工大生のメモ帳

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【ゲーム】密室のサクリファイス 感想

※ネタバレをしないように書いています。

凶悪難易度の脱出ゲーム

情報

CERO:C(15才以上対象)

ジャンル:トラップアドベンチャー

開発:株式会社インテンス

発売元:株式会社ディースリー・パブリッシャー

公式HP:

密室のサクリファイス/ABYSS OF THE SACRIFICE 公式サイト

※ブログ主はSteam版をプレイ

ざっくりあらすじ

地底奥深くに建造された巨大な生活施設『ファウンデーション』。何故作られたのか、何故人々はそこで生活しているのか。それらの真実は長い年月を経て風化し、もはや地上の世界を知る者はいなくなっていた。そこで突如起きた異変に巻き込まれた五人の少女は、時折起こる地震、崩れ落ちる壁や天井、減っていく水や食料という過酷な環境の中で生きていかなければいけなくなった。

感想などなど

脱出ゲームをプレイしたことはあるだろうか。

プレイしたことがない人に簡単に説明すると、いきなり変なギミック盛りだくさんの場所に閉じ込められて、そこから脱出するために部屋を調べてアイテムを集め、謎を解いていくゲームである。

スマホのアプリストアにでも赴いて、脱出ゲームで検索すればたくさん出てくる。その内の評価が高いものを一つ、二つくらいプレイすれば何となく分かって貰えるだろう。

部屋を脱出するために現れるパズルの数々。「部屋を出るのに何でこんな面倒くさいことをしなくてはいけないんだ……」「なんでこの家主はパスワードをこんな形で残しているんだ……」と疑問とストレスが溜まりまくることをお約束しよう。

しかし、いくつも脱出ゲームをプレイしていると、何となくパターンというものが限られてくる。大抵、謎解きで詰まった場合というのは部屋の探索が足りないと相場も決まっている。今日解くことができずとも、一晩経てばふとした時に解決策を思いつくことも珍しくない。

つまりは慣れだ。かくいうブログ主はアドベンチャーゲームが好きなので、それなりの数の脱出ゲームをクリアしてきたという自負がある。

そんな自分が言わせて貰う、このゲーム「密室のサクリファイス」は鬼畜である、と。

 

 

この作品における主人公は主に、ミキ、アスナ、オルガ、クロエ、イトカの五人で、それぞれの視点でステージを攻略していくことで、ストーリーが進んでいきます。その際、ステージを攻略していく順番に応じて、エンディングが分岐するという構成になっています。

そのエンディングはハッピーエンド一つを除く全てがバットエンドであり、可愛らしいキャラクター達がむごたらしく死んでいく姿も珍しくありません。閉鎖空間にたった五人しかいないという環境によって生み出されるギスギスした関係性に、いつ死んでもおかしくない過酷な環境での生き残りを賭けた戦い……手に汗握る展開が続きます。

そんなストーリーを支えるのが、謎に満ちた世界設定。

まずこの世界において、『地上』という存在は神話で語られるような空想の産物として描かれています。この世界の住民は『地上』ではなく、『地下』に都市を気付いて生活しているのです。それを実現させる超高度な科学技術の数々はまさにSF。脱出ゲームパートにおけるギミックにも、そんなSFの世界観がふんだんに盛り込まれています。

それにしても、なぜ人類は地上から地下に居住空間を変えたのでしょう?

そんな世界が、突如として崩壊し始めたのは何故なのでしょう?

最初は謎ばかりだった設定の数々が、ミキ、アスナ、オルガ、クロエ、イトカのストーリーを進めていくことで明らかになっていきます。

例えば。

オルガというキャラクターは、優秀な医者であり研究者の父を持ち、そんな厳格な父に憧れる医者志望の少女です。彼女はそんな父に褒められたい一心で勉強に励み、常に一位であり続けられるように奮闘してきました。

そんな時、起きた大災害。父も含め、突如として人がいなくなってしまった環境で、放射線に犯されて病気になった少女・アスナや、空気を読めない子供っぽい少女・イトカ達と出会い、共にこの大災害から脱出するためにみんなを引っ張って行こうとするのです。その際には医者である父の影響で学んだ医学的知識や、父に着いていって見たことがある医療施設での知識を駆使して活躍します。

そんな有能に見える彼女も完璧ではありません。死んだ人は蘇りません。選択を誤って、みんなを危険に晒すことだって……そうして脱出のための探索を続けていくことで明かされていく父の裏の顔……イトカという少女との悲しき因縁……怒濤の伏線回収が行われていく展開や、彼女のエンディングは驚きばかりでした。

彼女以外のキャラクター達も、一見すると関わりのない、今回の大災害で初めて会ったかのように思っていても、過去を辿っていくと実は繋がっていたり、因縁があったりというように密接に繋がっていきます。その関係性が紐解かれていくことが、ハッピーエンドへ至るための大きな鍵になるということに気付くのは、ハッピーエンドに入ってから。

その幸せなたった一つのエンディングに至るまでに味わうことになるのは絶望感。徐々に謎が明かされることで、もう彼女達には救いがないということにふと気づき、必死に生きようとしてきた彼女達の行動がプレイヤーの心を締め付けてくるのです。

他の人のストーリーを読み進めると「そこから先はダメだ」と言いたくなります。でも彼女達は生きるために、希望があると信じて先へと進み、絶望し、死んでいく……その繰り返しです。

その絶望的な状況から、極悪難易度の脱出ゲームをクリアしていくことで見えてくる希望。そして迎える感動的なハッピーエンドは、諦めずにプレイして良かったと心から思える達成感に満ちています。

このゲームをプレイしようとしている方へ。きっとクリアを何度も諦めそうになると思います。それでもクリアした先の景色は、とても良いものだったと言わせて下さい。