※ネタバレをしないように書いています。
転生したら、まともな人生を
情報
作者:理不尽な孫の手
イラスト:シロタカ
試し読み:無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜 6
ざっくりあらすじ
ようやく中央大陸へ戻って来たルーデウス一行は、アスラ王国へと向かう。その道中にあるシーローン王国では、人神の言葉に習ってリーリャとアイシャを救出するために動くも、城に囚われてしまう。宮廷魔術師でシーローン王宮に仕えているはずのロキシーもおらず途方に暮れるが、予想外の人物が助けてくれることになって……
感想などなど
長かった二年間の旅を経て、ようやく中央大陸へと戻って来ました。色々なことがありましたね……突然、白い光に包まれて、目を覚ますとスペルド族が眼前に。スペルド族は危険、危険と教育されてきた訳ですが、彼らはとても優しくルイジェルドを受け入れて、旅に同行までしてくれることになりました。
人神の助言なく、もしもルイジェルドから逃げ出していこうものなら、モンスターに食い殺されていたことでしょう。
魔大陸でのその道中、人神の行動に習って行動し、悪魔大帝キリシカに予見眼を授けて貰いました。それは戦闘において役に立ち、数々の修羅場でルーデウスを救ってくれました。
これも全て人神様のお陰。なんということでしょう。感謝してもしきれません。この第六巻においても、二回ほどルーデウスの前に現れた人神。忘れたい前世のことを思い出させようとすること、うさんくさそうな外観などから忌み嫌ってきた訳ですが、そんな人神とルーデウスの関係が大きく変わっていくターニングポイントとなる事件が、この第六巻では起こります。
その事件は人神とルーデウスの間だけでなく、エリスとルーデウス、ルイジェルドとルーデウスとの関係性にまで影響を与え、さらにルーデウスがこの世界で生きていく上での考え方まで大きく変えてしまうのです。
事件の結末だけ述べましょう。ルーデウスの死、です。
第六巻の前半部では、妹であるアイシャと侍女であったリーリャが、シーローン王国の王宮に囚われているという話を(人神から)聞きつけたルーデウスが、彼女らを救出するために奮闘する話となっている。
まず、「なぜ囚われた?」という疑問が当然わく。
犯人はロキシーがかつて王宮魔術師として仕えていた時に、家庭教師として魔法を教えていた第四王子であった。巻末に収録されていたロキシー視点のエピソードでは度々登場していたが、こうしてルーデウスの話と関わってくると、こいつのクソさが際立ってくる。
性格がクソな癖して権力だけは無駄に持っていて、その権力の使い方だけが妙に上手いというのが気持ち悪い。その嫌悪感を持ち合わせたまま読み進めると、最後はスカッとする展開が待っている。分かりやすい勧善懲悪であり、そのきっかけを生み出したのが、かつてルーデウスが作り出した――もはや記憶から消えつつあるであろう――ロキシーのフィギアであるのだから驚きであろう。
囚われていたリーリャとアイシャの絡みにも注目である。母と娘、二人が流した涙にもらい泣きしそうになったのは、ブログ主だけではないだろう。
この異世界はとても広い。
だから、ルーデウスを瞬殺するような者がいてもおかしくはない。
神ですら避けることのできない災厄が存在したっておかしくない。
いつ死んでもおかしくない。そんな危機感を失っていた。ルーデウス、「異世界行ったら本気出す」というのは、嘘だったのか?
無職転生にとって大きな分かれ目となる巻であった。