※ネタバレをしないように書いています。
禁断の恋
情報
作者:金田陽介
出版:講談社
試し読み:寄宿学校のジュリエット (5)
ざっくりあらすじ
ジュリエットと露壬雄の二人きりで孤島での一夜を描いた「海と露壬雄とジュリエットⅡ」、露壬雄とジュリエットの関係性を認めきれないものの、二人の関係がバレないように奮闘するシャル姫視点「シャルトリューとジュリエット」、アビ派だったソマリがジュリエット派になったことで、ジュリエットと一緒にいる時間が減ってしまった露壬雄が奮闘する「露壬雄とソマリ」、問題児が集められた地獄の生徒指導合宿に強制的に連れてこられた露壬雄が、兄に戦いを挑む「藍瑠と露壬雄Ⅰ」「藍瑠と露壬雄Ⅱ」
感想などなど
「海と露壬雄とジュリエットⅡ」
第四巻のラスト、潮が引いたときだけ訪れることのできる孤島にジュリエットを連れてきて、一緒に美しい夕焼けを見ようとした露壬雄。しかし、満潮となり戻れなくなってしまう。となると、一夜をこの孤島で過ごすしかない。
一言で感想をいうなればエッチだった。二言で感想をいうなれば、ジュリエットがエッチだった。ジュリエットの無自覚な動きの一つ一つが、露壬雄を責め立てるのだ(ついでに読者も)。そして一歩踏み出そうとした露壬雄に、言い放ったジュリエットの一言が最高に好きだ。
「ガッツいてる犬塚はカワイクない!」
ごめんなさい。
そんなゴタゴタな状況に、蓮季もスコットもなぜだか加わって、最後にはシャル姫も加わって……あぁ、もう滅茶苦茶だわ。
「シャルトリューとジュリエット」
ジュリエットのストーカーこと、ジュリエットと露壬雄の関係性を妨害しようと心の中では考えていても、二人の関係性が周囲にバレないように奮闘するというチグハグな行動をするシャル姫の物語。
シャル姫の朝は、ジュリエットが露壬雄とコンタクトを取るために矢文を放つところから始まる。校内で周囲を警戒しながら、弓矢を放つジュリエットの姿は、どうみても要注意人物である。
そして矢文を受け取った露壬雄は、毎回内容を音読しているらしい。盗聴器で露壬雄の声を聴き、二人の予定をチェック。盗聴器を設置し、その音声を傍受すること自体は犯罪ではないが、仕掛けるために家に侵入することは犯罪となるので注意しよう。
そして二人の謎のイチャイチャを監視し、こういうときに限って露壬雄に用事がある監督生や、こういうときに限って近くを通りかかる監督生や、阿保のスコットの注意を逸らしつつ、シャル姫の休日は浪費されていく。
これまでも十分に魅力的に描かれてきたシャル姫であったが、彼女の裏の頑張り? といいますか、そういったものを垣間見ることができるエピソードとなっている。
「露壬雄とソマリ」
アビ大好き娘のソマリが、アビに拒絶されたことでジュリエット派となってしまった。アビとの関係性を見ていると分かるが、彼女は尽くすタイプであるらしい。その尽くす方向性は、いささか迷惑方面に面舵を切りすぎているが、そんなとこも馬鹿で可愛らしいと一部界隈で評判になっている……ということにしておく。
しかし、アビに拒絶されたからといって諦めるほど馬鹿ではない。馬鹿であることに変わりないけど。露壬雄の策略もあり、アビにふさわしい女性になると一念発起し、パンクしか興味のなかった彼女が髪を下ろし、美しいドレスにまで身を包んだ。
ソマリは可愛い系だと思っていたが、実際は美しい系だったのか……と彼女の魅力に今になって気づくのであった。そして腹黒アビも、男として大きな成長を遂げることになる。
良い話であった。
「藍瑠と露壬雄Ⅰ」
「藍瑠と露壬雄Ⅱ」
皆さんの学校には、出席日数や態度の悪い学生を集めた合宿などあっただろうか。ちなみにブログ主の学校にはなかった。出席日数の足りない学生に対する救済措置はあった気がするが。
この寄宿学校は進級することも難しいとされ、成績が悪ければ即退学である。そのため、内申がよろしくない者に対する救済措置として、この合宿は催されている。残念だが、我らが露壬雄は内申がよろしくない。参加しなければ退学からの強制送還のコンボを食らうことになる。
まぁ、そこまではいい。ちゃんと参加していれば、そのコンボを逃れることはできるのだから。厄介なのは教師を担うのが藍瑠とジュリエットと蓮季だということだ。あ、蓮季とジュリエットは可愛いからもっと来てくれ。
そこで弟の意地で、兄に食らいついていく露壬雄。これがまたカッコいい訳だ。また、彼の彼女として、また一緒に世界を変えることを誓った同胞として、ジュリエットも立ち上がる。
二人の持ちつもたれるの関係は憧れる部分がある。きっと、みんなもそう思うはずだ。