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【漫画】寄宿学校のジュリエット 感想

【前:な し】【第一巻】【次:第二巻

※ネタバレをしないように書いています。

禁断の恋

情報

作者:金田陽介

出版:講談社

ざっくりあらすじ

膨大な生徒数と敷地を誇る名門寄宿学校・ダリア学園には、東和国とウェスト公国の生徒が集い、それぞれ黒犬の寮と白猫の寮、計二つに別れていた。敵対し合う二国間の関係性と同じく、寄宿学校の二寮も敵対し、代理戦争の様相を呈していた。そんな中、黒犬の寮のリーダーである犬塚露壬雄は、白猫の寮リーダーであるジュリエット・ペリシアに恋心を抱いていて……

感想などなど

この作品は第一話がクライマックスにしてエンディングである。何を隠そう、第一話にて犬塚露壬雄はジュリエット・ペリシアに告白し、恋仲になったのだから。

「だったら、そこから先の展開はどうなるんだ?」と疑問に思われる方も多かろう。ラブコメにおいて、付き合ってから先のエピソードは蛇足であると考える方もいることは知っている。恋仲になった先で待っているのは、ただのいちゃいちゃ。精神安定剤には丁度いいかもしれないが、ストーリーに面白さを見出すのは難しいはず。

しかし、本作はそんな予測は無駄である。

二人の心の距離はとても近いかもしれないが、社会に根付く二国間の敵対というものが大きな壁として立ち塞がり、いちゃいちゃしようにもかなりの遠回りをしなければいけないのだ。

 

あらすじでも書いたが、改めて世界を取り巻く情勢というものを説明する。といってもそれほど複雑ではなく、露壬雄の率いる黒犬の寮と、ジュリエットの率いる白猫の寮が、とんでもないくらいに仲が悪く険悪であるというだけの話だ。

それぞれ黒犬の寮では東和国民が、白猫の寮ではウェスト公国民が集っており、両寮の仲の悪さはその分け方に由来する。元々歴史的に、この二国間は敵対していたのだという。

だからこそ二つの寮の争いは、まるで二国間の代理戦争のようである。殴り合いも日夜頻発し、犬塚がリーダーとなっているのは、石像程度ならば軽く振り回し、木を引っこ抜いてぶつける程の強さが理由だと想像できる。

つまりジュリエットと露壬雄は敵対国のリーダー同士。まさか恋愛関係になっていると想像できる輩はいないだろう。そして、二者の恋愛関係がバレたその暁には、一体どのような顛末が待っているか……そういえば劇『ロミオとジュリエット』の結末は、すれ違いによって起きた両者の自殺で幕を閉じていることを御存知だろうか?

 

恋仲になった男女がすることといえば?

ちなみに露壬雄という男は腕っ節とは裏腹に、思考が乙女でロマンチストでヒロインで単純だ。まぁ、別に間違いではないのだし、ジュリエットも嫌がっていないのだが。

第二話では、ウェスト公国では恋仲になった相手にロザリオを渡すという話を聞いた露壬雄が、プレゼントとしてロザリオを渡すために奮闘する話となっている。ただそれだけの行為であるにも関わらず、敵対するリーダー同士では簡単なことではない。乱闘騒ぎに巻き込まれたり、と苦悩の連続。この第二話で本作の話の方向性というものはおおよそ掴めるだろう。同時に、「あぁ。この作品のヒロインは犬塚だわ」と妙に納得がいく結末となっている。

第三話ではデートに行く。といってもジュリエットと露壬雄がキャッキャウフフとしている光景を見られようものならバットエンド直行間違いなし。そこでとった策が、ジュリエットの男装である。新たな性癖を幕開けてしまった者を生み出すことになる。読者も何人か犠牲になったのではないだろうか。

さて、第四話と第五話では、付き合って一ヶ月を祝うために二人きりの時間を作るために奮闘していく。その障害として立ち塞がるのが、シャル姫というジュリエットの幼馴染みにして、暴れ姫という名で呼ばれるヤベー女であった。

なんと第一巻にして、露壬雄とジュリエットが恋仲であるということが、このシャル姫にバレてしまう。そのことを公にされたくなければ、私の犬となりなさい……と絶対服従を命じられた犬塚。我らが黒犬の寮のリーダーが、相手寮の姫君に無下に扱われる様は、なかなかに堪えるだろう。いつしか犬塚の居場所はなくなっていく。

そしてジュリエットとの距離も……ヒロインである露壬雄を滅茶苦茶応援してしまうようになっている。

本作の魅力はジュリエットの可愛さ(告白された時が一番だ可愛いと思う)と、露壬雄の可愛さ(デートした過ぎていそいそと男装セットを持っていく辺り)に詰まっている。散々、露壬雄をヒロインと書いたが、ここぞという時には決める男気もまた魅力であろう。

アニメ化までしているのだから、もっと知名度が上がって良いのでは? と考えてしまう作品であった。

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