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【漫画】嘘喰い37 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

至高の騙し合い

情報

作者:迫稔雄

試し読み:嘘喰い 37

ざっくりあらすじ

王になった貘は、次なる皇帝の席を狙って三国による戦争へと突入する。ショウド王・のぶ子に苦戦するも搦め手を駆使して反撃に打って出る。

感想などなど

「アウトロー」の支配権を巡った伽羅とジョンリョの戦いは、伽羅が自身の命と引き換えに辛くも勝利した。勝利した直後は余力が残っているようにも見えたが、実際はそんなことなく、木に腰掛けて座り込んだかと思えばそのまま死んでいった。

とはいえ伽羅という頼れる仲間を失った喪失感は、読者としても大きい。これまで数々の戦いを乗り越えてきた記憶――屋形越えに敗北したかつての貘の立会人だった伽羅は、生きて抜けることが不可能とされた賭郎を抜けて追われる身となっている男。弱者の代表とも思えた梶の成長をなんだかんだで見守るツンデレ。貘との間に何となく感じられた信頼関係。暴力だけに思えて類い稀なる洞察力――失って改めて気付く魅力の数々。

一方、テイバー王国の国王の座を巡ったゲーム『ハンド・チョッパー』において、自身の指を切り落とすという無茶で勝ちをもぎ取った貘。皇帝になるためには、この程度の犠牲は厭わないというように、彼は勝つためのカードを丁寧に揃えていく。

この第三十七巻からは、全国統一を成し遂げた証である皇帝になるための三国間戦争が繰り広げられていくことになる。戦争という物騒なフレーズではあるが、ゲーム的には『合戦 対戦モード』という一日一回限定の戦争バトルの勝利得点「王の印」の集め合戦が始まったということだ。

まずはルール周りを整理しつつ、見所を書き殴っていきたい。

 

大前提として、国を倒すためには対象国の王を倒す必要がある。テイバー王国を落とす場合には現国王である貘を、ショウド王国であればのぶ子を倒せば国を落としたということになる。

『合戦 対戦モード』というのは一日一回限定の戦争バトルである。申し合わせた人数でバトルを行い、先に敵総大将を倒した側が勝利となる。勝利国には「王の印」が一つ与えられ、この印をインナーにインプットすると王に対する攻撃に追加ダメージ「1」が与えられるようになる。

たかが1ダメージ、されど1ダメージ。

斑目貘のLvは80で、最も手強いと思われるショウド王「のぶ子」はMaxLv100。そもそも攻撃が通らないという相手と戦うには確実に与えられる固定ダメージとなる、「王の印」というのは超重要である。

戦争というのは特にタイムリミットが存在しないため、100回(つまりは100日)もの合戦で勝利すれば100ダメージを与えられるようになる……ということだ。ゆっくりと時間をかけて王の首を取れるだけの武器を揃える準備期間という訳だ。

しかし、ふと忘れがちになるが斑目貘やラロには、屋形越えをする権利を賭けたタイムリミットが存在する。それはどうやら後11日。得られる「王の印」はMAXで11個ということになる。

これでは「のぶ子」に勝つことが難しい。まぁ、これまでの経験から斑目貘が正面切っての正攻法で戦う訳がない。ただのゲームではない現実の肉体でこなすRPGゲームだからこそ成立する搦め手を駆使して、貘は王の首を取りに行く。

兵糧攻めである。

運営によって管理された島『プロトポロス』は基本的に平和だった。戦争という状態に陥ったとはいえ、HPがゼロにされても死んだことにはならない。あくまでゲームというエンタメ上における死である。悪い奴もいるが、それは現実世界でも同じことであるし、ゲームによって仕切られた枠組の中の悪事だったように思う。

しかし、この三十七巻において倫理観のタガが完全に外れた。そもそも貘が推し進めようとした兵糧攻めが、人間が生きるための最低限の営みを奪い、現実の戦争においても行われたことのある容赦ない作戦である。

それを上回るラロの作戦は、何度も繰り返すが倫理観が一切ない。この作戦によって形作られた地獄絵図は、孤島という閉鎖された空間において歯止めが利かずに広がり続けることとなる。

この戦争は、この三十七巻で全て決まる。

 

あと11日と記載があった時点で、この戦争は複数巻に渡って繰り広げられると思っていた。しかしながら、それは自分の思慮が浅かった。これは目の前の勝ちをただ取るのではなく、その先まで見据えなければいけなかったのだと気付かされる。これまでだって、ずっとそうだったというのに、ちょっと間を開ければ忘れてしまう……自分が恥ずかしい。

全体を見ているつもりだった。先のことも見据えているつもりだった。そんな読者の思考をぶん殴ってくれる第三十七巻だった。

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