工大生のメモ帳

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【ドラマ】海に眠るダイヤモンド 感想

※ネタバレをしないように書いています。

端島が好きだから

情報

脚本:野木亜紀子

プロデューサー:新井順子、松本明子

主演:神木隆之介、斎藤工、杉咲花、池田エライザ

全10話

ざっくりあらすじ

昭和に石炭産業で栄えた長崎の炭鉱島・端島。石炭産業は廃れた現代の東京。70年という時を隔てて描かれる物語。

感想などなど

このドラマの感想を語る前に、まずは端島について語らせてほしい。

軍艦島という通称でも知られる長崎県端島は、明治日本の発展を支えた炭鉱の一つであり、そこで業務に従事する人々は島に住み込みで働いていた。そんな彼らのために、日本で初めてのコンクリートマンションが建てられ、当時としては珍しいテレビが普及するなど、全盛期の発展は目を見張るほどのものだったとされる。

2015年に『明治日本の産業革命遺産』の一つとして世界遺産に登録され、2026年5月現在は、フェリーのツアーで限られた場所のみ足を踏み入れることが可能となっている。

当時の生活を支えたコンクリートマンションも、潮風に晒され、台風の暴風に晒され、いつ崩れてもおかしくない状況であるため、いずれは足を踏み入れることもできなくなることが予想されるため、気になっている方は早めに足を運ぶことをオススメする。

ちなみにブログ主は端島はつい最近観光した。本ドラマ『海に眠るダイヤモンド』にて描かれた端島に憧れて、いつかは行ってみたいと思っていた。

石炭が石油へと切り替わっていく転換期であり、敗戦国という立場から変わっていこうとする激動の時代を支えた端島が、最後は閉山することを余儀なくされたストーリーを、肌で感じてみたかった。

ドラマで得た知識も交えつつ眺める端島の今は、当時の活気を想起させると同時に、盛者必衰のもの悲しさを思わせる。そんな端島を舞台にしたドラマ『海に眠るダイヤモンド』について語っていきたい。

 

このドラマはミステリーでは決してないが、とても謎の多いドラマだ。

70年前の端島と2018年の東京の様子を交互に描写し、「70年前の端島にいた人物が、現代ではどうなっているか?」を考えさせる構成になっており、推測させる上でのミスリードがかなり多く散りばめられている。

70年前の端島での様子を見る限り「端島のために生きる」男・鉄平が、端島を盛り上げるため、端島の知名度を上げるため、端島で働く人々がより働きやすくするために奮闘する様子が描かれる。第一話ではセクハラを受けて差別された女性一人のため、端島の人々全員を巻き込んだ意趣返しをしている。

端島のために徹底的に戦い抜くという覚悟と行動力があり、とてもカッコいい。

そんな鉄平が現代ではどのようになっているか? 気になるところだが、第一話では明かされない。代わりに鉄平に良く似たホスト・玲央が登場し、突然現れた謎の老婦人・いづみに突然プロポーズされて、そのまま長崎に連行されて一緒に観光を楽しむこととなる。

そんな謎の老婦人・いづみは一体誰なのか?

70年前の端島にいた誰かであることは分かる。何故ならかつての鉄平がリナという女性に言った一言「人生、変えたくないか」を、いづみは引用して玲央に言うからだ。少なくとも、このいづみという人物はリナか鉄平の関係者――つまりは端島にいた人物ということになる。

視聴者は様々な想像を巡らせることとなる。

その想像は話が進むごとに複雑な広がりを見せていく。あまりにも鉄平と瓜二つな玲央は、もしかして鉄平の子供なのでは無いか? しかし玲央の父親はいないのだという。真面目で正義感のある男・鉄平が息子を捨てるようなことをするだろうか? 70年前のイメージとは合致しない。

いづみは誰なのだろうか? 鉄平と瓜二つの男・玲央に思わずプロポーズするような人だ、鉄平のことが忘れられないのだろう。彼女は真実を知るために色々と動き始める。もうこの辺りで視聴者は察する。あぁ、鉄平はいつの間にか消えたのだ、と。

70年前の端島の物語と現代が繋がっていき、全ての真相が明らかになって迎える最終話のラストシーンは、あまりに美しい。

 

ドラマを見終えた後、しばし放心した。「あのとき、こうしていれば」という妄想は尽きない。「貴方がこういうことをしなければ」という怒りすら芽生える。それら全てを優しく包み込んでいく鉄平の行動は、端島にいた全ての人々に向けられた愛がなければ成立しない物語だったと思う。

その愛を彼女に注いで欲しかったという気持ちもある。しかし彼は彼なりの方法で愛を遂行し、誰よりも彼女の幸せを願った。それ故に成立したラストシーンである。

見返して新たな発見もあるし、結末を全て知った上でも見る価値のあるドラマだった。