工大生のメモ帳

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異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術2 感想

【前:第一巻】【第一巻】【次:第三巻】

※ネタバレをしないように書いています。

魔王(演技)

情報

作者:むらさきゆきや

イラスト:鶴崎貴大

試し読み:異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術 (2)

ざっくりあらすじ

エルフの王国・グリーンウッド王国からファルトラ市の領主に、シェラ・L・グリーンウッドの引き渡し要求が届いた。要求を受け入れられない場合、戦争も辞さないという強硬姿勢に対し、戦争を防ぐクエストが魔王〈ディアヴロ〉に出された。

感想などなど

魔王〈ディアヴロ〉は悪魔の軍勢をぶっ飛ばして、街を守ってしまった。魔王という人類の敵の名を冠した男が、人類を守るために奮闘して段々と周囲に認められていくことになる。口調は相変わらず、魔王っぽい演技で周囲をびびらせるものだが、決して悪い魔王ではないと彼の近くにいたものは分かってくれたようだ。

といっても。

彼が使っている元素魔法は弱いとされていること(この世界では召喚魔法が元素魔法より強いとされているようだ)、その元素魔法で悪魔の軍勢を蹴散らしたこと、そもそも魔王と名乗っていること、などから噂しか知らない者達からとってみれば、彼は誇張された噂ばかり広まっている変人というように扱われているように感じる。

魔王と名乗っても、すぐさま軍隊が出張ってくるというようなことがないのは、そういったことが要因だと考えると、良かったとも言えるかもしれないが。

しかし、この第二巻で魔王〈ディアヴロ〉は、一国の軍隊を相手取って戦うこととなる。

 

ディアヴロとレムとシェラの三人がいるフェラトル市に、《人喰の森》にあるというエルフの国・グリーンウッド王国から要求が届いた。内容は「シェラ・L・グリーンウッドを引き渡すように」というものだ。

召喚魔法でディアヴロを召喚し、奴隷魔術を反射されて奴隷に成り下がってしまった少女は、実はグリーンウッド王国の王家の娘だった……ということは第一巻時点で明かされていた。これまでは強硬手段に出ることはなく、半ば放置されていたシェラを『連れ帰らなければいけない』理由ができたということだろうか。

要求に従えない場合は強硬手段――つまりは戦争も辞さない――という強気の姿勢であるグリーンウッド王国。かなり焦っていることが伺える。

それに対して、帰る気はさらさらないというシェラ。もともと王家の者としてのしがらみから自由になりたい、という思いで外に出てきたらしい彼女の思いに答えるように、ディアヴロは彼女を自分の所有物と主張し、断固として国には返さないことを宣言した。

そんなディアヴロの宣言に対するフェラトル市の領主チェスター・レイ・ガルフォード中尉の返答は、意外なものであった。

「エルフの言うことなんか聞くか。でも兵が大切だから、任せる」

……要はエルフと戦争しても負けようがない。だから要求に応える気はさらさらない。けれど戦争をすれば少なからず兵は消耗するのは避けたいから、回避できるものならやってね。

ということである。

エルフとの戦力差はかなりあるようだ。彼自身、悪魔との戦いを生き残った猛者。かなり強いことが予想される。その自信の大きさはかなりのもので、ディアヴロも「一対一ならなんとかなるか?」を前にして少し弱きだったりする。

そんな男の出したクエストに乗っかる形で、彼は戦争を回避するために動き出すことになる。

 

そのための方法は決まっている。シェラは意地でも渡さない。武力で言うことを聞かせようとする相手ならば、武力で黙らせるに限る。しかし一応、シェラの家族がいる国に対して大魔法ぶっ放すのは気が引ける。エルフの戦力がどれほどか知らないが、それらが全て一斉に襲いかかってきたとしてMPは持つだろうか。ポーションも作れるようになったし、負けようもない気がするけれど。

そんな戦争回避の件について、王国から国家騎士という超エリートが派遣されてきた。どうやら事の顛末を確認し報告。解決に向けての協力もしてくれるようだ。

彼女の名はアリシア・クリステラ。国家騎士という超エリートだけあって、その強さはかなりのものだ。シェラとレムも決して弱くはないし、ディアヴロが負ける姿は想像できないが、彼女がいるということはとても心強い。

こうしてシェラとレムとアリシアという美人、美少女揃いのハーレムチームで解決に当たる。妙に露出度の高い面々であるが故に困る視線、コミュ力が妙に高い彼女達とのコミュニケーションに難儀しつつ、どうするか考えている矢先、シェラの兄が彼らの前に現れた。

要は王家の者、というより現国王であるようだ。わざわざ出てきたからには、目的は当然シェラを連れて帰ること。そこから明かされていく、今になってシェラが必要になった理由が徐々に明かされていくのだが……本当にくっそしょうもない。

この作品、プライドと性根が腐った男を描くのが上手いと思う。因果応報、自業自得。そんな四文字熟語を学ぶのに適している。

そんな屑と相反するように、誇り高きプライドと根性を持った男達同士のバトルが描かれるからこそ盛り上がるのかもしれない。

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