※ネタバレをしないように書いています。
知れば知るほど面白い!
情報
作者:村野真朱、依田温、杉村啓
試し読み:琥珀の夢で酔いましょう 2巻
ざっくりあらすじ
それぞれ仕事がなかなか思うように上手くいかない七菜、鉄雄、隆一だったが、居酒屋『白熊』に協力している過程で、それぞれが色々な気づきを得て……クラフトビールを知れば知るほど深みに嵌まる! 第二巻。
感想などなど
お酒を飲む時に欠かせないのはアテである。キンキンに冷えたビールのキレ味と脂っこい料理が合うんだまたコレが。
そんなビール=キレ味という等式をぶち壊したクラフトビール。味と香りの違いを楽しみながら酔うことができる。そんな出会いを提供する居酒屋『白熊』は、七菜と鉄雄の協力もあって少しずつ右肩上がりの成長を見せてくれている。
しかし、まだ足りない。
第二巻の一話目は、ゴエドブルワリーの『瑠璃 ―Ruri―』とデュベル・モルトガットの『ヴェデット・エクストラホワイト』、シメイの『シメイ・レッド』の三種ビールを飲み、それぞれに合った料理を決めるという話だ。
第一巻にて料理評論家・グリフにボコボコにされたこともあり、料理人・隆一なりに色々と考えることがあったのだろう。もっと喜んで貰える店にするために、ペアリングについて学習するというコンセプトになっている。
相変わらず、七菜や鉄雄の言語化能力が高い。クラフトビールの特徴を分かりやすく説明しつつ、それとどの料理が合いそうかを考察していく。それを読んでいると、やはり酒が欲しくなるし腹も空く。
そんな酒と料理の相性を考えている過程で、鉄雄は思うところがあったのだろう。自身の仕事で上手くいかなかったことを話し出す。
彼の仕事は写真家で、クライアントのニーズにあった写真を提供し、採用されればOKという厳しい世界。今回、クライアントに提供した写真は「さびしい」と言われて見送りとなった。
海岸線の朝焼けを撮ったシンプルな写真である。それを見て隆一は「ナマぽくてえい」として自分が貰うことにした。
衝動以外をかなぐり捨てたみたいに潔い
その写真に文字などを添えた七菜の仕事によって、全てが上手くまとまっていく第一話。第二話以降もクラフトビールとの出会いを経た学びによって、七菜も自信をつけていく。
読んでいて思うが、七菜は自己評価が低すぎるように思う。仕事、つまりは七菜が提案した企画が通らなければ自分のせい、企画が上手くいっても上司が頑張ったから……彼女目線だと、どこにも彼女自身の努力は加味されない。
自己評価の低い人間の視点ってこうなっているのか、と個人的には納得がいったように思う。派遣だからこその逆風は当然あるけれど、それすら乗り越えて嫉妬されるくらいの実力を誇ってほしい。
そんなことを思っていたら女優・MAKOTOが励ましの言葉をかけてくれる(第一巻にて居酒屋『白熊』にたまたま取材に来て知り合いになる)。素直に努力を褒め、憧れの対象としか見られていない自身の空っぽさを自虐的に語り、それほど日は経っていない二人の心を曝け出す赤裸々トークが繰り広げられる。
これも屋外でクラフトビールを飲みながらという環境によって、心の扉が開きやすくなっていたからなのだろうか。とにかく二人は仲間になって、居酒屋『白熊』を中心にした輪が広がっていく。
ちなみにこのエピソードには、自分が知っているクラフトビールが珍しく登場する。コンビニでも売っている『よなよなエール』、何度か買ったことがあるのだが、「そうか、あれはクラフトビールだったのか……」と無意識のクラフトビールデビューが明らかとなった。個人的にめちゃオススメである。
ただ作中に登場したクラフトビールを列挙するだけでも一記事書けるくらいには、たくさんのクラフトビールが登場する。しかもクラフトビールの中でも低アルコールやノンアルコールのもの、地酒やコンビニで買えるようなものまで幅広く登場する。
杉村啓氏のコラムも健在で、第二巻の一話目ではビールと合う酒を探す「ペアリング」をしていたが、このコツだったりがまとめられていたりする。また、作中で岡山城を貸し切っての飲み会が開催されるのだが、実際に過去にあったことが書かれていたりする。
学びのある漫画であった。
