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紅 ~歪空の姫~ 感想

【前:第四巻】【第一巻】【次:第六巻】
作品リスト

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

執着心の極み。

情報

作者:片山憲太郎

イラスト:山本ヤマト

ざっくりあらすじ

大晦日を乗り越え、新たな年を迎えたのも束の間、崩月冥理から見合いの話を持ちかけられる。その相手は裏十三家の筆頭《歪空》の一人娘なのだという。

感想などなど

まず最初にこの作品に対しては色々と言いたいことがある。

醜悪祭は酷かった。

内容が悪かったのではない。上下巻で完結せず、ファンブックにて結末を書くという商法が酷すぎた。新装版が出たにしても、この商法で作品から離れたという人も多いだろう。大して調べることもせず、新装版を後々知った自分のような被害者が今後出てこないことを祈っている。

情報収集をサボった過去の自分を少しばかり呪いながら、新装版を購入し結末を確認した。もうネタバレも気にせず書くが、《個人要塞》とは引き分け。復讐しに行った依頼人の姉は、死体の山の下で仮死状態となりギリギリ生きていてハッピーエンドだった。

新装版では、それら上下巻とファンブックの内容がまとめられている。これから読もうという人は新装版を買うことを強くおすすめしたい。

と、物語とは関係のない裏側はこれぐらいにして、今回の感想をネタバレせずに書いていこう。

 

物語は《個人要塞》との戦いを終え、年越しを迎えようとしている時期が冒頭となっている。そこでは《ギロチン》と呼ばれる殺し屋がヒロインとして「彼女になってあげてもいい」と言い出したり、夕乃が友人達に真九郎のことをまるで彼氏であるかのように紹介していたり、銀子に後ろから抱きつかれ旅行に誘われたり、ルーシーが妙に優しかったり、個性的すぎる強者(ヒロインとも言う)に囲われる何とも幸せな日々を過ごしているようだ。

もしヒロイン達が一堂に会し、奪い合いになったら誰が勝つんだろう……きっと街一つくらい滅びる。

そんなヒロインに新たなヒロインが追加されていくのが本作である。さらに裏十三家の名前が出揃ったのも今回が初めてだろうか? もし、もう出てたのならば申し訳ない。

その裏十三家の内、今回登場するのは、主人公のいる《崩月》、《個人要塞》の率いる《星噛》、《ギロチン》の率いる?《斬島》、そしてテロ集団《歪空》。

どうやらモテモテの紅真九郎は、《歪空》の一人娘とのお見合いがセッティングされたご様子。当然ですが、ヒロイン達は気が気でないようです。お見合いに一緒に参加する女子小学生がいるって中々シュールな光景です。「高校生にして子持ちですか?」と訊ねたくなります。

しかし、どうにも《歪空》の一人娘、魅空と真九郎の間に漂う空気感は悪くないようで、真九郎も「一緒に話していると楽しい」と言うほどです。あれ? もしかすると、もしかしてお見合い成立?

……となるはずもなく。彼らのいる世界という奴は、平気で人が死んでいく世界であることを忘れていました。

 

真九郎が揉め事処理班として挑む事件は、「一人の女子中学生が、自分の母親と同級生五人を一つのナイフで殺した」という大事件である。犯人とされる女子中学生は、殺した後に飛び降り、一命を取り留めたようだが、代わりに声を失った。……。

酷い事件だ(まぁ、この世界では割と普通の事件)。現実ならば死刑とならずとも無期懲役レベルではないだろうか。ではそんな事件を起こした人間は、どんな人格破綻を犯しているのだろうかと思えば、見た目は普通の女子中学生であり、過去に彼女に会ったことがある人は、「そんなことをする人ではない」と言う。

裁判を間近に控えた事件の犯人とされている彼女は、紅真九郎に淡々と真実を語ってくれた。

「お面を被った女の子が、全員を殺して、私に罪を押しつけた」

この事件において考えなければいけないのは、動機だろう。殺すだけならまだしも、一人の女子中学生を冤罪でつるし上げる意味とは何なのだろうか?

そこには、常人には思いつかない執着があるのだった。

そんな事件の真相だけでなく、裏十三家の持つ能力によるバトルも魅力的だった。いつの間にか《星噛》も味方面してるし、《ギロチン》が可愛くなっているし。見応え満点である。新作はよ。

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