工大生のメモ帳

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無職転生 ~異世界行ったら本気出す~ 3 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

転生したら、まともな人生を

情報

作者:理不尽な孫の手

イラスト:シロタカ

ざっくりあらすじ

大規模な魔力災害に巻き込まれて、魔大陸に飛ばされたエリアとルーデウス。右も左も分からなかった二人は、エメラルドグリーンの髪に、白い肌、赤い宝石のような額の感覚器官を持つスペルド族ルイジェルドに救われ、国にまで送ってもらえることとなった。

感想などなど

歴史なんて過去のことで、今を生きる自分には関係ない。

いやいや、それは間違いである。自分のご先祖がやって来たこと、自らのルーツというものは、本人の意思とは関係なくまとわりついてくるものなのだ。それが良い結果になることもあれば、悪い結果になることもある。

本作から登場するスペルド族は、その悪い結果が色濃く反映されたことにより差別と迫害の今を生きている一族であった。第一巻、ロキシーが『スペルド族には近づくな、話しかけるな』と言っていたことは記憶に新しい。

ロキシーには差別をしているという意識は、おそらくなかっただろう。ただ自身が聞いてきた過去の物語が、彼女にスペルド族に対する嫌悪感というものを植え付けたのだろう……まぁ、彼女がルーデウスにそのような助言を残した理由は、それだけではないのだろうが。

まぁ、確かに。五百年前の戦争で猛威を振るったスペルド族の物語を聞く限り、スペルド族は女子供を喰ったり、殺戮が大好きだったり、キレやすく些細なことで殺人に走るような根っからの悪人だった。だが現実はどうであろう。

魔大陸に飛ばされたエリアとルーデウスを救ったのは、他でもないスペルド族であったのだ。

 

スペルド族は魔族であり、そこらの人間よりもも遥かに寿命が長い。五百年前に始まった戦争から生き延びている生きる証人がいた。ルイジェルドもその一人だ。彼ら曰く、

これは全てラプラスの陰謀

である、と。そこで語られる真実は、なかなかに衝撃だった。

ラプラスというのは、戦争の最中でいち早く魔族を統一し、人族から魔族の権利を勝ち取った英雄なのだという。スペルド族も、当然ラプラスの配下として行動していた。

そんなラプラスが、スペルド族の騎士団に赴き、黒くまがまがしい魔槍を使うように強要した。騎士団員の中には、そのような槍を使うことはできないと反対する者もいたが、英雄であるラプラスへの忠誠示すという意味でも、使わないわけにはいかなかった。

だがそれが罠だった。

槍は血を吸うと、使用者の魂を黒く染め上げていった。そして無意識のうちに惨劇を来る広げるようになった。敵味方の区別もなく、周囲にいる者を無差別に襲いだす。当然、子供だって。

語られる物語に嘘はなかったが、それは全て仕組まれたものだったわけだ。

 

そうして築き上げられた悪評を、何とかして払拭したいと考えているルイジェルト。だがそう簡単にできることではないだろう。五百年という歴史の重みは、そう簡単に覆せない。

そこでルーデウスは助けてもらい、さらには国に戻るまでの間の案内役を務めてくれるということにお礼することもかねて、ルイジェルドの悪評払拭の手伝いをすることにした。そこで考え出した作戦は、こんな感じだ。

ルイジェルドはデッドエンドという名前で恐れられていた。だが逆に言ってしまえばルイジェルトというスペルド族は、デッドエンドという名前で幅広く知られているということを意味する。ならばデッドエンドという名前を名乗りつつ、人々を救っていくことで何となくスペルド族の名前を良い印象に変えていこう……というものだ。

まぁ、ちょっと聞いただけでも難しい作戦であるということは分かって貰えるはずだ。

ルーデウスとしても、これがすぐに悪評払拭につながるとは思っていないだろう。すべては単純な事柄の積み重ねで、これは小さな一歩に過ぎない。しかし、大きな一歩であることに間違いはない。

リカリスの町にある冒険者ギルドに、『デッドエンド』という名前でパーティ登録。最初は最低ランクから始まる冒険者としての活動であったが、ルイジェルドにルーデウス、エリアはそれぞれ粒ぞろいの強さだ。

依頼は難なくこなしていき、ランクも上げつつ、デッドエンドという名前に対する印象は変わっていく。その過程が面白いのだ。第三巻の肝は、様々な冒険者たちとの出会いと別れだ。

この出会いがいつか大きなものを生み出してくれることを期待して、第三巻を読み終えてすぐに第四巻を買いに走るのであった。

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