工大生のメモ帳

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【映画】きさらぎ駅 感想

※ネタバレをしないように書いています。

怪異RTA

情報

監督:永江二郎

脚本:宮本武史

主演:恒松裕理、佐藤江梨子、本田望結

ざっくりあらすじ

ネット上のとある書き込みを発端として、まことしやかに語られる怪談『きさらぎ駅』。その書き込みの主である「はすみ」本人ではないかとされる葉山純子に話を聞くことにした大学生・堤春菜だったが……。

感想などなど

「きさらぎ駅」

2ch(現在は5ch)において「先程から某私鉄に乗車しているのですが、様子がおかしいのです。」という書き込みを皮切りに、「きさらぎ駅」という存在しない駅に迷い込んでしまった奇妙な体験をリアルタイムで書き込んだ現代色の強い怪談話である。

この怪談話の面白いところは「その後、書き込み主である「はすみ」がどうなったか?」が書かれていないこと、だと思う。リアルタイムに恐怖体験を書いているという性質上、「書き込みがなくなったこと=携帯も触れないような状態になってしまった」ということを想像させられてしまう。

本作では、その書き込み主である「はすみ」本人に直撃し、きさらぎ駅で何があって、どうやって戻ってこられたのかが語られる。映像としてはいわゆる一人称視点を用いて、ネット上では文章ベースで想像しかできなかった奇妙な世界観が描かれていく。

一人称視点であるため人によっては酔うという方もいるかもしれないが、あの怪談をリアルタイムに体験しているかのような映像は、ホラーとしても、「きさらぎ駅」好きとしても面白い体験だったと思う。

とはいえ映像化してみるとこんなにシュールなんだな……とちょっと冷めてしまった部分があったのは、申し訳ない気持ちになる。そもそも元ネタの「きさらぎ駅」自体はめちゃくちゃ怖い訳ではないし、尺もそれほどない。

それを一人称視点という工夫と、一工夫ある脚本によって一本の映画に仕上げてあるのは凄いと思う。

 

一工夫ある脚本というのは、前半部は「はすみ」さんからの伝聞ベースによる怖い話を聞くという内容であるが、後半はその話を聞いた上で攻略を組み立てて脱出RTAする話になっているのだ。

前半部は純粋に怖いという方もいるかもしれない。しかし、それらが全て伏線として作用し、後半ではスカッと怪異をボコボコにしていく。登場人物の中にはどうしようもない屑がいて、そいつのせいでゴチャゴチャするが、それも回避。初見殺しの怪異も回避。厄介な怪異には先制攻撃。

おそらく本作はホラーというジャンルなのだろう。

しかし、ホラーゲームの二週目は怖くなく、ある意味純粋にゲームを楽しめるように、一見すると繋がりが見えてこなかった怪異同士の繋がりも、いざボコってみると分かってみたりする。少しでも分かる部分がでてくると、怖さは大きく減少するのだなという学びにもなる。

それらのスカッとした展開の全てをひっくり返すラストには驚かされた。

見て後悔しないホラー映画であった。