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世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する3 感想

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻】

※ネタバレをしないように書いています。

勇者を殺せ――そのために転生を

情報

作者:月夜涙

イラスト:れい亜

試し読み:世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する 3

ざっくりあらすじ

魔族討伐の報酬として、聖騎士の称号を与えられたルーグは、勇者にしか絶対に倒すことができないとされている魔族の討伐に狩り出されることとなる。勇者と魔族との戦闘を間近で見ていたルーグは、魔族を殺せるかもしれない魔法の開発に取りかかるが……。

感想などなど

勇者を勇者としている者は何か?

某ゲームでは血統が、某ゲームでは勇気ある者を後に勇者と語った。また別の作品では、とある剣を引き抜けた者こそ勇者として崇め、またある作品では魔王を討伐できた者こそを勇者とした。

この作品ではもっと分かりやすい形で勇者という存在が示される。

この世界において、魔族を唯一殺すことができる者が、勇者なのである。

あらゆる暗殺の技を開発したルーグは、その全てを魔族に打ち込んだ。空から矢の降り注ぐグングニル、周辺の空気を奪っての窒息死、数多くの拳銃による一斉射撃……それらで魔族は一度死んだ。しかし、目を離した次の瞬間には復活していた。

どうやら目には見えない核のようなものがあり、それを壊さない限りは何度でも復活し続けるという仕組みのようだ。その核を殺すことができる技を持つのが、この世界においては勇者だけなのだという。

つまり、魔族は物理的に勇者にしか殺せない。勇者が勇者たる理由が分かっていただけただろう。勿論、圧倒的な力というのも、勇者としての箔を付けるには十分過ぎる要素なのだろうが。

 

さて、だからこそ勇者は重要な戦力として王都に置きたがるというのは想像しやすい。事実、王都は勇者を王都に置き、辺境の守りを捨てるような決定を下した。それでは王都より離れた辺境の地は、魔族が現れてもなすすべなく滅ぼされるしかないということになる。

それには納得のいかない各国の貴族達。その不満は最もだといえよう。しかし、勇者も一人しかいないのだから、どこかを捨てるという選択は必然だとも思える。

そこで出された折衷案が、魔族を何度も殺し掛けたルーグという男を、聖騎士として祭り上げ、辺境の地で魔族と戦わせるというものだった。暗殺貴族とはいえ、男爵家のしがない息子に過ぎない彼は、使い捨てるにはぴったりの人材ということか。

まぁ、つまりは辺境地で魔族と戦って善戦して死ね、ということを遠回しに突きつけられた訳だ。

だがルーグも死ぬつもりはない。勇者との戦いを間近で見たことで、魔族には魔力を供給し続ける核のようなものがあること。その核を壊すことができさえすれば殺せるということが分かった。

魔族を殺すことができる魔法を開発する。勇者を殺す以前に魔族に殺されることを防ぐためには、それを早急に完成させなければいけない。

そんなルーグに死んで欲しくないのだろう。勇者エポナがわりと協力的だ。

勇者のスキル【私に付き従う騎士たち】は、特定の相手に勇者が持っている力の一部とスキルを分け与え(分け与えるといっても勇者の弱体化はない)、超強化することができる。それにより力とスキルを与えられたルーグは、絶大的な力を得た。皮肉なことにこれが勇者暗殺の道筋を照らしてくれるかもしれない。

ルーグがエポナからもらったスキルは【私に付き従う騎士たち】【可能性の卵】【多重詠唱】【獣化】を貰っている。【可能性の卵】はスキルを持っている人に見合ったスキルが解放されるというもので、かなりギャンブル性が強い。【多重詠唱】はそのまま、複数の属性を同時に発動させることがしやすくなったし、【獣化】はそのまま獣と化して速度と力が上昇し、獣に応じた能力を獲得することができるというもの。

どれも使いようによっては、めちゃくちゃ強い。とくに【多重詠唱】を多用し、魔族を殺す魔法の開発に一歩近づいた。

 

 

そうして慌ただしい日々を過ごすルーグであったが、ヒロイン達との日常に心が癒やされる。ついにディアとは一線を越え、タルトとは甘い口づけを交わし、マーハとは……デートはしたね。

それにしても、巻を進めるごとに身体接触が濃厚になりつつある気がする。

【私に付き従う騎士たち】により【獣化】のスキルを与えられたタルト。彼女が【獣化】した際には、狐のような耳に尻尾が生えた(可愛い)。それにより戦闘力が上がったのは勿論のこと、どうやら性欲の方も少しばかり野生的になるらしい。

ケモミミに襲われるという特殊な性癖をお持ちの方には刺さるかもしれない。

それくらいの贅沢(?)は、これから死地へと赴く彼へのせめてもの手向けということにしておこう。

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