※ネタバレをしないように書いています。
えっ、この程度で!?
情報
作者:吉岡剛
イラスト:菊池政治
ざっくりあらすじ
王国の魔人騒動の黒幕だったオリバー=シュトロームが帝国を滅ぼした。一方、シン=ウォルフォードは、所属する研究会メンバーの強化に勤しんでいた。
感想などなど
魔人を軽くいなしたシン。可哀想に。強いはずの魔人がめちゃくちゃ弱く見えますが、世界観的には一国を滅ぼす存在のようです。つまり、シンからしてみれば一国を滅ぼすことは容易いということを意味しますね。
そんな最強戦力は軍事利用しないという契約が結ばれているようです。でも、そんな彼の力を利用しないのはもったいない……という訳ではありませんが、彼とクラスメイト達で ”強くなる” という漠然とした目標を掲げた研究会を設立。
シンと同様に魔法を無詠唱で使い、地形を変えるような魔法を使えるようになりたい! まぁ、それはまずい(らしい)ですが、彼らのパワーアップのためにシンは教育を開始しました。
――と平和な日常の最中、世界は危機的状況に陥っています。その危機の黒幕は、魔人を生み出し、自分も理性を持ったまま魔人として戦うことができる男・オリバーシュトロームです。
物語の中盤、帝国は酷くあっさりと壊滅します。帝国の王が無能であることは言わずもがな、二桁におよぶ魔人に魔物に責め立てられ、皆殺しにされるという状況は、物語における障害と言えるかも知れません。
「あぁ、こうして魔人とシンによる同等レベルの戦いが見れるのかな?」
(実際、戦った際に同等レベルかは分からない)
と期待していましたが、そういったバトル的展開はまだ先のようです。物語の後半を読みながら、時折「あぁ、世界はそんな状況だったな……」と思い返す必要があるほど、シンの周囲は平和です。
荒らしの前の静けさ……という奴なのでしょうか。とにかく、この第二巻においてもストレス(物語の障害)は徹底的に排除されているので、皆さん安心して下さい。
ストレスフリー……第一巻の感想でも書きましたが、ライバルの存在がいないということが、理由の一つとしてあげられます。第一巻のライバルらしき存在は、魔人とされたので死亡。まぁ、生きていたとしても、ライバルには到底なれなかったでしょうが。
さて、第二巻では?
はい、ライバルはでません。シンは一応魔法学校に通っているので、魔法特化と思われがちかも知れませんが、剣術も相当のものです。相当剣術に対して打ち込んでいるはずの武術学校の学生がやって来ますが、剣術においても彼らはシンに勝てないという現実。何だか、可哀想になってきました。
そんな彼に対する周囲の緩徐は畏怖よりも尊敬が大きく、誰もが彼を信頼し、敵がいないというのもまたストレスフリーの一端でしょう。
壁があるほど恋愛は燃え上がる……と言われますが、この作品においては成立しません。元々両思いだった二人は、あっという間にイチャイチャしだし、脅威のスピードでゴールイン。
文章も特徴的です。食べ物の感想が「美味しかった」とだけ書かれていた時は、「これだけは感想に書こう」と強く心に刻んだものです。
あらゆるストレスを排除した物語は顕在でした。すごかったです。