※ネタバレをしないように書いています。
スライム研究に明け暮れて
情報
作者:Roy
イラスト:りりんら
試し読み:神達に拾われた男 3
ざっくりあらすじ
ギルドの伝手で従業員も雇いつつ、クリーナースライムを使った洗濯代理屋が開店した。少しばかり不安もあったが、値段の安さと宣伝の甲斐もあって、一日目から大盛況となる。そこで新たに従業員を雇いながら、耐水布の制作にも取り掛かっていく。
感想などなど
社畜とは、自身が社畜であるということに気付かないものである。気付いてしまえば、それは肉体が悲鳴を上げていることを意味し、精神はもう取り返しのつかない場所まで来てしまっているのかもしれない。そして前世で社畜だった竜馬は、例え転生したとしても染みついた社畜としての生き様からは逃れらないのだろう。悲しい、社畜は死んでも報われないというのか。
竜馬は十日程で店舗を作った。例え便利な魔法があれど、魔力は有限である。使えば疲れるし、決して楽な作業ではなかろう。「スライムという労働力があるだろ!」という言葉が上がるかもしれないが、スライムだって万能ではない。壁を一つ作るにしても指示を出すのは竜馬である。
その他、店としての体裁を良くするための工夫も凝らす。花壇に白塗りの壁、店内も奇麗に整えつつ、クリーナースライムが洗濯するスペースや、実際に働く際に動きやすいように思考を巡らせた。結果としてそれなりの施設ができあがったのではないだろうか。
さらに世界の識字や算術の普及率を考慮して、なるべく利用しやすさと分かりやすさを重視したシステムを構築。まぁ、この現代日本では当たり前に利用されていることではあるが、この世界ではそこまで思いついて実行するような者がいなかったのだろう。11歳という少年が作ったということも相まって、多くの人々を驚かせた。
基本的に彼がやっていることは、後々の苦労を省くための効率化を重視したものが多い。そして人を雇い、順調すぎるくらいに増えていく収益は、シムシティのようなシミュレーションゲームで効率よく進めることができたような気持ちよさがある。
さて、第三巻を読んで一番に思ったことは、第四巻への布石のようなものが多いという印象を受ける。
例えば。
順調な洗濯屋ではあったが、金をもらって妨害をするように頼まれたチンピラがやって来てしまった。幸いにそれなりに強い(いっぱい殺したから武器が手放せない人)従業員として雇っていたため何事もなかったが、大金を支払ってまで竜馬を妨害する輩がいるという事実に変わりない。
この輩がこの程度で終えるはずないだろ……と思ってたら第三巻が終わっていた。四巻に期待するしかない。
他にもアシッドスライムなる新たなスライムが仲間に加わる。またスライムに土や火といった魔力を与えていると、土魔法を扱えるスライムに進化するものまで現れた。あらゆるスライムを駆使して金を稼いでいるのだから、これらスライムもいずれ活躍して金の生る木となってくれることだろう。
やはりこの作品の面白さは、シミュレーションゲームで金を荒稼ぎできたような快感にある気がする。また「シムシティ」とか「A列車に乗ろう」やりたくなってきてしまった。