工大生のメモ帳

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神様のメモ帳5 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

友情は永遠に

情報

作者:杉井光

イラスト:岸田メル

ざっくりあらすじ

ニート探偵事務所にてアリスの助手として働く藤島鳴海。そんな彼らの元に舞い込む奇妙な事件を綴った短編集。

『はなまるスープ顛末』『探偵の愛した博士』『大馬鹿任侠入門編』『あの夏の21球』

感想などなど

これまで様々な事件を解決してきたニート達。しかし、小さい事件も含めればもっと多いようだ。そんな彼らの事件簿の中から選び抜かれた四編が、本作では掲載されている。

どの事件も個性的で、奇妙で、愛すべき事件の数々であり、読んでいて楽しいものばかりだった。笑いあり、涙ありの展開の数々。そんな魅力が伝わるように尽力しよう。

 

『はなまるスープ顛末』

つまるところラーメンのスープができるまでの話となっている。

……と、これだけではストーリーも何も分からない。事件の概要といえば「ミンさん(=ラーメン屋の店主)のさらしが盗まれた」というだけの簡単な話だ。ラーメンのスープと関係ないじゃんと言われそうだが、きっちり関わってくるので安心して欲しい。

さて、事件について掘り下げていこう。

一言で言ってしまえば下着泥が出たという話なのだが、一番の問題は「どうやって盗みに入ったのか?」という点だ。このラーメン屋はアリスのいる探偵事務所に近く、監視カメラが周辺に仕掛けられていることを思い出して欲しい。

また、ミンさん曰く玄関の鍵はいつも閉めている。少佐の調査によれば、ピッキングされた跡もない(ピッキングしたら中に傷が付くらしいですね)。窓も開いてすらいなかった。

つまり犯人がどこから入ってきたか分からないのだ。ちなみに脱出の際には玄関から逃げ出している。脱出経路から侵入経路を割り出すこともできない。

よほど用意周到、頭脳明晰な犯人かと思いきやそうでもない。毎日のように来る無言電話に、毎日のように投函される(詳細曰く)下手っぴな盗撮画像が付けられた手紙。ストーカーとしては二流、三流であるらしい。

そんな男が華麗な下着泥を行えるか、否、行えるはずもない。この物語の意外な真相と結末。犯人の能力が少しばかり羨ましく思う今日この頃でした。

 

『探偵の愛した博士』

皆さん、お酒はお好きだろうか。自分は決して嫌いではないのだが、あまり詳しくないため適当なビールばかり飲むことになる。たまには少しばかり珍しい酒に手を出して、適当なうんちくでも垂れ流してみたい。

しかし、酒を買うにしても近所に酒屋なんてないのが実情。スーパーの棚に並べられた缶ビールを見て、「あっ、何か名前が可愛い」「ラベルが可愛い」と女子高生みたいな感性で選ぶことになる。そして大抵後悔することとなる。

今回の事件は世にも珍しいお酒を全世界各地から集める酒屋で起こる事件となっている。簡単な内容としては「何個かの酒瓶に醤油やごま油を入れられた」というもの。

当然、被害にあったお酒は使い物にならない。捨てることとなるのだが、被害は総当なものだろう。また、もしも被害にあったお酒をそのまま客に出したとなると、もう酒屋として続けることすら怪しいかもしれない。警察にも相談しづらい内容(噂になったらマズいから)ということで相談を受けるアリス。

この事件の問題は「動機が分からない」という点と、「どうやったのか分からない」という点だ。

まず一つ目動機に関して言及しよう。少し考えて貰いたい。とある酒屋を潰したいと考えた時、手っ取り早い方法は何だろうか……そう、全ての酒を客に出せなくすればいい。酒にごま油を入れなくとも、酒蔵にある酒を全て割って回れば、それでもう首が回らなくなる。犯人の勝ちだ。

しかし、今回の事件の犯人は『何個かの酒瓶に醤油を入れる』だけであって、すぐに店が終わるという訳ではない。しかもバレないように工作がなされている訳でもなく、よほどのことがない限り、気付かれるようになっていだのだ。

店が潰れないギリギリのラインでの意地悪? ふーむ、よく分からない。

さて二つ目「どうやったのか分からない」という点。今回の連絡を受け、意気揚々と監視カメラを仕掛ける少佐。抜け目なく死角なく張り巡らされた包囲網を抜けることは不可能と意気込む少佐。

しかし、再び起こった事件の際、監視カメラに怪しい人影はなかった。ふむ、これはお手上げだ。

そんな事件も面白いが、今回はアリスと鳴海の関係性にも注目しておきたい。いつもは依頼を受ければ依頼料も当然受け取るアリスも、今回ばかりはかなり乗り気である。理由は『友造(酒屋の一人息子)のため』だという。

そんな友造はアリスのことを本名、しかも下の名前で呼び、互いに相当仲が深いらしいことが伝わってくる……そんな二人の関係性をやきもきとした表情で見る鳴海。嫉妬か? 嫉妬なのか?

そっか、そっか。うん、うん。いいねぇ、青春だねぇ。これまで無意識ジゴロ発言に苦労させられたアリスからの、無意識の反撃といったところだろうか。

何とも微笑ましい光景が繰り広げられる物語となっていた。

 

『大馬鹿任侠入門編』

自分の知り合いには少なくともヤクザはいない。だからどんな人達なのか正確に知っている訳ではないが、この作品を読んでいると、ヤクザに対して間違った印象を植え付けられそうで困る。

四代目率いる平坂組の組員は筋肉馬鹿しかいない。作品の冒頭、「パソコンがネットに繋がらなくなったっす」とパソコン画面ごとニート探偵事務所に持ってくる。「暑くなったから、暖めればいいんでしょ?」とパソコンを暖める面々。「パソコンに繋がっていたコードをメモしました!」とたまには仕事をするんだな、と思いきやコードの色しかメモしていないという無能っぷり。

四代目はこいつらをどのようにして使っていたのか? 甚だ疑問だ。

時間軸的には「神様のメモ帳4」にて四代目が刺され、入院している間の話となっているため、兄妹杯を交わした鳴海がリーダーのように扱われる訳だが、当然苦労の連続。

何も起こるなよ……。

そういう時ほど何かは起こる。事件の内容は「誘拐事件」。誘拐されたのは娘であるらしい。「誰の娘やねん!」と思われるだろうが、何と平坂組が入っているビルを貸してくれている陣内さんの娘さんであるらしい。

……? 混乱していることだろう。書いている自分も混乱してきた。

一つずつ整理したい。誘拐されたのは「平坂組にビルを貸している陣内さんの娘さん」だ。そして、誘拐犯が身代金を要求した先は「平坂組」だ。

……ん? もっとよく分からなくなった。しかし、読み返してもこのままの意味だ。何度も言うが、身代金を要求した先は「平坂組」なのである。

 

『あの夏の21球』

夏と言えば野球。最近は高野連が色々とバッシングされている昨今だが、夏のグラウンドで戦う高校球児は、夏の到来を改めて認識させてくれる。

鳴海達ニートも野球をしていた。しかし、ゲーム上ではあるが。

『パワープレーボール』というのが、その野球ゲームの名前だ。アーケードゲームであり、名前を入力することで、その名前に適したような選手を生み出してくれる。

実在の選手の名前を入れれば、それに準ずるステータスの選手が生み出され、陸上選手の名前だったら足が速く、芸能人ならばそれっぽいステータスを出してくれる。読んでいるだけで少しやってみたいと思えるような野球ゲームだ。

そんなゲームに撃ち込むニート面々。しかし、彼らが通うゲームセンターに危機が訪れる。ヤクザの襲来である。

どうやら破格のみかじめ料を要求し、このゲームセンター自体を潰そうとしているようだ。それを阻止すべく戦うニート。そんな彼らの要求に乗ってか乗らずか、野球対決をすることになった。

まぁ、ゲームではなく、外でやる野球なのだが。

野球経験がなさそうなニート達は、見た目通りに野球経験はゼロ。監督に就任したアリスはどんな手を尽くしてくれるのか。野球のルールの勉強にもなりました。

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