工大生のメモ帳

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【漫画】少女終末旅行③ 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

絶望と仲良く

情報

作者:つくみず

試し読み:少女終末旅行 3巻

ざっくりあらすじ

文明が崩壊してしまった世界で、ふたりぼっちになってしまったチトとユーリ。愛車ケッテンクラートに乗って、廃墟を当てなく彷徨う彼女達の日常。

感想などなど

「迷路」

 イシイが教えてくれた食糧生産施設へと向かう二人が歩いていたのは、一歩足を滑らせれば奈落に落ちていくこととなるパイプの上だった。工場のパイプが壁やら空中のいたるところに張り巡らされてる風景を想像して欲しい。

彼女たちは、そんな場所を命綱もなしで歩いているのだ。しかも道が分からないと来た。

「でもほら 私たちって いつも迷ってるようなもんだし」と言って励ます(?)ユーリ。二人の会話は緊張感を和らげて、どこか癒しとなってしまう。この漫画の魅力は、幻想的な世界観と、二人の会話劇だとブログ主的に思う。

さらに、ランタンをケッテンクラートに置いてきたことに気付いたのは暗くなってから。二人はわりとピンチな状況に追い込まれる。それでも「大丈夫 なんとかなるよ」と朗らかなユーリと、「ユーが大丈夫って言うと 逆に危険な気がする」というチト。

その言葉がフラグとなって、ちょっとビクッとさせられるが、二人の旅はまだまだ続くらしい。

 

「調理」

 施設に辿り着いた二人が、頑張ってレーションを作る話。「迷路」でヒヤッとさせられた分、砂糖や塩や粉(芋を粉にしたらしい)を集めて、水と合わせてこねくり回す。もちもちの生地ができたら焼いて完成。

見た目はカ〇リーメイトであり、味も芋に砂糖と塩を練り合わせて、最後に砂糖をかけただけのシンプルなものだ。焼き加減の調整に失敗したのか、焦げたものも散見される。

それでも「甘いって幸せだよね」というセリフに、全てが詰まっている。彼女たちにとっての最大限の幸福な様子が描かれたエピソードであった。

 

「記憶」

 黒く、引き出しがたくさんついた見上げるほど高い壁が、そこら一体に立ち並んでいる。引き出しの中には、空の薬きょうや布切れ、ボタンといった使えない物品の類が入れられており、取ってのついた面の隅には小さく文字が刻まれている。

この場所は一体なんのためにある場所か? 正解は墓である。

死んだ人を弔って、遺骨を納める余裕がなかったのか、はたまた死体すらも残らないのか、この世界で何が起こって弔いをこのような形でするようになったのかは定かではない。

しかし、確実に分かるのは、「死んでも忘れられたくない」「何かを残したい」という人々の意思だけである。

 

「月光」

 「月が見える夜ってさ なんかテンションあがるよね」BY ユーリ

分かる。そんな盛り上がる夜に、二人はビウを見つけた。未成年は飲んじゃダメな酒である。

そんな法律が、終末の世界で適用されるはずもなく、二人はビウを飲んだ。不思議な味だと言っていた二人は、いつしか酒に飲まれて顔を赤くして、饒舌になって騒いで回る。

月光の降りてくる終末を、二人はビンを片手に踊り狂うのだ。

「ねぇユー いつかずーっと高くまで登ってさ…… 月に行こうよ」

「いいね……」 

 

「螺旋」

 上層へ向かうため、螺旋階段を上っていくケッテンクラート。走っていると上から支柱のような物が落ちてくる。ここが残っていられるのも時間の問題であろう。

「死ぬのが怖くて生きられるかよ」BY ユーリ

名言だと思う。

 

「技術」「水槽」「生命」

 

「もし機械が一人でこっちに向かって歩いてきて こんにちわ って挨拶してきたらどうする?」

そんなユーリの質問を、そんなことあり得ないと一刀両断した二ページほど先で、二人は機械に「こんにちわ」と挨拶をされた。どうやら彼(性別は不明だが)は、食用の魚を育て繁殖させることを仕事とした機械であるらしい。

しかし、彼の管理する水槽には一匹しか魚がいない。もう魚が増えることは、今後ないであろう。それでも彼はその一匹のために、動いている。ただそれだけで、胸が締め付けられたのはブログ主だけだろうか。

彼はチトとユーリのために、彼がいる施設を一通り案内してくれた。水槽が大量にあるが、そのどれにも魚はいない。彼と彼女たちの間では、しっかりとした会話が成立し、人と話している場合と違いはないように思えた。

機械に知能があることを確認するテストに、チューニングテストと呼ばれるものがある。人と機械をチャットなどで会話させ、人がその会話相手を機械と見抜けるかどうかで機械に知能があることを確認できるというものだ。中国語を知らない人に中国語の辞書だけを渡して、中国人と会話させた場合も、会話は成立しないということでテストとして不完全という結果だったと思うが(専門外なので話はこれくらいにしておこう)。

チトとユーリは、そんな機械と人との間に差異を感じられなかった。その理由を、機械はこう語った。

「”共感” という能力が備わっているからでしょうか」

「共感ってなに?」

「あなたたちが喜ぶと私も嬉しいということです」

二人は施設を去っていく。彼女たちの幸せを喜んでくれる者は、一匹の魚のために、これからも働いてくれるだろう。

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