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【漫画】嘘喰い6 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

至高の騙し合い

情報

作者:迫捻雄

試し読み:嘘喰い 6

ざっくりあらすじ

ハングマンで佐田国に勝利した斑目貘だったが、その裏ではテロリストがミサイルを撃とうと画策していた。それを止めるために動くマルコとレオの前に、最凶の元立会人・伽羅が立ち塞がり、さらに貘たちの前にはお屋形様まで現れて……

感想などなど

全盲だったが視覚再建手術により、カメラ越しの視覚を得て、部屋に設置された監視カメラを通して手札をのぞき見るという普通は絶対に気付かないイカサマをしていた佐田国。

ただ相手が悪かった。

佐田国の行動の違和感から「監視カメラ越しにしか見ることができないのでは?」と考え、複数台設置されているカメラをどのような周期で確認しているのか調査しつつゲームを進め、周期を割り出した後は、偶然にも壊れてしまったカメラによって作り出された暗闇の時間や、カメラごとの死角を駆使して佐田国のイカサマを逆手に取った勝利を収めてしまった。

化物。そもそも気付くこと自体がおかしいと思うのだが、それを逆手に取って勝利を収めてしまうことがもっとおかしい。種明かしでも徹底して運の要素を排除した作戦の数々は目を見張るものがある。

こうしてハングマン勝負は幕を閉じた……かに見えた。

その裏ではミサイル発射というテロ行為が行われようとしており、それを巡っての暴力のバトルが繰り広げられていた。マルコとカラカルの両名が向かった先にあったのは、ミサイル発射砲台でそれを撃たんとする武器商人カール・ベルモンドと、立会人・伽羅。

この伽羅という男があまりに厄介過ぎた。

殺気を察知して銃弾を避けるという芸当を当たり前にやってのけ、マルコを全く苦もなく、赤子の手でも捻るかのように倒して見せた。戦闘において知略と技術で戦うタイプと思われるカラカルの策略も看破し、力でこちらもねじ伏せていく。

戦闘において必要な力の全てが圧倒的。襲撃を受けながらも余裕の表情であるカールの安心感は、この男がいるからこそであろう。

 

そんな戦いが起きている最中、貘たちの前にお屋形様が現れる。何の用事かと思えば、一連のテロ騒動を裏で操っていたのは彼であることが明かされる。ミサイルが撃ち込まれることによる株の値動きにより儲けようというらしい。

国を変えるためにテロという行為に打って出た死すら恐れぬ佐田国。そんな彼の行動も意のままに操って利用したのだ。

まぁ、過程がどうであれ、このまま行けば佐田国の念願であるテロ行為は成功する。

ハングマンで死ぬ運命であったとしても、彼の同士達が何とかしてくれる。意思はそう簡単には途絶えない。立会人でありながら佐田国のイカサマに加担していた目蒲鬼郎までも、彼の意思に答えるように妃古壱に「號奪戦」を挑み時間稼ぎをする。

號奪戦というのは立会人が、自身より上の號を持っている立会人に戦いを挑み、勝てばその號を引き継ぐというもの。

つまりは暴力と暴力のぶつかり合い、戦いである。こちらも目が離せない。

 

第六巻を通して暴力が描かれる。力が強い方が勝つというシンプルな戦いでありながら、先の読めない展開が続き、「ミサイルは撃たれるのか?」「佐田国はこのまま死ぬのか?」「お屋形様の目的は?」「號奪戦の行方は?」などと気になる点ばかり浮かんできて一気に回収されていく流れがたまらない。

とても密度の濃い第六巻であった。

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