人・能輪巳虎である。

この二人が相対するに至った訳は実にシンプルだ。現在、貘の催したマキャベリズムゲームによって暴露されていく犯罪は全て、0円ギャンブルに敗れた者達からアリバイを奪い罪を被せることで、本当の犯人が捕まらないように細工されたものだ。

そのために施された細工が暴かれ、白日の下に晒されていく。これは賭郎が敗者から徴収したはずのアリバイが、元に戻っていくようなものだ。賭郎としては黙って見ていられるものではない。

そこで派遣されたのが、弥鱈よりも號数の高い能輪だったという訳だ。弥鱈は弥鱈で、立会人としての矜恃を貫くため、まだ終わっていないゲームを続けさせるために戦う。

この矜恃のぶつかりあいが立会人の生き様という奴なのだろう。矜恃を貫くために必要な暴力、それがどっちの方が強いかという単純な話。その対決もまた大きな見所である。

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