※ネタバレをしないように書いています。
至高の騙し合い
情報
作者:迫捻雄
試し読み:嘘喰い 27
ざっくりあらすじ
密輸を行っている船の船長・レーシィと、密輸の証拠を掴もうと画策する大船。そこに巻き込まれた梶は、膠着状態を崩すために賭郎を介した勝負を提案する。レーシィはその話に乗っかり、ゲーム「バトルシップ」が始まった。
感想などなど
鉢名の手腕により密輸船特定まではできたが、ミサイルの密輸の証拠が分からず、船の出航を阻止できるまでに至らず。そこで梶の提案から「賭郎の介入したゲーム」を執り行うことになった。
そのゲーム内容は、船長・レーシィが提案した『バトルシップ』である。
ゲームのルールは、いわゆるテーブルゲームの一種・海戦ゲームだ。知らないという方は少し調べてみてほしい。
簡単に説明すると、それぞれのプレイヤーは10×10のマス目に『潜水艦』『駆逐艦』『巡洋艦』『戦艦』の四種を配置する。ゲームが始ると、交互にマス目を選択。その選択したマスに、相手が何らかの艦隊を設置していた場合は攻撃が行われ、相手の艦隊を沈めることができる。この攻撃が外れるまでマス目を選択し続け、外れたら相手のターンに移る。これを交互に繰り返し、相手の艦隊を全滅させた方が勝利だ。
細かなルールとして、まず一つ『潜水艦』『駆逐艦』『巡洋艦』『戦艦』はそれぞれ大きさが異なっている。『潜水艦』がマス目一つ分、『駆逐艦』がマス目二つ分、『巡洋艦』はマス目三つ分、『戦艦』はマス目四つ分といった具体だ。そして『潜水艦』は一発命中させれば沈むし、逆に『戦艦』は四マス全部に攻撃を命中させなければ沈まない。
他のルールとして攻撃手段には二種類ある。一つはマス目を指定しての単発攻撃、もう一つは複数のマス目を指定しての一斉射撃だ。しかし普通は単発攻撃しかできず、一ターンで複数の艦隊を沈めた時のみ、一斉射撃ができるようになる。
……相変わらず文章だけで列挙するとゲームのルールは分かりにくい。とりあえず覚えておくべきはこれくらいか。といっても要はテーブルゲームの海戦ゲームだが。
- 10×10のマス目に自分だけしか見えないように艦隊を配置する
- 相手が艦隊を配置していると思われるマス目を選択し、そこに艦隊がいれば攻撃が実行される
- 相手の艦隊を全部沈めたら勝ち
そして、どんな手を使っても賭郎は関与しない。
このゲームで大船達が勝った場合、『大船の身の安全の保証』『梶、横井の解放』『船及び船長、そしてコンテナの押収』。梶君は大船陣営と数えて良いだろう。すっかりゲーム慣れしてしまって、大船さんと一緒に対策を考えているのは感慨深い。
船長が勝った場合、『船の出港を約束』……ついでに大船は顎下を切り裂かれ舌をネクタイみたいに引っ張りだされることだろう。この船は出航の度に人間を攫い、切り裂いて遊んで最後は魚の餌にしているらしい。梶と横井も無事ではなかろう。
そして忘れてはいけないのは蜂名(=お屋形様)の存在だ。彼は自分の失った記憶の埋め合わせをしてくれる栄羽立会人の居場所を突き止めるために、大船に協力しミサイルの密輸を阻止する必要がある。そのために船員に交じって船に潜り込み、密かに大船に指示を出していた。
レーシィ船長のルール説明を録音し、それを聞いている振りをしながら、電話で蜂名の指示を受ける大船。その場にいる訳でもないのに、蜂名は船長が艦隊を設置したマス目をズバリ指摘し、有利に戦いを進めていく。
さて、どうして蜂名に船長の艦隊の位置が分かったのか?
それはファミリーレストランでの城道とのゲームで見せた策略を思い出させるような、相手だけでなく周囲の人々全員を操る技を、今回も魅せてくれた。もはや神に近しい視点でなければできないような芸当で、大船をサポートする。
ゲームのルール説明と、先が気になる序盤戦だった。