※ネタバレをしないように書いています。
姉妹の新生活
情報
作者:柊ゆたか
出版:電撃コミックスNEXT
試し読み:新米姉妹のふたりごはん 5
ざっくりあらすじ
父が再婚し、急に妹ができた。食べることが大好きな姉・サチと、料理が大好きで無口な妹・あやりの二人による美味しい匂い漂う生活は始まったばかり。
「てんぷら」「ヤンソンさんの誘惑」「味噌玉」「メロンパン」「山菜ごはん」「ピザ」
感想などなど
「てんぷら」
子供っぽい料理ばかりを好むサチ。そのことを友人に指摘され、何とかして大人の料理を好きになろうと考え込み、あやりも巻き込んだ結果、天ぷらを作って貰うことに。大人の料理と天ぷらが、彼女には等号で結ばれるらしい。
サチの「サチに天ぷらを食べさせて!」「そしてサチを大人にして!」という姉の願いを聞き届け、新米姉妹、今日の夕食は天ぷらと相成った。
天ぷら……食べるにしても外食くらいでしか味わった記憶がない。大量の油を使うという知識しか持ち合わせていないが、その準備に後片付けだけでも苦労する未来が見える。
そんな天ぷらを二つ返事で作ります、と言うことができるあやりは出来る妹である。
衣の材料は事前に冷やしておく、小麦粉はふるいにかける、穴子の天ぷらにカレー粉を合わせる、といった新たな学びを得ると共に、旨そうなサチの食レポが食欲をそそる。特に「うにの天ぷら」なんてのは、自宅でやるからこその楽しみではないだろうか。
天ぷらを食べたことでサチが大人に近づいたかどうかは定かではないが、彼女が幸せならば何よりであろう。
「ヤンソンさんの誘惑」
絵梨に誘われ、二人きりでデートに行くこととなったあやり。かつて面と向かって「友達です」と宣言した彼女はどこへやら。緊張であわあわする彼女が実に可愛らしい。そんな彼女の緊張を感じつつも、いつも通りのマイペースで彼女をエスコートする絵梨の頼もしさは異常であろう。流石は弟のいる姉といったところか。
絵梨に服を新調してもらったりと、いつもとは違うあやりの姿を見ることができる読者にとって眼福なシーンが続く。いつもはセーラー服だし、作品の雰囲気的に意識することはないのだが、あやりはかなりスタイルが良いと改めて思わされた。
そんな二人のデートの締めは、いつものように料理を作ることに。作った料理の名前が「ヤンソンさんの誘惑」。落語の小話の題名でありそう。
その名前の由来は、菜食主義者のヤンソンさんがアンチョビが入っているのにウッカリ食べてしまったことに由来しているとか。ちなみに恥ずかしながらアンチョビを食したことがないブログ主。検索したら意外にも普通に売っていることが分かり、明日のスーパーでの買い物は決定した。
こういうこれまで手を出すことのなかった食材を、知って食べよう・買おうと思える出会いがあるのが、こういった料理漫画の醍醐味であるような気がする。皆さんも、明日の買い物でアンチョビを買ってみてはいかがだろうか?
「味噌玉」
何を隠そう、ブログ主は会社に弁当を作って持って行っている。あやりのようにお洒落な料理は作れず、ただ野菜と肉をぶっ込んで炒めるだけというシンプルな男の料理が多いのだが、この漫画の影響で色々と工夫するようになった。
この味噌玉もその工夫の一つだ。皆さんも超簡単にできるので試して見て欲しい。
作り方としてはサランラップで味噌と出汁、乾燥ワカメなど混ぜて輪ゴムで封をするだけ。会社でそれをお湯に溶かせば味噌汁のできあがりである。普通はカップ麺を作ったりするのに使われるポットが、自分の場合は味噌汁を作るために使われている。
作中では、あやりが学校で友人を作るきっかけとして機能した味噌玉。ブログ主にそのような器用な芸当はできていないが、ちょっとした工夫で美味しい食事ができるということを教えてくれた味噌玉には感謝しかない。
「メロンパン」
子供の頃、メロンパンはメロンが入っているものだと思っていた時期があったらしい。記憶にはないのだが。かくいう作中のサチはとある疑問を呈した。「大抵のメロンパンにはメロンは入ってないよね。なんでメロンパンなんだろ?」と。
その疑問に答えたのはあやりである。「マスクメロンのひび割れに見た目を似せたら」とか「材料のメレンゲがなまったもの」とか、複数の説があるようだ。そんな知っているようで知らないメロンパンの新たな知識を、この漫画で得ることができた。
メロンパンはクッキー生地とパンの生地を別々で作り、あとから一緒にして焼く……とか。あの外のカリカリの正体は、クッキー生地だというのか。
「山菜ごはん」
今回はみのりさんの誘いで山菜採りに来たサチとあやり。山に登り大量に採った山菜を料理にしたら、登山の疲れも相まって、それはそれは旨いのだろう。想像しただけで腹が減ってきた。
山菜はスーパーで買うという訳にもいかず、山に行くからこそ採って、すぐに食べられるという夢のある食材なのではないか? この作品を読んでそんなことを思った。みのりさんの撃った鹿肉も一緒に食べるという贅沢。その幸せを二人はよくよく噛みしめて欲しい。
金を積めば食べられるというものでもないし、いつかは食べてみたい食事リストに名を連ねたのは、言うまでもない。
「ピザ」
電話一つで注文し届けられるピザ。大学生の頃は、何回かお世話になった。
今回はそんなピザを自宅で作るのだという。ピザを作るとすればイメージする、手の上で生地を回して広げていくアレとか、釜の超火力で焼き上げるアレは、一般家庭でも、流石のあやりでもできない。
ここで描かれるピザは一般家庭でもできるもの。「お、できそうやんけ」と思ったら、バジルもチーズも冷蔵庫になかったことは、ここだけの秘密である。
あやりの学校でできた友達が家に来るということもあり、張り切るサチとあやりの両名。珍しく(?)姉らしいムーブを見せるサチだったり、張り切りが空回ることの多かったあやりの頑張りが光る回であった。
……ピザ喰いてぇ。バジルってどこで買えるのか調べるブログ主であった。