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【漫画】寄宿学校のジュリエット9 感想

【前:第八巻】【第一巻】【次:第十巻
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※ネタバレをしないように書いています。

禁断の恋

情報

作者:金田陽介

試し読み:寄宿学校のジュリエット (9)

ざっくりあらすじ

露壬雄の実家にやって来たジュリエットは、朱奈に男装がバレないように奮闘しつつ休みを謳歌していく。だが、偶然にも実家に戻って来ていた兄・藍瑠と鉢合わせし、正体がバレてしまい……

感想などなど

第八巻は父親の一家言により、一緒に風呂に入ることとなってしまった露壬雄とジュリエットのシーンで終わっている。あぁ、露壬雄の理性が壊れていく音がする。こんなん見るなって言われても見ちゃうだろ、男なら。

第九巻は理性と煩悩がせめぎ合う露壬雄から始まっていく。

そんなシーンは朱奈という番犬の登場で妨害されていくのだが、可愛いから許す。

第八巻の感想では朱奈というキャラクターについて全く言及していなかったが、この娘がジュリエットとは方向性の違う美人なのである。黒髪長髪にポニーテール、登場シーンの可憐な佇まいに惚れた読者もいるのではなかろうか。

しかし、その実態は相当な戦闘力・身体能力を有する女性であった。この作品の女性陣はただでさえ強いのに、その中でもトップクラスではなかろうか。可愛さと戦闘力は比例するのか……?

露壬雄に対してはとことん弱いところも妹キャラとしてはポイントが高い。東和の街を観光ということで案内してくれる際、とても意気込んでくれていたり、時折ジュリ男に露壬雄の過去話をしてくれたりと、これまで近い距離で一緒にいたからこそできるトークも微笑ましい。

実はアニメ化されている本作であるが、彼女の姿は全く出てきてくれなかった。是非とも動いて薙刀振り回しているところを見たかったのだが。この第九巻はそんな朱奈の可愛さが詰まった前半である。

 

さて、問題は後半。藍瑠は仕事で忙しくて戻ってこないという話だったが、戻ってきてしまう。ジュリエットと露壬雄が恋仲であると見抜いた勘と頭脳の高さを併せ持つ彼であったが、ジュリ男を初見で女性とは見抜けなかったようだ。

しかし、流石に髪が解かれて長髪が露わになると意味もないようだが。

急な嵐に見舞われて一日泊まることになったジュリエット。家屋の補強をしている朱奈を補佐している最中、脚立から落ちそうになる彼女を助けようとして一緒に落下。その際に短くまとめられた髪が解かれ、ジュリエットが姿を現してしまう。

一番バレてはいけない相手に、ジュリ男の正体が発覚してしまった。

藍瑠は二人に別れるように告げ、さもなくば家から出ていけと選択を迫る。その気迫たるや、これまでとは比較にならない。「犬塚家を潰す気か」と家の名を守るために、研鑽を惜しむことのなかった怖いが尊敬する兄の姿に、露壬雄の震えは止まらない。それでもジュリエットを安心させるために言葉を紡ぐ姿は、読者も思わす惚れ直す。

そして覚悟を決めて、これまでの因縁も、これからの家を守るためにも、ジュリエットとの関係を壊さないためにも、露壬雄と藍瑠の強大喧嘩が幕を開けた。固唾を飲んで見守る母親とジュリエット(ちなみに朱奈はジュリエットと落ちた時以来寝込んでいる)。ジュリエットと露壬雄が普通に付き合える世界のためには超えるべき一つの壁であり、二人の関係が大きく一歩前進した巻だったのではないだろうか。

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