工大生のメモ帳

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【漫画】寄宿学校のジュリエット3 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

禁断の恋

情報

作者:金田陽介

出版:講談社

ざっくりあらすじ

露壬雄とジュリエットの体育祭の結末から(「露壬雄とジュリエットと体育祭」)、精神的なストレスにより熱を出した露壬雄をジュリエットが看病する話(「看病とジュリエット」)、教師代理の権限を与えられた監督生の胡蝶と手李亞に目を付けられた露壬雄が、ジュリエットと祭りを回るために奮闘する話。ジュリエットの誕生日を祝うためにプレゼントを買いに行ったりと露壬雄が奮闘する話(「露壬雄とシャルとプレゼント」と「露壬雄とジュリエットと誕生日Ⅰ」)など豪華な内容目白押し。

感想などなど

アビとソマリのゲスな策略に嵌り、足を負傷して活躍の機会を奪われたペルシア。彼女の流した涙は、露壬雄がアビをぶっ飛ばす理由には十分すぎるものだった。雌雄を決するは、騎馬戦という見ごたえ満点の競技である。

棘付きの靴で足を潰すという一発レットカード退場級の策を使ったアビであるが、今回もかなり危険な策を使ってきた。なんと学生たちに配布される水分補給の水に、意識が朦朧とするレベルの睡眠薬を混ぜていたというのだ。

露壬雄を乗せた騎馬を除いて、次々と倒れていく黒犬の学生たち。幸い、ペルシアが心配で水を飲んでいなかった露壬雄は問題ないようであるが、一対多の状況は圧倒的不利……かと思われた。しかし覚悟を決めた黒犬のリーダーは格が違った。

なすすべなく倒れていく白猫の面々。スコットは倒されたことにすら気付く間もなく敗れ、残されるはアビ騎のみ。スカッとする決着は見ものである。

……しかし、ここで勝負は終わりではない。ここからもう一試合始まる。なんと露壬雄がペルシアとの一騎打ちを申し込んだのだ。ペルシアとの事情を知らない者達からは、「もう勝ったのに終わりでいいだろ!」「ペルシア様は負傷しているのになんてことを!」と黒猫も白猫も、双方からの非難の嵐。

しかし、ペルシアはどうしてもMVPになりたかった。父親に良いところを見せたかった。観客のウェスト帝国の人たちから見下されて悔しかった。

そんな彼女のために活躍の場を用意した。そして勝負は当然のことながら全力で。例え負傷していようとも。ペルシアとの約束のために……。

 

そんな体育祭も終わってみると呆気ないもので、すぐに元の日常へと戻っていく。しかしなかなかペルシアと会う時間を作れなかったり、罪滅ぼし的なアレで紛争したことのストレスで熱を出して寝込んだ露壬雄。そこにたまたまやってきたペルシアが看病してあげるだけの話が、「看病とジュリエット」では描かれていく。

黒犬の寮ということもありジュリ男の姿をしてやってきたペルシア。露壬雄のためにと頑張る姿は微笑ましく、そして可愛い。ブログ主もできることなら耳掃除してもらいたい。

そんな願望の垂れ流しはさておいて。

快復したのも束の間、監督生の胡蝶と手李亞という新キャラが登場する。年齢的には中等部であるが、優秀な成績が認められて飛び級した優等生である。その優秀さが認められ、教師の代理人として権力を振るうことを許された者の称号である監督生として選ばれ、生徒たちからは畏怖と尊敬の視線を向けられていた。

可愛らしい外見とは裏腹に、胡蝶と手李亞は監督生に選ばれるだけの実力を兼ね備えているのだろう。人を見た目で判断してはいけないということを教えられる。そんな監督生の二人は、問題児である露壬雄を監視対象として捉えたようであった。

まぁ、露壬雄は年がら年中喧嘩騒動を起こし、成績だって芳しくなく、決して優等生とは言い難い。関しすべきだと考えられても、仕方ないのかもしれない。

しかし、露壬雄としてはこれ以上ジュリエットと会う機会が減らされるのは困るという都合があった。近頃開催されるという祭りだってジュリエットと一緒に回りたいし、近づきつつある彼女の誕生日だって何とかして祝いたい。

そのためには監督生の目を掻い潜る必要があった。

……という話だったはずが、いつしか監督生を攻略する内容になっている。おかしい……ハーレムでも作る気か? とても男らしく、それでいて優しい。ペルシアも惚れ直してしまうような話が続いていく。

 

そして問題の最終話「露壬雄とジュリエットと誕生日Ⅰ」。

名前の通り、ジュリエットの誕生日を祝うために奮闘する話ではあるのだが、これまでとは状況が異なる。これまで胡蝶と手李亞の二人が妨害として立ちふさがっていたのだが、それに加えて露壬雄の兄である藍瑠が加わってしまう。この藍瑠というのが、とてつもなく厄介なのだ。

一言でいうなれば堅物。それでいて完璧超人。露壬雄はかなり喧嘩が強い人物として描かれているが、そんな彼でもキズ一つ付けられるかどうか怪しいというレベルに強い。そんな兄に幼少期の頃から厳しく躾けられた経験が、トラウマとして降りかかってくるため精神的にも心を折られたことが多々あるようだ。

そんな兄に言い渡されたのは、数日間の兄自らによる監視。この期間には、ジュリエットの誕生日も含まれた。つまり誕生日を祝うためには、兄の目を盗んで学舎を抜け出す必要があった。

兄へのトラウマを払拭し、愛のために頑張れるか? 改めて露壬雄の覚悟が試される。ラストシーンは痛々しさとジュリエットの優しさにホロリと来てしまった。王道ではあるのだが、王道だからこその良さがある話だったように感じる。

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