工大生のメモ帳

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悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました8 感想

【前:第七巻】【第一巻】【次:第九巻】

※ネタバレをしないように書いています。

ラスボス飼ってみた

情報

作者:永瀬さらさ

イラスト:紫真依

試し読み:悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました 8

ざっくりあらすじ

クロードの息子を名乗る謎の少年にエルメイア皇国が占拠された。隠し子ではないかという推測が飛び交うが、彼は未来からやって来たクロード夫妻の息子だと判明し――。

感想などなど

ゲームは売れれば続編が作られる。これまで『聖と魔と乙女のレガリア』はナンバリングが4(+FD)まで出ており、それぞれのラスボスを飼ったり、落としたりといった手法で破滅エンドを回避してきた。

それぞれのナンバリングのフラグや設定が混戦し、読み返さなければならない事態も珍しくない本作だが、この第八巻は、比較的理解しやすい方だと思う。この巻で起きる事件は、『聖と魔と乙女のレガリア5』の物語になぞらえていくのだが、アイリーンは本作を未プレイ。読者と似たような視点で事件に巻き込まれていくこととなる。

『聖と魔と乙女のレガリア6』の概要は以下の通り。

アシュメイルにある男子禁制の神女学院を舞台にしているものの、ヒーローは魔竜の封印を管理している地下組織のボス。初代神の娘を信仰する宗教・世界統一教がはやっていたり、学園ものでありながら裏社会に生きているような異色作となっている。

しかし、ここで描かれるはずだった諸問題――物語を動かす事件の元凶達は、既にアイリーン達が解決してしまっているようだ。魔竜が分かりやすい。彼女は元気に生きている。

ちなみにラスボスは保険室の先生にして、世界統一教の教祖にして、関西弁を操る男・エヴァレ(イケメン)。彼の目的は学院の下にある地下遺跡に安置された『神の娘の遺体』を奪取し、魔竜を操って喰らうことで邪神としての力を得ようとしている。

……かなりざっくりとまとめたが、もっと細かな情報については、作中にてアイリーンが箇条書きでまとめてくれているので、そちらを参照して欲しい。物語を読み進めるにつれて、これまでアイリーン達が覆してきた物語の皺寄せの結果を知り、ゲームの知識は生かせないという状況に追い込まれていく。

まぁ、(主にリリアのせいで)これまでもそんな感じだったが。

 

『聖と魔と乙女のレガリア5』との分かりやすい違いは、クロードの息子を名乗るシャルルの登場だろう。クロードの血を引いているんだろうと分かる美形の少年で、その実力も相当なものだ。

なにせエルメイア皇国が赤い結界で覆われ、完全に奪われてしまった。これが出来る奴が、この世界にどれくらいいるか……いや、意外といるのか? そんなことができそうなアシュメイル国王・バアルに助けを求める。

エルメイア皇国脱出の際に、急に現れた謎の少女・エルメアの正体を探るため、アシュメイルにある神女学院に潜入することにしたクロードとアイリーン。そう『聖と魔と乙女のレガリア5』の舞台に乗り込んでいくこととなる。

ここで何が起きて、クロードの息子を名乗る少年・シャルルが現れて国を乗っ取るまでに至ったのか。シャルルの前に現れて彼を止めるような動きをしたエルメアという少女は一体誰なのか。

調査を進めていくと、出てくる出てくる……シャルルが未来から来たのではないかという情報、『聖と魔と乙女のレガリア5』では攻略できないラスボスの目的、これまでフラグを散々へし折ってきたことによる皺寄せを一心に受けて押し寄せてくる。それら全てをひっくり返すための最善策は――『ラスボスを飼っておくこと』。

第一巻を読んでおくとエモい第八巻であった。

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