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悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました7 感想

【前:第六巻】【第一巻】【次:第八巻

※ネタバレをしないように書いています。

ラスボス飼ってみた

情報

作者:永瀬さらさ

イラスト:紫真依

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ざっくりあらすじ

これまでのラスボスが全員集合し、それぞれの恋物語が暴走していく短編集。

感想などなど

第六巻でクロードと、魔王の過去から続いた因縁が幕を閉じた。こうしてやっと平穏無事な新婚生活を謳歌できるという訳だ。また、それぞれのナンバリングタイトルでのラスボス――聖王だったり、殺し屋だったり、復讐に燃えるアレコレだったりといった面々も、それぞれが思い思いの幸せを掴むこととなる。

この第七巻ではそれぞれの恋愛模様という名のいちゃいちゃを眺める巻となっている。これまでの先の読めないドキドキする展開とは違い、恋が成就してのハッピーな展開が続いていくので安心して読み進めることができる。

短編はかなり多岐にわたり、その全てを書き切るのは大変だ。なので記事に書くのは辞めようかと思ったくらいだが、第八巻、第九巻と続いていく本シリーズにおいて、続きの記事を書くためには七巻から逃げる訳にはいかない。

特に内容について語ることはない。ただいちゃいちゃしているだけなので。

 

第七巻の冒頭を飾るのは、アイリーンの相棒となる男・アイザックである。彼がアイリーンと出会い、アイリーンに惹かれていくところまでが描かれていく。当たり前ではあるが、出会っていきなり相棒ポジションに着いていた訳ではなかったということが分かる。

彼の視点から見ると、セドリック(元婚約者)とアイリーンの関係は実に歪だった。セドリックは優秀な男という評判であったが、その実態は、アイリーンのサポートがあったからこそだった……にも関わらず、アイリーンの評判は芳しくない。アイザックだけがアイリーンの能力を正当に評価し、そして彼女に惹かれていく。

そこからの婚約破棄の言い渡しである。これまでの物語で上がっていたセドリックの株が……ただそんな彼も反省して今のような男になったのかと考えると感慨深いものがある。

そこからアイリーンに助けられて、彼女に懐いているカラスの魔物・アーモンドの物語やら、クロードが友人を作りたいと笑顔で語り、その願いを叶えるべく顔を真っ青にしながら頑張る配下達などなど、慌ただしいながらも楽しい日常が綴られていく。

そんな中、魔王暗殺の命を受けて送り込まれたウォルトとカイルのコンビによる回想シーンを挟む。これが中々に暗い。そもそも魔王暗殺なんて出来る訳がない任務を言い渡されたウォルトとカイトの絶望感を想像して欲しい。

おそらく毒では死なない。真正面から挑んで勝てる存在ではない。なにせ魔王である。彼らに暗殺依頼を出したのは教会の人間であるが、魔王を舐めすぎているのではないだろうか。これまで一体どれほどの苦汁をなめさせられたのかを覚えていないのだろうか。

今回も例外なく、苦渋は舐めさせられる。

 

この世界にもバレンタインというものはあるらしい。日本の製菓業界がお菓子を売るために仕込んだ女性が男性にチョコを贈るというイベント通り、アイリーンは魔王様含め、全員の男性にチョコを贈った。

また、アイリーンだけではない。他の女性陣も密かにチョコを贈っているのだ。

これが幸せそうで良い! チョコは甘すぎるくらいが良いのかもしれない。

モテモテでチョコをたくさん貰っている魔王様に、嫉妬心を露わにするアイリーン様は今日も美しい。きっと明日も美しいだろう。それ以外にも不器用オーギュストと、彼からなんだかんだで目が離せないセレナの恋物語、アイザックとレイチェルの甘々な恋物語といった砂糖の多い短編が続いていく。

彼、彼女達が幸せそうで何よりと胸焼けする短編集であった。

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