※ネタバレをしないように書いています。
禁断の恋
情報
作者:金田陽介
試し読み:寄宿学校のジュリエット (8)
ざっくりあらすじ
露壬雄と丸流が互いに勘違いで喧嘩したり、ペルシアの母親がやって来たりと慌ただしく展開していく学園祭……無事に終わることはできるのか? そんな学園祭が終わって日常に戻っていくダリア学園。蓮季の弟が高等部の宿に乗り込んで来たり、ジュリエットが露壬雄の実家へやって来たりとやっぱり騒がしい。
感想などなど
待ちに待った学園祭も後半戦へと突入し、盛り上がりも最高潮に達する。そんな様子が描かれる第八巻は、いきなり丸流と露壬雄の喧嘩シーンから始まっていく。その喧嘩の理由は些細なすれ違いが原因である。
露壬雄といちゃいちゃしたいという涙ぐましい理由で自ら男装したジュリエット。そんな彼女が男装した女性だと気付いてしまった丸流は、露壬雄に男装プレイを強要していると勘違いし、ジュリ男を守るために露壬雄をぶっ飛ばすことを覚悟したようだ。発想が斜め上すぎる(ジュリエットは「丸流って……もしかしてバカ……?」とすごく直接的な表現を使っている)。
一方、ジュリエットが丸流に襲われていると勘違いした露壬雄は制裁を加えることを決意。まぁ、状況的には凄くそれっぽいので(ジュリエットの制服がはだけて、さらしが見えている状況、場所は学校の裏手)この勘違いは仕方ない気がする。
二人ともNo1とNo2ということもあり、喧嘩は人が飛び交う大乱闘へと発展。すっかり投げ物としての立ち位置がスコットもなすすべなく散っていき、いつだったか相撲部に無理やり連れ込まれた丸流は張り手を使ってきたりと、にやりとできる小ネタが満載である。こういうところ好き。
そんな喧嘩を止められるのは、争点となっているジュリエットだけであろう。その点は心配ない。ジュリエットも滅茶苦茶強いのだ。そんな喧嘩の幕引きの時に、丸流の吐露する感情――ずっと勝てない男がいて、勝てない言い訳ばかりしてきた――と語ってくれる。
この丸流が勝てないと言っている男は明らかに露壬雄であろう。No1とNo2とされているが、その力量差はかなりある。その事実に対していい訳ばかり積み重ねてきた丸流が、本気で「勝ちたい」「勝たなければいけない」と思ってした初めての喧嘩だったのかもしれない。
そんな喧嘩が一段落しても、まだまだ学園祭は終わらない。
なんとジュリエット・ペルシアのお母さまがやって来たのだ。ペルシアの母ということもあり、超絶美人である。しかも娘大好きのツンデレというキャラ付けときた。一緒に学園祭を回ろうという目論見で来たことを隠そうとしているが、周囲からはバレバレな言動(ただしジュリエットは気づかない)がとても微笑ましい。
そんな母は体育祭も観に来ていて、ジュリエットを応援していたらしい。
……つまり露壬雄がジュリエットの胸を揉んでいる犯行の現場をしっかり見ていたようだ。ペルシアの母からの心象は最悪な露壬雄であった。
そんな騒がしい学園祭が終わって日常へと戻っていく。しかし、騒がしさは変わらない。
例えば。
中等部三年で蓮季の弟・狛井晃葵が高等部の寮に見学しにやって来た。しかし彼の本当の目的は、姉をたぶらかした犬塚を調査するというものだった。気丈に振舞っている蓮季だが、露壬雄とジュリエットが付き合っていることに対することに対する折り合いが完全についている訳ではなく、弟だからこそ気づくような変化があったらしい。その原因を犬塚だと知って、どうにか粛清を下そうと考えたらしい。
この漫画の登場人物はとりあえず落とし前つけさせようとするような奴らばっかやなぁ……。
そんな日常が終わって長期休み。
東和国とウェスト公国に別れてしまうため、当分会えなくなる二人……となるはずだったのだが、露壬雄の実家にジュリ男として泊まることになってしまった。東和の文化に馴染みのないジュリエットの苦労が可愛かったり、すっかり東和メンバーに馴染んでいるジュリ男が感慨深かったりと、色々と印象深いエピソードであった。
巻を進むごとにキャラクターの深堀りによって、より好きになっていく。どうか皆が幸せになる展開が続きますように……。