工大生のメモ帳

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神様のメモ帳3 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

守りたいもののために

情報

作者:杉井光

イラスト:岸田メル

ざっくりあらすじ

彩夏が戻ってきた。代わりに記憶を失って。

鳴海に敬語で話しかけてくる彼女と園芸部として活動している最中、生徒会長によって園芸部が廃部に追い込まれていた。居場所を守るため、《ニート探偵》アリスと共に行動を開始する。

感想などなど

彩夏が戻ってきた。代わりに記憶を失って。

これまで親しげに話しかけてくれた彩夏が、敬語でよそよそしい様は、読んでいて辛いものがある。「ラーメンはなまる」の仲間達――ミンさん、テツ先輩、少佐、四代目にアリスに至るまで、彼らに対する反応も新鮮そのものだ。

いきなり重たいものをぶち込んでくるな……と読み進める手は自然に止まる。何とか昔の自分に合わせようとする彩夏と、気にしないようにするナルミの二人の関係性は違和感しかない。

しかし、ゆっくりとだが確実に二人の関係性は変わりつつあった、そんなある日。死者の墓を荒らさなければいけない事件が幕を開けた。

 

「廃部です」

部員総勢二人の園芸部に唐突にやって来た危機。元々ナルミが引っ越してこなければ廃部確定だった部であり、彩夏とナルミ二人の居場所であり、彩夏が唯一本当の笑顔を浮かべることができた場所です。

第一巻にて彩夏が屋上から飛び降りた理由も、園芸部の場所である屋上を守るためでした。まぁ、悲しいことに彼女は忘れているでしょうが。

さて、ここで大切なのは「何故、唐突に廃部となるのか?」。監査役である香坂先輩曰く、生徒会長の羽矢野薫子の過去――彼女の兄である羽矢野友彦が虐められて死んだ事件と関係があるらしい。

監査役の香坂先輩に「羽矢野友彦死亡事件の謎を解き明かして欲しい」と依頼された《ニート探偵》アリスと助手ナルミの戦いが始まっていく……と思いきや、羽矢野友彦を虐めていたという男の一人がテツ先輩だったという衝撃の事実が早速判明。

テツ先輩は元プロボクサーであり、何事においても筋を通す男の中の男(ちょっと(?)ギャンブル狂い)。とてもじゃありませんが、虐めをするとは思えません。これに関しては、誰もが同様の印象を抱くのではないでしょうか。

しかし、彼は羽矢野友彦が死亡した直後に中退しています。まるで自分が虐めをした責任を取るかのように。

 

今回の事件において、悪役は一人もいません。誰もが優しさに溢れ、友彦の死を悲しんでいます。だからこそ事件の真相は解き明かされなかったのです。

そんな事件の真相を解き明かすことは、一体何を意味するのか。

死んだ羽矢野友彦の墓を暴く《ニート探偵》アリスと、守りたいもののために奮闘するナルミ。悲しく切ないニートティーンミステリーでした。

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