工大生のメモ帳

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妖精作戦 感想

【前:な し】【第一巻】【次:第二巻】

※ネタバレをしないように書いています。

学園生活から宇宙戦争まで

情報

作者:笹本祐一

イラスト:D.K

ざっくりあらすじ

榊裕は徹夜明けの通学で、転校生の小牧ノブと出会う。私立探偵の平沢千明は、高額報酬が約束された小牧ノブの護衛任務を受ける。そんな中、日本海沿岸には原子力潜水艦がやって来て、月面では基地計画が進行していた。

感想などなど

この作品のあらすじを一言でいうなれば、学園生活に始まり、ヘリなどから逃げまどい、原子力潜水艦へと侵入し、宇宙へ飛んでいって、地球へ戻ってくる……そんな内容となっている。

始まりは可愛らしい転校生と、ちょっと不真面目な学生の出会いという甘酸っぱい恋愛が始まりそうな幕開けにも関わらず、ページをめくれば戦闘機が墜落し、ヘリが機関銃をぶっ放している……というように。濃い内容の冒険が、ラノベ一冊に凝縮され、次から次へと舞い込むピンチと展開が軽やかなテンポで描かれていく。

そのテンポの良さは無論、本作の魅力の一つだろう。それが日常と、スパイ映画やSF映画でありそうなシーンとシームレスで繋がっていく読書体験や、全く先の読めない展開というものを実現しているのだろう。

小牧ノブという転校生、彼女が何かしらの秘密を抱えているらしい。ふむ、なるほど。確かに不自然な時期の転校生というのは、大なり小なり問題を抱えているだろうことは想像に難くない。

しかし彼女を誘拐するために巨大組織が暗躍しているだろうことまで想像する者は少ない。いや、いない。しかも敵の手段は国家権力のそれで、公道で銃をぶっ放すのは当たり前、ヘリまでも持ち出し、さらに戦闘機までもが校舎に突っ込んでくる。

何でもありじゃん。その通り。私立探偵や同級生たちの努力むなしく、彼女が連れされれたのは原子力潜水艦である。

様々な協力を経て、小牧ノブを救うためにと高校生数人と私立探偵が原子力潜水艦へと乗り込む。しかし乗り込んだはいいが、海中に沈まれては彼女を連れて逃げられない。そんな潜水艦が向かった先は宇宙ステーション。

そこからは宇宙旅行が始まっていく。

 

スパイ映画が好きならば、この作品はまず間違いなく好きになる。一瞬でも気を抜けば命を落とす緊張感と、一分一秒を争うタイムリミットが焦りを募らせ、ただただカッコいい銃撃戦やカーレースなど見どころは満載。

あらゆるカッコいいが詰め込まれたシーンの連続は飽きが来るはずもない。

またSF映画好きも嵌ると思われる。地球を飛び出し向かった宇宙、目的地は月面の基地。もうロマンの塊である。さらに発射されるビームの光線、宇宙空間を縦横無尽に駆け巡る宇宙船など、やはりこちらもカッコいい。

ラストのクライマックス感も溜まらない。男女のキスはお約束、互いに限界にも関わらず戦力の出し惜しみはせず全力でぶつかり合う。実力を互いに認め合いながらの闘いは心に来るものがある。

好きが詰まった作品だ。愛されるべき名作である。

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